「援軍は来る！」と絶叫した鳥居強右衛門の物語。配役の妙で涙・涙の感動回になった！【どうする家康 満喫リポート】21

援軍を送れずに家臣団に不信感を与えた武将

Ｉ：さて、家康の小姓となった万千代（演・板垣李光人）が、援軍を送る送らないは全軍の士気に影響すると、軍議の場で発言していました。

Ａ：劇中のナレーションでは幾度も登場している高天神城（静岡県掛川市）も武田、徳川の間で攻防戦が展開されますが、籠城する武田方の武将に対して勝頼（演・眞栄田郷敦）は援軍を送ることができず、家臣団の離反を招いたともいわれています。

Ｉ：長篠の攻防戦のもう少し先の話になりますね。勝頼はやはり急激に戦線を拡大してしまった感があります。本作の勝頼は威風堂々としていて家康よりはるかに強そうな設定になっていますが、その行方も気になりますね。

Ａ：ところで、強右衛門の子孫は、奥平家の重臣として明治維新まで家名を保ち、現代まで続いているようです。劇中、家康息女の亀と奥平信昌の結婚が話題になりましたが、本作ではふたりの行く末についてどのように描かれていくのでしょうか。なんだか楽しみな場面がどんどん増えていきますね。

Ｉ：信長から亀と奥平信昌との縁談を勧められた家康ですが、本作では信長を嫌っているかの描写が目立ちます。以前も浅井長政（演・大貫勇輔）の味方について、信長を倒したいということを言っていましたが、今週も武田勝頼と組んで、信長を倒したい旨、心情を吐露し、家臣団も「信長」と呼び捨てにする描写が頻発しています。本能寺の変の黒幕が家康だった！　ということになるのかと思ってドギマギします。

Ａ：うーむ。それはないんじゃないでしょうか……とも言い切れないですね（笑）。ただ、信長と家康のやり取りは単純に面白かったです。

家康の髪型はいつチェンジするのか？

Ｉ：さて、今回は信長が月代（さかやき）を剃った姿での登場となりました。ドラマの表現の中で「髪型」はわりと自由です。前回までは、信長も総髪スタイルでしたが、今回から「イメチェン」をはかったということになります。

Ａ：戦国物の大河ドラマでも「髪型」は作品によってずいぶん異なりますよね。今回の家康もざっくりいうとポニーテールのようなスタイルですが、歴代大河の同時期の家康を比較するとけっこう異なりますよね。

Ｉ：昨年の『鎌倉殿の13人』の時代は、男性は烏帽子をかぶっているのがスタンダートでした。『麒麟がくる』でも明智光秀が烏帽子姿のことも多かったので、戦国時代もわりと後期まで烏帽子の習慣は保たれていたのでしょう。それがいつの間にか、烏帽子なしでもOKになる。

Ａ：正装以外で被り物が不要になるというのは日本史上「髪型の大革命」だったはずですが、どのような流れでそうなったのかは判然としていません。本作の家康の髪型もチェンジする時がくるのでしょうか。

Ｉ：さすがに今の髪形のままいくというのは考えづらいですよね。その時を楽しみに待ちたいと思います。

Ａ：劇中の家康も30代に突入しています。けっこう重みのある演技にシフトしてきていますので、髪型チェンジとあわせてその変化をわくわくしながら見守りたいですね。

●編集者Ａ：月刊『サライ』元編集者（現・書籍編集）。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた３ 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。

●ライターＩ：三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年２月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。

構成／『サライ』歴史班 一乗谷かおり