はじめに-亀姫とはどんな人物だったのか?

亀姫(かめひめ)は、家康と正室・築山殿との間に生まれた娘であり、奥平信昌(おくだいら・のぶまさ)の正室です。当時、武田氏との攻防戦を繰り広げていた家康は、奥三河の豪族・奥平氏を味方につけようと考えました。

奥平氏は、最初は家康の家臣でしたが、奥三河における武田氏の勢力が強まったことを受け、武田氏に与するようになっていたのです。しかし、信玄が病死し、息子の勝頼がその後を継ぐと、奥平家当主・信昌は、再び家康の家臣となることを決意。

武田氏に対抗するべく、勢力拡大を図っていた家康は、帰参の条件として、娘の亀姫との婚約を提示しました。奥平氏との結束をより強固なものとするために持ちかけたこの提案に、信昌は承諾します。これによって、亀姫は信昌の住む奥三河の地に嫁ぐこととなったのです。

母である築山殿に似ていたと言われることもある亀姫。優しさと芯の強さを兼ね備えた女性というイメージがありますが、実際の亀姫はどのような人物だったのでしょうか? 史実をベースにしながら、紐解いていきましょう。

2023年NHK大河ドラマ『どうする家康』では、長篠城城主の信昌に嫁いだ、明るくたおやかな女性(演:當真あみ)として描かれます。

目次
はじめに―亀姫とはどんな人物だったのか?
亀姫が生きた時代
亀姫の足跡と主な出来事
まとめ

亀姫が生きた時代

亀姫は、永禄3年(1560)に生まれます。亀姫が生まれてから間もなくして、「桶狭間の戦い」で今川義元が討たれるという大事件が起こりました。これを機に、家康は今川氏から離反して信長と手を組み、家康を取り巻く環境は一気に変化していくことになったのです。

一方、さらなる勢力拡大を図っていた甲斐国(現在の山梨県)の武田氏は、覇道を進む信長の存在が目障りでした。信長は武田氏に目をつけられるようになり、同盟関係にあった家康もまた、武田氏と領土をめぐって争うことになります。

武田氏に対抗できる勢力を作るために、家康の娘・亀姫は、奥三河の豪族・奥平氏と政略結婚させられることになったのです。

亀姫の足跡と主な出来事

亀姫は、永禄3年(1560)に生まれ、寛永2年(1625)に没しました。その生涯を出来事とともに紐解いていきましょう。

家康の娘として生まれる

亀姫は、家康と築山殿の長女として生まれます。亀姫の誕生から数か月後、「桶狭間の戦い」で、今川義元が信長に討たれるという事件が発生。これにより、家康は今川氏から離反します。このことにより、駿府にいた亀姫は、母と兄・信康とともに、家康のいる岡崎城に迎えられます。

奥平信昌に嫁ぐ

武田氏と勢力争いを繰り広げていた家康。武田氏に対抗できる勢力を作るため、かつて自分の家臣だった奥三河の奥平信昌を懐柔しようと考えていました。一方、信玄の死後、信昌は再び家康の家臣として仕えたいという旨を家康に伝えます。

家康は、帰参の条件として、娘の亀姫との婚約を提示したのです。信昌はこれを承諾し、家康から長篠城(現在の愛知県新城市にあった城)の守備を任されることに。そして、天正3年(1575)の「長篠の戦い」にて、最後まで長篠城を守り抜いた功績を称えられた信昌。この時、自身の名前を当初の「定昌」から「信昌」に改名し、亀姫と正式に結婚することになったのです。

新城城碑(愛知県新城市) 
新城城は、長篠の戦い後に信昌が築いた城。信昌と結婚することになった亀姫は、山深いこの城へ向かったと言われている。

入輿の際、信長や家康の家臣を務めた西尾吉次(にしお・よしつぐ)が、輿を守りながら亀姫を信昌のもとへ連れて行ったそうです。しかし、信昌の城は山奥にあり、途中で山賊の被害に遭ってしまう恐れもあったため、事前に亀姫だけを城に連れて行ったという逸話も残されています。

信昌のもとに嫁いだ亀姫は、その後4男(家昌・家治・忠政・忠明)1女を授かります。慶長6年(1601)には、信昌が美濃国(現在の岐阜県)加納10万石に封じられたことを受け、亀姫も加納の地に移りました。そのため、亀姫は「加納御前」や「加納の方」と呼ばれることもあります。

宇都宮釣り天井事件が発生する。次ページに続きます

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