外国語を話すとき、「この言い方で合ってるかな?」と感じながら言葉を選び、それでも自分の気持ちが本当に伝わっているのか、不安になる瞬間があります。なじみのある言葉であっても、ほんの少しのニュアンスの違いで、思いがけず不自然に聞こえてしまうこともあります。

さて、今回ご紹介するのは、「今日は楽しかった。」という英語表現です。

「今日は楽しかった。」って、なんて言うの?

日本語の「今日は楽しかった。」を英語にするとき、ときどき “I enjoyed today.” という表現を耳にすることがあります。

でもこの言い方は、「今日一日そのもの」を評価しているような響きになり、英語では少し不自然に聞こえます。

なぜなら、“enjoy” は「何を楽しんだのか」をはっきり言う必要があるからです。

・“I enjoyed the movie.”
・“I enjoyed my trip.

のように、“enjoy”のあとには、具体的な目的語が続きます。

友人とのひととき、旅やイベントのあとに、「楽しかった。」という気持ちを伝える場合は、

“I had a great time today.”

が、日本語の感覚に、いちばん近いといえます。

「楽しかった!」の他のフレーズ

1. “I had so much fun.” (今日はすごく楽しかった!)

カジュアルな表現で、体験・遊び・会話そのものが「楽しかった!」と、ストレートに伝える言い方です。

例文
1. “I had so much fun talking with everyone.”
(みんなと話してすごく楽しかった。)

2. “We had so much fun at the party.”
(そのパーティー、すごく楽しかった。)

2. “I enjoyed it a lot.”

“it” がさす時間や経験をじっくり味わって楽しんだ感じがします。

例文
1.“I really enjoyed the discussion.”
(ディスカッションをとても楽しみました。)

2. “I enjoyed it a lot, thank you.”
(とても楽しかったです。ありがとうございます。)

3. “It was great.”(最高だった。)

とても万能な表現です。何が良かったかを具体的に言わなくてもOKです。

例文
1. “It was great today.”
(今日は最高でした。)

2. “The lesson was great.”
(そのレッスン、よかったです。)

4. “I had a blast.”(めちゃくちゃ楽しかった!)

“blast”には(突風)や(爆発)といった意味があり、会話では、パーティーや旅行、イベントのあとなどに使える、くだけた口語表現としてよく登場します。少しテンション高めな感じです。

例文
1. “I had a blast tonight!”
(今夜、めちゃくちゃ楽しかった!)

2. “We had a blast at the music festival.”
(フェスで最高に盛り上がった。)

5. “It was awesome.”(すごくよかった!)

少しカジュアルで、感動や楽しさを伝えられる表現です。

例文
1. “It was awesome today.”
(今日はすごくよかった。)

2. “The atmosphere was awesome.”
(雰囲気がとてもよかった。)

最後に

“I had a great time.”

このフレーズはとてもシンプルですが、文脈しだいで、余韻や皮肉、または、切なさを表現することもできます。純粋に「楽しかった」という意味で使われることもあれば、悲しい別れの場面で使われたり、社交辞令で使われる場合もあるかもしれません。シンプルな言葉ほど、その裏にある気持ちは、ひとつではないように感じます。

2003年、ソフィア・コッポラ監督による東京を舞台にした映画、『ロスト・イン・トランスレーション(“Lost in Translation”)』は、ことばの不思議さと、その魅力に引き込まれていく作品です。

映画のタイトルでもある  “Lost in Translation” とは、大切な伝達事項が、翻訳の過程で失われてしまうことを意味します。言葉を別の言語に置き換えるとき、もともと込められていた意味やニュアンスが薄れたり、すべてが伝わりきらない状態をさす言葉です。

この映画のラストシーンで、主人公のボブは、仕事関係の人たちと別れるときに “I had a great time.” と伝えます。けれど、もっとも深く心を通わせたシャーロットに向けた言葉は、観客には聞き取れません。はっきりと聞こえるのは、ひと言、“Bye.” だけ。その沈黙が、言葉のはかなさや、言葉にしきれない感情の強さを、かえって鮮明に伝えます。

“I had a great time.” と、はっきり言葉にしなくても、楽しい時間を一緒に過ごしたという思いは、言葉を超えて伝わる。この映画は、そんなことを教えてくれているのかもしれません。

次回もお楽しみに!

●執筆/池上カノ

日々の暮らしやアートなどをトピックとして取り上げ、 対話やコンテンツに重点をおく英語学習を提案。『英語教室』主宰。 その他、他言語を通して、それぞれが自分と出会っていく楽しさや喜びを体感できるワークショップやイベントを多数企画。
インスタグラム

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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