2021年10月26日、デジタル庁が中央省庁や地方自治体が使うデータをインターネット上で管理する「ガバメントクラウド」(政府クラウド)の先行事業で、米アマゾン・ドット・コムの傘下企業と米グーグルのサービスを利用すると発表しました。「日本のデータを海外の事業社に扱わせてもよいのか?」などの批判も一部にありますが、両社の「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」と「グーグル・クラウド・プラットフォーム(GCP)」のセキュリティの高さが一定の評価を受けたと考えることもできるのではないでしょうか?
あるIT系情報サービスの調査によりますと、一般企業でもGoogleのビジネス向けサービスである Google Workspaceを導入する動きが増えているそうです。
今回はこの Google Workspaceをご紹介します。
目次
「Google Workspace」とは?
個人用アカウントとの違い
プランによる違いは?
「Google Workspace」の登録方法
「Google Workspace」で使える機能には何がある?
最後に
「Google Workspace」とは?
Google Workspaceとは、Google が提供する Gmail、Google カレンダー、chatなどのアプリをグループウェアとして利用できる組織向けオンライン アプリケーション セットで、Googleの利点である高度なセキュリティと 99.9% の稼働率が保証されたクラウド コンピューティング 上で実施するサービスの名称です。
「Google Workspace」を使って社内のコミュニケーションを強化
グループウェア化したGmail、Google カレンダー、chatを利用することで従業員間の業務連携を高め、活発なコミュニケーションによって組織業務を効率化し、コストと時間を大幅に節約できます。
スムーズな連携により生産性を向上
従来のオフィスツールにはなかった新しいコラボレーション機能を持つ豊富なツールを活用することにより、組織内の連携を高め、生産性を高めることができます。
どこにいても安全に仕事ができる
Google WorkspaceはPCだけではなく、スマートフォンやタブレットにも完全対応しており、アプリケーションをインストールしてログインするだけで、どこでも同じように作業ができ、移動時間や待ち時間の無駄を減らせます。
最高レベルのセキュリティと低価格のクラウドサービスでIT コストの削減
100% ウェブベースの Google Workspaceを利用すると、ハードウェアやソフトウェアを追加購入する必要がありません。管理コストを最小限に抑えることができるので、導入のための時間と費用を節約することができます。
重要なデータを安全に保持
Google Workspaceのデータは全て Google のサーバーに安全に保存されますので、コンピュータやハードディスクの故障や盗難が起こったとしても、データを失うことはありません。また、メールデータも従来の POP メールシステムの様に手元のコンピュータへダウンロードしないので、ウイルスへの感染やセキュリティソフトによるウイルススキャンの時間も大幅に短縮出来ます。
個人用アカウントとの違い
個人用のGmailとGoogle Workspaceの最大の違いは、Google Workspaceのファイルやデータは、アカウントを所有する企業が、一元管理できることです。
そのためにGoogle Workspaceは、管理者が異なるユーザーのアカウント権限を管理できる「管理者コンソール」を提供しています。
「Google Workspace」は企業がデータやデバイスを一元管理できる
個人のGmailアカウントは個人所有であり、会社が社員個人のアカウントを管理することはできません。 そのため、社員が退職した場合、社員のアカウントに蓄積されているファイルやデータはすべて「退社」のリスクの対象となります。
これに対し、Google Workspaceのファイルやデータはクラウド上に保持され、管理者は管理コンソールのデータ移行機能により、スタッフの変更に関係なく、新しいスタッフのアカウントに簡単にデータを移行することができます。
Google Workspaceの共有ファイル設定画面では、デフォルトの状態から同じドメイン(企業内)の同僚全員にアクセス権が与えられています。 ドロップダウンメニューを使用して、全ての同僚または特定の同僚の権限の範囲を指定することもできます。
個人用のGmailとはメールのデザインコンセプトが異なる
Google Workspaceのメールボックスは、情報の可視化や内部権限によるファイル連携など、個人用のGmailメールボックスよりも柔軟性と安全性が高くなっています。
また、Google Workspaceのメールボックスは、共有グループメールボックスを作成できるため、1日最大2,000通のメールを送信することができ、大量のメール送信をする場合は個人のGmailよりも使いやすくなっています。
プランによる違いは?
個人用のGmailは無料で利用できますが、法人用のGoogle Workspaceは有料です。
プラン名 | 月額利用料 | サービス内容 |
Business Starter | 680円 | セキュリティ保護されたカスタムのビジネス用メール 100 人まで参加可能なビデオ会議 1 ユーザーあたり 30 GB のクラウド ストレージ セキュリティと管理機能 Standard サポート |
Business Standard | 1360円 | セキュリティ保護されたカスタムのビジネス用メール 150 人まで参加可能なビデオ会議とその録画 1 ユーザーあたり 2 TB のクラウド ストレージ セキュリティと管理機能 Standard サポート(Enhanced サポートに有料でアップグレード可能) |
Business Plus | 2040円 | セキュリティ保護されたカスタムのビジネス用メール、eDiscovery、データ保持 250 人参加可能なビデオ会議とその録画、出欠状況の確認 1 ユーザーあたり 5 TB のクラウド ストレージ 高度なセキュリティと管理機能(Vault や高度なエンドポイント管理など) Standard サポート(Enhanced サポートに有料でアップグレード可能) |
Enterprise | 営業担当に問い合わせ | セキュリティ保護されたカスタムのビジネス用メール、eDiscovery、データ保持、S/MIME 暗号化 250 人まで参加可能なビデオ会議とその録画、出欠状況の確認、ノイズ キャンセル、ドメイン内ライブ ストリーミング 必要に応じて増やせる保存容量 高度なセキュリティ、管理、コンプライアンスの制御機能(Vault、DLP、データ リージョン、エンタープライズ エンドポイント管理など) Enhanced サポート(Premium サポートに有料でアップグレード可能) |
「Google Workspace」の登録方法
Google WorkspaceのWebサイトにアクセスし、「無料試用を開始する」または、料金一覧の「使ってみる」ボタンをクリックして登録を開始します。 すると次の画面が現れるので「ビジネス名」に会社名などを入力し、自分を含む従業員数、国を選んだら「次へ」をクリックします。
1人で利用する場合なら「自分だけ」を選べば問題ありません。また、Google Workspaceを利用するには独自ドメインが必要ですが、持っていない場合はGoogleが提供する.pageというドメインを利用することもできます。
「Google Workspace」で使える機能には何がある?
Google Workspaceは、PC ではウェブブラウザから、モバイルでは専用のアプリケーションから利用します。異なる OS や端末間でも同じデータにアクセスすることができます。
Google Workspaceアカウントで、下記のコアアプリケーションの他に60を超えるGoogleのサービスが利用できます。ユーザーの利用アプリケーションは管理者により制御が可能です。
ドキュメント
Google のワープロアプリケーション。複数のユーザーとリアルタイムに共同編集が可能です。Word との互換性も高く、モバイルにも対応。
スプレッドシート
Google の表計算アプリケーション。複数のユーザーとリアルタイムに共同編集が可能です。Excel との互換性も高く、モバイルにも対応。
スライド
Google のプレゼンテーションアプリケーション。複数のユーザーとリアルタイムに共同編集が可能です。テンプレートも多数用意されています。
フォーム
Google フォームを利用すると、簡単にフォームが作成でき、アンケートなどの情報収集に役立ちます。回答はスプレッドシートで集計。
Chat
1対1のチャットはもちろん、チャットルームを作成してグループチャットも可能。スマートフォンやタブレット端末からも参加できます。
Meet
最大100ユーザーまで参加可能なビデオチャット。画面共有や背景ぼかしといった機能も充実。スマートフォンやタブレット端末からも参加できます。
サイト
社内ポータルサイト、プロジェクトサイトを簡単に作成。専門知識は不要、カスタマイズも簡単、情報へのアクセスと共有ができます。
最後に
「Google Workspace」は有料サービスなので、グループや組織で活用できる場面がイメージできなければ使い難いかもしれませんが、無料試用期間もあります。興味のある方は試してみてはいかがでしょうか?
●執筆/田尻 良(たじり りょう)
1983年、アルバイト先のために独学でレジ清算プログラムを作成。まだ白のマスクしか無い2006年にプリント柄のマスクカバーを発表。任天堂DS用ソフト「介護ナビDS」やインフルエンザ検定試験などを企画。依頼された人事管理システムを作るため、50歳から新たにコンピュータ言語を習得し構築。誰にでもわかりやすく教える能力が評価され、コンピュータ専門学校と短大にてプログラミングや情報システム論などを教えている。ノーネクタイ用アクセサリ「プラケッティ」を企画中。
株式会社ケッツ(https://kets.co.jp)
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com