「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努力をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることになり、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。
「脳トレ漢字」第138回は、「仲人」をご紹介します。結婚式などでおなじみの「仲人」。見慣れた漢字だからこそ、いざ読み書きをしようとすると、詰まってしまうということもあると思います。実際に読み書きをして、漢字への造詣を深めてみてください。
「仲人」は何とよむ?
「仲人」の読み方をご存知でしょうか? 「なかにん」ではなく……
正解は……
「なこうど」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「結婚の仲立ちをする人」と説明されています。「媒酌人(ばいしゃくにん)」「月下氷人(げっかひょうじん)」とも呼ばれる仲人。本来は橋渡しをする人という意味で、「なかびと」と呼ばれていたものが音変化して、「なこうど」になったと考えられています。
「仲人」の漢字の由来とは?
漢字の通り、「二人の仲を取り持つ人」である「仲人」。その昔は、男性の結婚の意思を女性に伝えるという役割を果たし、男性の近親者が務めることが多かったそうです。当事者の意思以上に家どうしの結びつきが重視されるようになると、両家の中間に立って結婚の話をまとめるという役割へと変化していきました。
「仲人」の変遷
仲人が生まれた背景として、男女の仲を取り持つことと、彼らの生活を援助する必要性があったことなどが挙げられます。その昔、婚姻が当事者である男女の間で決定されていた村落生活において、二人を結びつけることだけでなく、結婚後も彼らが安心して村での生活が営めるように庇護するということも、仲人が果たすべき重要な役割だったのです。
やがて、当事者らの意思よりも家どうしの結びつきが重視されるようになると、遠方婚姻なども多くなりました。仲人もまた、当事者である男女の間に立って互いの意見をまとめるという立場から、両家の中間に立って結婚の話をまとめるという立場へと変化していったそうです。
結婚の話をする上で欠かせない存在となった「仲人」。仲人を務めた者は「仲人親」と呼ばれ、実の親と同等の扱いを受けるなど、両家とはほとんど一生の付き合いとなることが一般的でした。しかし、再び当事者らの意思が重視されるようになった現在では、仲人を立てずに婚姻関係を結ぶというケースも増加し、仲人の役割や両家との関係性は希薄になりつつあります。
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いかがでしたか? 今回の「仲人」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 婚姻・婚礼の話でよく耳にする「仲人」。馴染み深い漢字ですが、意外と忘れがちになっているかもしれません。もう一度意味などを確認して、知識を定着させていきましょう。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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