正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれません。
Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれませんね。
「脳トレ漢字」第45回目は、「婉曲」をご紹介します。日本語の美しい語法の一つです。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
■「婉曲」はなんと読む?
「婉曲」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「わんきょく」ではありません……
正解は……
「えんきょく」です。
漢字が「腕」に似ているため、どうしても「わんきょく」と読んでしまう方も多い「婉曲」。『小学館デジタル大辞泉』では、「言い回しが穏やかでかど立たないさま」と説明されています。「オブラートに包む」と同じニュアンスです。
「婉曲表現」は、人間関係を円滑に保つために、古来より日本人が好んで使ってきた表現の一つです。その意味で、この「婉曲」は我々日本人の精神文化にも関わる意味も備えてきたと言えます。
■「婉曲」の漢字の由来とは?
「婉曲」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「婉」は「遠回しに言うこと」を、「曲」は「まげること」を意味します。「婉」という字は、「美しい/しとやかで美しい/若々しく」などの意味も持ちます。そこからも、「婉曲」の言葉のニュアンスが伝わってきますね。
■「婉曲」は「えんきょく」、では「歪曲」は?
「婉曲」に関連して、似た読み方をする言葉をご紹介します。それは「歪曲」です。この漢字の読み方に心当たりはありますか?
正解は……「わいきょく」です。「物をゆがめ曲げること」もしくは「事実をわざとゆがめて伝えること」を意味します。「歪曲して報道する」など、事実がゆがめられる時によく使う言葉です。
「えんきょく」、「わいきょく」、「わんきょく」… いずれも読み方が似ていて、混同しやすいものです。しかし、読み間違えてしまうと話の内容が変わるどころか、悪い意味で捉えられてしまうことも。意味と読み方を合わせて覚えることがおすすめです。
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いかがでしたか? 今回の「婉曲」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 顔の見えないネット上で、相手への配慮の欠けた言葉が飛び交っているこの時代。日本人が持つ、相手を気遣い、礼儀を重んじる「婉曲」の文化を忘れないようにしたいものですね。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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