ライターI(以下I):第6回の「続瀬名奪還作戦」では、伊賀甲賀の忍びたちの活躍もあり、上ノ郷城を落城させ、最終的に瀬名(演・有村架純)の奪還に成功しました。
編集者A(以下A):劇中では、鵜殿長照(演・野間口徹)が忍びの活躍によって自決する場面が描かれました。敗者の末路というのはいつも哀れですが、鵜殿一族は駿河・遠江二国を支配した今川家の重臣。当時の格でいえば、松平家の酒井忠次、石川数正らよりもはるかに上だったわけですから悲劇でした。
I:その鵜殿長照を演じた野間口徹さんからコメントが寄せられました。時勢に見離された武将の思いを語ってくれています。
台本を読んだ時に、最初に感じたのは「愚直」でした。主君に対しての忠義を一番重要視する人物だということを心がけました。上ノ郷城が攻められた時は、本当は元康と戦いたかったと思うんです。それが忍に妨げられたので悔しかったのではないかと……
A:今川家に殉じた愚直な人生ということなんですね。忍びに殺害されることを恥じて自害したとされることで、その悲哀がいっそう浮き彫りになりました。しかも息子のふたりが人質となり、瀬名らと交換されることになります。劇中では台詞らしい台詞もなかったふたりの息子ですが、この人質交換の後も生きながらえます。ふたりの人生にも「戦国の悲哀」が色濃く滲みます。
I:この先の「伏見城の合戦という悲劇の場」に兄弟のうちひとりが立ち会うことになります。この兄弟はもう劇中に登場しないと思いますが……。関ケ原合戦前の伏見城の戦いの時に思い出していただければと思います。
A:この鵜殿一族は江戸時代にも血脈が伝えられていますね。ペリー来航時の応対役や新撰組結成にも立ち会った鵜殿鳩翁はそのうちのひとり。やっぱり歴史の大河は深い。
I:さて、鵜殿長照役の野間口徹さんは現代劇では、眼鏡のキャラで親しまれていますが 、本作では当然眼鏡なし。キリっと引き締まった武将を演じてくれました。短いですが、野間口さんのコメントの続きをどうぞ。
武将という初めての役で、果たして受け入れてもらえるのか不安でしたが、なんとか乗り切れてホッとしています。あとは何も考えず、この後の展開を楽しむだけですね
A:野間口さんの凛とした演技で鵜殿長照という武将の存在が視聴者の胸にしっかりと刻まれたのではないでしょうか。
【所作もさすがの真矢巴。次ページに続きます】