最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第134回は、「割愛」をご紹介します。「時間の都合により一部“割愛”させていただきます」といったフレーズで、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「割愛」はなんと読む?
「割愛」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「わるあい」ではなく……
正解は……
「かつあい」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「惜しいと思うものを思い切って捨てたり、手放したりすること」と説明されています。また「愛着の気持ちを断ち切ること、恩愛や煩悩を捨て去ること」といった意味も。
例としては、会議などで耳にする「説明は割愛させていただきます」「この内訳は時間の都合上、割愛しましょう」といった使い方です。「割愛」を使うと、ただ省くだけではなく「必要性を感じているが、惜しみながら範囲外にする」という意味合いが込められます。
「割愛」の漢字の由来とは?
「割愛」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「割」には「切る・断つ」、「愛」には「いつくしむ・めでる」という意味が込められています。「愛しむものを断つ」ことから「思い切ること、惜しいと思いながらも省略したり捨てたりすること」を指す語となったのです。
6割の人が間違える?「割愛」の誤用とは
上述したように「割愛」の本来の意味は「惜しみながら放棄すること」です。
ただ、文化庁が発表した平成23年度「国語に関する世論調査」では「割愛」の意味を「不必要なものを切り捨てる」とした人の割合が6割を超える結果となりました。「重要でないため割愛します」のように「不必要なものを切り捨てる」の意味で使う人が多くなっているのです。一方、本来の意味で使う人は、2割にとどまりました。
そのため現在は「割愛」から「惜しいと思うもの」という意味合いが抜け、「省略」と似た意味で使われていると考えられています。「不必要なものを切り捨てる」という意味で使った場合は、本来「割愛」の「愛」の字に込められた意味が、薄れて使用されていると言えるでしょう。
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いかがでしたか? 今回の「割愛」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 漢字一字に込められた意味を知ることで、熟語本来の意味を把握しやすくなるのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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