字画も少なく、しょっちゅう目にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか心配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか?
サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を見ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第75回目は、「強ち」をご紹介します。「強ち~ない」の形で用いられる言葉です。
また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「強ち」はなんと読む?
「強ち」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「強」に送り仮名の「ち」が付くと……
正解は……
「あながち」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「断定しきれない気持ちを表す、必ずしも、一概に」と説明されています。下に否定語を伴う「強ち~ない」の形で用いられ、断定しきれない気持ちを表します。「必ずしも~でない」や「一概に~でない」を意味する副詞です。
「強ち」には、他に「強い否定を表す」という意味もありますが、現代ではあまり使われていません。また、もともとは「強引なさま」や「身勝手なさま」という意味の古語であり、形容詞として使われていました。
「強ち」の漢字の由来とは?
なぜ「強ち」(あながち)には「強」という字が当てられているのでしょうか? 上述したように、平安時代において「あながち」は「強引なさま、身勝手なさま」を示す形容詞として用いられていました。そのため、元々の原義であった「強引なさま」に由来して、「強」を用いて「強ち」と書くのではないかと考えられています。
「強ち」の語源は?
最後に「あながち」の語源を確認していきましょう。
「自分勝手に物事を押し通す」という元々の意味から、「あながち」の「あな」は「おのれ(己)」の意味で、「あな(己)」+「かち(勝ち)」に由来すると考えられています。自分勝手に物事を一方的に押し進めて、他を顧みない(=「己が勝つ」)さまを表しているのです。
また、他にも「嗟勝」(あなかち)や「孔穿」(あなうがち)など、その語源には諸説あります。
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いかがでしたか? 今回の「強ち」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 「強」という字には、他にも「強(し)いて」や「強(したた)か」といった難しい読み方もありますので、一緒に覚えてみてはいかがでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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