字画も少なく、しょっちゅう目にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか心配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか?
サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を見ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第112回は、「粗利益」をご紹介します。ビジネスシーンでよく見聞きする言葉なのではないでしょうか。
また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「粗利益」はなんと読む?
「粗利益」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「そりえき」ではなく……
正解は……
「あらりえき」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「売上額から売上原価を差し引いた額」と説明されています。売上から商品の原価を引いて算出される利益のことであり、正式名称は「売上総利益」です。ただ、一般的なビジネスシーンでは「粗利益」「粗利」と呼ばれます。
売上額から売上原価を引いた値なので、例えば、80円で仕入れた商品を100円で売り上げた場合、「粗利益」は20円(100円-80円)ということになります。
また、売上に対する「粗利益」の割合を「粗利益率」または「粗利率」と呼びます。粗利率の計算式は「(粗利÷売上)×100=粗利率」です。例えば、上記の例では、(20÷100)×100=20、すなわち20%の粗利率となります。この数値が高いほど、収益性・競争力があると判断することが可能です。
「粗利益」の漢字の由来とは?
「粗利益」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「粗」は「おおかた」、「利」は「とく」、「益」は「もうけ」を意味します。さらに細かくみていくと、「粗(あら)」は接頭辞です。「粗○○」と言葉の前につけることで、「おおまかな○○」「大ざっぱな○○」という意味を表します。
上述したように「粗利益」は、商品の売上から原価を引いた値になります。ただ、本来売り手が得る利益は、原価だけでなく、商品を売るためにかかった人件費や宣伝広告費、固定費といった経費も考慮しなくてはなりません。「粗利益」はそうした細かな計算を省いた、「おおまかな利益」なのです。ちなみに、これらの経費を差し引いた利益は「営業利益」と呼ばれます。
「粗」を使った難読漢字「粗目」とは?
「粗利益」では「粗」を訓読みして「あら」と読みました。では、同じく「粗」を用いた難読漢字「粗目」は何と読むでしょうか? 「あらめ」とも読みますが……
正解は「ざらめ」です。「粗目糖」「粗目雪」などの単語で、見聞きしたことがあるのではないでしょうか。「粗目(ざらめ)」は「手触りがざらざらしていること、またはそのもの」を意味します。訓読み「あら」の派生として「粗(ざら)」も、一緒に覚えていきましょう。
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いかがでしたか? 今回の「粗利益」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 音読みと訓読みの使い分けを意識すると、読み間違えが防げるはずです。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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