最期の時を迎えようとしている義時(右/演・小栗旬)と姉政子(左/演・小池栄子)。(C)NHK

ライターI(以下I):前週(https://serai.jp/hobby/1103080)の北条政子(演・小池栄子)による歴史的名場面の演説からの流れで、承久の乱に突入です。長沼宗政(演・清水伸)と三浦義村(演・山本耕史)が事ここに及んでも密談しています。

編集者A(以下A): 義村の弟胤義(演・岸田タツヤ)が完全に後鳥羽上皇(演・尾上松也)側についていますからね。劇中のようなやり取りが実際にあったのかもしれないと思わせる絶妙な脚本になっています。

I:しかし、三浦義村、この期に及んでなんという動きをするのでしょうか。「ほんとうに許せない!」と私は見ていました。

A:三浦義村については言いたいことは山ほどありますが、年末の総集編もありますから、その時にお話ししたいと思います。

I:え、総集編? 「満喫リポート」もそこまでやるんですか!?   

A:さて、御所で時房(演・瀬戸康史)、泰時(演・坂口健太郎)、大江広元(演・栗原英雄)、政子が善後策を議論しているところに、杖をついた三善康信(演・小林隆)がやってきました。『吾妻鏡』には病気で御所への出仕を休みがちだった康信の意見を聞こうと呼び出したとあります。1979年の『草燃える』では石浜朗さん演じる康信が病身をおして御所にやってくる印象的なシーンがありましたが、オールドファンにとっては、そのシーンを思い出す展開になったのではないでしょうか。

I:武家政権の危機に京都からやってきた文官の大江広元、三善康信が進撃を勧めるという構図なんですね。そして、泰時がわずかな兵を引き連れて鎌倉から出発する。こちらもまた歴史的名場面。後鳥羽上皇や三浦胤義らは、上皇がひとたび院宣を発すれば、御家人たちは動揺して兵は集まらないとみていたのですね。北条政子の演説、少人数で鎌倉を出発した泰時、後鳥羽上皇にとっては誤算続きでした。

A:泰時が少人数で出陣するエピソードは、後年、織田信長が桶狭間へ少人数で出陣した話と似ています。現代のビジネスシーンでも「俺について来い!」ということがあるかもしれませんね。

I:桶狭間の信長に似ているというのは、私も思いました。そして、胤義が上皇に出陣を要請したにもかかわらず、断られるというのも、後年の大坂の陣で真田信繁(幸村)らが懇願したにもかかわらず、「総大将」の豊臣秀頼の出陣が叶わなかったというのと同じだ、と思って見ていました。

義時憎しの後鳥羽上皇(演・尾上松也)。(C)NHK

隠岐に流される後鳥羽上皇の輿担ぎに文覚のサプライズ

久々の文覚(右/演・市川猿之助)登場。(C)NHK

A:そういうこともあって、上皇側が大敗し、以降、朝廷は皇位の継承などすべからく幕府の意向をお伺いする立場になります。歴史的大転換となった合戦でした。

I:義時(演・小栗旬)は、上皇の処遇についての協議の中で、かつて保元の乱で敗れて不遇の死を遂げた崇徳上皇の怨霊が恐れられたことを、〈私はそのようなことは一切気にはせぬ〉とまで言い切ります。もはや恐れるものはなにもない人物のいう台詞ですよね。崇徳上皇といえば、明治維新の際に明治天皇が崇徳上皇の御陵に参拝したというエピソードが思い出されます。

A:本作の範疇の後のことになりますが、「後鳥羽上皇の怨霊」も、度々世を惑わせます。ですから、義時の台詞は印象深いですね。そして、後鳥羽上皇が隠岐に流されることになりましたが、なんと文覚(演・市川猿之助)が登場するサプライズがありました。本作の作者はあらゆる取材を尽くしておられるというのを再三指摘してきました。おそらく上皇が流された隠岐のことも調査されたのではないかと思います。隠岐には、島前と島後、さらに知夫里島という小さな島があります。そこになぜだか「伝文覚上人墓」があるのです。

I:Aさんは、『ビジュアル版 逆説の日本史3 中世編』の取材で隠岐に行っているんですよね。

A:はい。隠岐には、後鳥羽上皇の御陵や火葬塚があり、上皇がご祭神の隠岐神社には上皇のご遺品が伝承されています。そうしたことを取材する中で、知夫里島に文覚上人の墓があることを知りました。その取材の際には、残念ながら知夫里島には行けなかったのですが、あるいは三谷幸喜さんもこの墓の存在を知って、敢えて後鳥羽上皇が流される場面で文覚上人を登場させたのかなと思った次第です。

I:なるほど。荒唐無稽な登場ではなかったということですね。私も久しぶりに文覚さんのお顔が見られてうれしかったです。

A:懐かしい文覚さんが登場したと思ったら、泰時が京でりく(演・宮沢りえ)と再会した場面も描かれました。こちらも懐かしい思いで見ていました。

I:りくが時政(演・坂東彌十郎)のことにも触れていました。回想でかまわないので、登場させてくれたらいいのにと思いました。それだけ本作の時政は心に刻まれる存在でした。回想であの〈オンタラクーソワカー〉のシーンが出てきたら涙腺崩壊でしたよ(笑)。

「毒殺!?」描写は因果応報の仏教説話? 次ページに続きます】

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