棟方志功《門世の柵》〔昭和43(1968)年 棟方志功記念館蔵〕

棟方志功《門世の柵》〔昭和43(1968)年 棟方志功記念館蔵〕

版画家として世界的に評価の高い棟方志功の展覧会が、大阪・あべのハルカス美術館で開催されています。(~2017年1月15日まで)

大正13(1924)年「わだばゴッホになる」の言葉を胸に、青森から上京した青年、棟方志功(1903-1975)は、ゴッホのような油彩画家にはなりませんでしたが、版画家として成功し、世界のムナカタと呼ばれるようになりました。板の声を聞き、渾身を込めて彫る自分の版画を、棟方志功は「板画」と称しました。

本展は、習作期から晩年までの代表作を網羅し、強烈な個性を発揮して制作活動を続けた偉大な作家の生涯を辿ります。

棟方志功《二菩薩釈迦十大出子》「優婆離の柵」〔昭和14(1939)年 棟方志功記念館蔵〕

棟方志功《二菩薩釈迦十大出子》「優婆離の柵」〔昭和14(1939)年 棟方志功記念館蔵〕

本展の見どころを、あべのハルカス美術館の主任学芸員、藤村忠範さんにうかがいました。

「棟方志功は人気のある作家ですから、今まで何度も展覧会が開かれていますが、本展は、質量ともに世界最高レベルのコレクションを誇る棟方志功記念館と青森県立美術館から、代表作中の代表作が出品され、棟方の画業を系統だって紹介する、決定版といえる展覧会と言っていいでしょう。

青森時代の油絵、初期の版画作品、棟方が心の師と仰いだ河井寛次郎や柳宗悦が率いた民藝運動のグループと出会うきっかけとなった作品「大和し美し」、戦後の谷崎潤一郎の小説『鍵』の挿絵、幅27mにおよぶ大作「大世界の柵」、故郷の青森を題材にした「禰舞多(ねぶた)運行連々絵巻」、晩年の美人画の数々、大阪での展示はおそらく初めての巨大な肉筆画「鷲栖(しゅうせい)図」など、代表作が網羅されていて見応えのある展覧会となっています」

版画作品でありながら、1枚しか摺られなかった「飛神(とびがみ)の柵」も出品されます。ぜひ会場でご鑑賞ください。

あべのハルカス美術館のサイトはこちら

【わだばゴッホになる 世界の棟方志功]】
■会期/2016年11月19日(土)~2017年1月15日(日)
■会場/あべのハルカス美術館
■住所/大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
■電話番号/06・4399・9050
■料金/一般1300(1100)円 大高生900(700)円 中小生500(300)円 ( )内は15名以上の団体料金 ※障がい者手帳所持者と付添者1名は半額
■開館時間/火~金曜日:10時から20時まで、月・土・日曜日・祝日:10時から18時まで(いずれも入館は閉館30分前まで)
■休館日/11月21日(月)、11月28日(月)、12月31日(土)、2017年1月1日(日・祝)
■アクセス/JR天王寺駅西改札・近鉄大阪阿部野橋駅西改札・地下鉄御堂筋線天王寺駅西改札・地下鉄谷町線天王寺駅南西/南東改札・阪堺上町線天王寺駅前駅よりいずれもすぐ

取材・文/池田充枝
1989年「サライ」の創刊時より歴史資料の調査や展覧会情報を中心にフリーランスで「サライ」の取材・執筆に携る。

 

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