字画も少なく、しょっちゅう目にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか心配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか?
いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を見ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第97回は、「首肯く」をご紹介します。普段は、別の漢字表記で見慣れている言葉かもしれません。
また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「首肯く」はなんと読む?
「首肯く」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 首を使った動作の一つです……
正解は……
「うなずく」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「承諾や同意などの気持ちを表すために、首を縦に振ること」と説明されています。首を使って、肯定・同意・承諾の気持ちや、納得・理解したことを表す動作です。
見慣れた表記は「頷く」ですが「首肯く」とも書きます。「首肯(しゅこう)」は名詞で、「首肯する」や「首肯できる」のように使うのが一般的です。送り仮名「く」がつくと「うなずく」と読みます。
「首肯く」の漢字の由来とは?
「首肯く」を構成する漢字を見ていきましょう。「首肯く」は「うなずくこと。納得し、賛成すること」を意味する「首肯」に、送り仮名「く」がついたものです。「首」は首を縦に振るという動作に由来します。「肯」は「肯定」という言葉に使われていることから分かるように、相手への同意を示す漢字です。
ちなみに「首肯く」の読み仮名を「うなづく」としないように、注意が必要です。現代仮名遣いでは「うなずく」と書きます。
「うなずく」という言葉は、もともと「項(うな)突く」からきています。「項(うなじ)」は「首・頭」のことであり、この場合の「突く」は「頭、額、膝、手などを地面につける」という意味です。現代では「(~を)突く」という意味合いが消えてしまっているため、「うな」と「つく」を二語に分解しにくく、ひとくくりの言葉になっています。そのため「うなずく」と表記するのが基本だとされています。
「首肯く」と「頷く」の違いは?
「うなずく」を漢字で表すと「頷く」や「首肯く」と書くことができます。両者は同じ言葉でも、漢字表記によって意味が若干異なっていることをご存知でしょうか。
「頷く」の場合は、承諾よりも「相槌」の意味合いが強いとされます。「頷」という字は「顎(あご)」を表しており、顎を動かすことを強調しているといえるでしょう。
「首肯く」の場合は、首の動きだけでなく、その動作に込められた承諾や同意の意味合いが強いです。「肯」の字自体が「承諾する、肯定する」という意味を持っています。承諾や同意を表すときの「うなずく」は、「首肯く」の方が適切だといえるでしょう。
***
いかがでしたか? 今回の「首肯く」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 「うなずく」を始め、見慣れた漢字表記と難しい漢字表記がある言葉は多いです。どちらも使いこなせると、日本語の幅が広がるのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB