正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識“は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第104回は、「含羞草」をご紹介します。夏になると、暑さに負けずピンクのポンポンのような花を咲かせる、あの植物です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「含羞草」はなんと読む?
「含羞草」という漢字、読み方に心当たりはありますか? この植物が持つ、ある特徴的な性質から名付けられました……
正解は……
「おじぎそう」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「マメ科の小低木。物が触れると急に閉じて葉柄から垂れ下がる」と説明されています。夏に薄桃色の小さな丸い花を咲かせるオジギソウは、刺激によって葉を閉じるのが特徴です。葉に衝撃が加わると、付け根にある細胞から水分が抜けてしまいます。そうして葉を支える力が弱まり、葉が閉じるという仕組みなのですが、そうする理由はまだ明らかにされていないようです。
「おじぎそう」という名前は、葉を閉じて垂れ下がった様子が、お辞儀をしたように見えることからつけられました。「含羞草」の他にも「御辞儀草」とも書きます。また、夜になると葉が閉じて、翌朝に起き上がることから別名「眠り草」とも呼ばれる植物です。
「含羞草」の漢字の由来とは?
では、なぜ「おじぎそう」を「含羞草」と書くのでしょうか? 構成する漢字を見ていきましょう。
「含羞草」の「含羞(がんしゅう)」とは「恥ずかしいと思う気持ち、はじらい」を意味する単語です。葉が垂れ下がる様子が、まるで頭を下げ、はじらっているように見えることから「含羞草」の漢字を当てたと考えられています。
また、同様の由来から「羞恥草」と書く場合もあります。
「含羞む」は何と読む?
「含羞草」で使われた「含羞」という言葉は「恥ずかしがること」を指しています。では、そんな「含羞」に送り仮名「む」がついた「含羞む」は何と読むでしょうか?
正解は…「はにかむ」です。聞いたことがある言葉でも、漢字は初めて見たという人もいらっしゃるのではないでしょうか。「含羞む笑顔」「思わず含羞む」など、つい照れくさくなって、恥ずかしくなってしまう様子を表すのに用いられます。ちなみに、これは「はにかむ」と「含羞」が同じ意味を持つことから作られた当て字です。
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いかがでしたか? 今回の「含羞草」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 植物の生態反応を“恥じらい”と捉える奥ゆかしさが、漢字からも伝わってくるのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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