編集者A(以下A):前週に畠山重忠(演・中川大志)が滅ぼされ、時政(演・坂東彌十郎)と義時(演・小栗旬)親子の対立が激化していきます。〈父上の出方次第では、梶原殿や比企殿、畠山殿と同じ道を歩むことにもなりかねません〉と父を脅す義時の凄味がいよいよ臨界点に達している雰囲気です。
ライターI(以下I):ストレートな脅しですよね。義時はほんとうに怖いです。「女性はきのこが好き」で露呈した、思い込んだら後先見えず、という性格が反映されているように思えます。ところで実朝(演・柿澤勇人)と乳母の実衣(演・宮澤エマ)の居室になんと阿野時元(演・森優作)がやってきました。
A:阿野時元がこの段階で登場するとは穏やかではありません。一方で、りく(演・宮沢りえ)が鎌倉殿に娘婿の平賀朝雅(演・山中崇)を擁立しようと企んでいました。「三浦と和田を取り込めば勝てる」というのは、その通りなのですが、なぜか三浦は北条に味方し続ける。この謎も解明されるのでしょうか。
I:そうした中で、重忠の妻ちえ(演・福田愛依)が鎌倉に来て、義時、政子(演・小池栄子)と面会しました。重忠の妻の矜持を示した姿に感動しました。よくよく考えたら、政子や実衣とは姉妹になるわけですから、気が強いのかもしれません。結局、彼女が源氏の足利義純と再婚して子供たちが畠山の名跡を継ぐことになるのですよね。
A:後の室町幕府で管領に任ぜられる家は三家に絞られますが、斯波、細川と並んで畠山もその栄に属しました。能登を本拠とする畠山と河内を本拠とする畠山。いずれも一世を風靡しました。歴代大河ドラマで平均視聴率トップの『独眼竜政宗』(1987)で主人公伊達政宗の父輝宗が畠山(二本松)義継に拉致されて斬られるという前半の衝撃的なシーンがありましたが、この畠山も同族になりますね。
I:名跡を保つということもそうですし、『吾妻鏡』で精一杯顕彰するなど、畠山重忠が「怨霊化」しないようにもろもろ配慮したということでしょうか。
今後は、この男に注目!
I:さて、今週は和田義盛(演・横田栄司)の館で実朝と巴(演・秋元才加)が談笑する場面が印象的でした。上総広常(演・佐藤浩市)のエピソードをさも自分の話であるかのように語っていました。それがどうにも憎めない。得な性格です。
A:こういうキャラクターの人っていますよね。私も好きですし、意外に人望があったりします。実朝も豪放磊落な和田義盛のことを好いたのでしょう。
I:史実でも実朝と義盛は一定の絆で結ばれていたことが伝わっています。その一方で、真面目で思い込みの激しい義時タイプとの相性はあまりよくなかったんでしょうね。
A:今後の展開でもっとも気がかりなのは、和田義盛の動向です。ほんとうに気になります。
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