目次
「二十四節気」の意味は?
「八節」とは?
「四季」を紹介
「雑節」とは?
最後に
「二十四節気」の意味は?
ニュースや天気予報などで「春分」や「立冬」などの季節を表す言葉を耳にするのではないでしょうか。こうした言葉は総称して「二十四節気」と呼ばれます。古くから日本に伝わる四季の捉え方を表わす「二十四節気」とは、一体どのようなものなのでしょうか? 今回は「二十四節気」の意味や分け方、「七十二候」について下鴨神社京都学問所研究員である新木直安氏に紐解いていただきました。
意味
「二十四節気(にじゅうしせっき)」とは、「一年を24等分し、季節を示す名称を与えたもの」だと言われています。太陰太陽暦では毎年の日数が同一ではなく、暦日と季節の関係が変動していました。この季節のずれをなくすために、1年の長さを冬至から始めて24等分し、各分点を太陽が通過するときの時候を表す名称をつけたものです。日本には、7世紀ごろに伝来しました。黄河流域の気候に基づいた区分であるため、日本の気候とは若干のずれがありましたが、古くから農作業の目安とされてきました。
「旧暦」とは?
「旧暦」とは、現在私達が使っている暦(グレゴリオ暦)の前、明治5年(1872)まで日本で用いられていた「太陽太陰暦」のことを指します。新暦が太陽の動きをもとにして作られているため「太陽暦」であるのに対して、「太陽太陰暦」は月の満ち欠けをもとに、季節を表す太陽の動きを加味していました。
「太陽太陰暦」は1か月を29日または30日とし、一年を12か月、約354日と定め、5年に約2度の割で一年を13か月とし、ある月を2度繰り返す閏月を設けるというものでした。
「七十二候」とは?
「七十二候」とは「二十四節気の各節気を、さらに初候・次候・末候の3つに分けたもの」です。一つの節気は約15日間なので、一候は約5日間。僅かな期間の自然の変化が表わされ、きめ細かな季節の移り変わりを感じることができます。七十二候の名称は、気温の変化や動植物の様子が短い文で表されています。例えば「立春」の場合は次のようになります。
初侯「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」は「東風が厚い氷を解かし始める頃」です。
次侯「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」は「うぐいすが山里で鳴き始める頃」です。
末侯は「魚上氷(うおこおりをいずる)」は「割れた氷の間から魚が飛び出る頃」です。
このように気象の動きや動植物の変化を知らせてくれます。
「八節」とは?
「八節」とは「二十四節気のうちの、季節の変わり目を指す8つの節気」という意味です。立春・春分・立夏・夏至・立秋・秋分・立冬・冬至の8つが含まれ、それらがさらに「四立(しりゅう)」と「二至二分(にしにぶん)」に分けられます。
「四立」は「季節の始まり」を意味する節気であり、立春・立夏・立秋・立冬の4つが含まれます。ちなみに「四立」における「立」は「始まり」という意味です。「二至二分」は「それぞれの季節の中間点に位置する節気」であり、春分・夏至・秋分・冬至の4つが含まれます。
「四季」を紹介
「二十四節気」では1か月に2分点ずつを割り当て、先のものを「節気」、後のものを「中気」と名づけました。これに月名を冠して「二月節啓蟄」、「二月中春分」というように称します。2つの「気」×12か月分=24等分、という計算になりますね。そして6つの節気をまとめて1つの季節とするため、4つの季節が存在します。
ここからは日本が誇る「四季」と、そこに含まれる6つの節気をご紹介。「二十四節気」を一覧していきましょう。
1:「春」(2月~5月)
「春」は、次の6つの二十四節気に分けられます。
1番目は正月節「立春(りっしゅん)」(新暦:2月4日〜18日ごろ)
2番目は正月中「雨水(うすい)」(新暦:2月19日〜3月4日ごろ)
3番目は2月節「啓蟄(けいちつ)」(新暦:3月5日〜19日ごろ)
4番目は2月中「春分(しゅんぶん)」(新暦:3月20日〜4月3日ごろ)
5番目は3月節「清明(せいめい)」(新暦:4月4日〜18日ごろ)
6番目は3月中「穀雨(こくう)」(新暦:4月19日〜5月4日ごろ)
2:「夏」(5月~8月)
「夏」は、次の6つの二十四節気に分けられます。
7番目は4月節「立夏(りっか)」(新暦:5月5日〜19日ごろ)
8番目は4月中「小満(しょうまん)」(新暦:5月20日〜6月4日ごろ)
9番目は5月節「芒種(ぼうしゅ)」(新暦:6月5日〜20日ごろ)
10番目は5月中「夏至(げし)」(新暦:6月21日〜7月6日ごろ)
11番目は6月節「小暑(しょうしょ)」(新暦:7月7日〜22日ごろ)
12番目は6月中「大暑(たいしょ)」(新暦:7月23日〜8月7日ごろ)
3:「秋」(8月~11月)
「秋」は、次の6つの二十四節気に分けられます。
13番目は7月節「立秋(りっしゅう)」(新暦:8月8日〜22日ごろ)
14番目は7月中「処暑(しょしょ)」(新暦:8月23日〜9月7日ごろ)
15番目は8月節「白露(はくろ)」(新暦:9月8日〜22日ごろ)
16番目は8月中「秋分(しゅうぶん)」(新暦:9月23日〜10月7日ごろ)
17番目は9月節「寒露(かんろ)」(新暦:10月8日〜23日ごろ)
18番目は9月中「霜降(そうこう)」(新暦:10月24日〜11月7日ごろ)
4:「冬」(11月~2月)
「冬」は、次の6つの二十四節気に分けられます。
19番目は10月節「立冬(りっとう)」(新暦:11月8日〜21日ごろ)
20番目は10月中「小雪(しょうせつ)」(新暦:11月22日〜12月6日ごろ)
21番目は11月節「大雪(たいせつ)」(新暦:12月7日〜21日ごろ)
22番目は11月中「冬至(とうじ)」(新暦:12月22日〜1月5日ごろ)
23番目は12月節「小寒(しょうかん)」(新暦:1月6日〜19日ごろ)
24番目は12月中「大寒(だいかん)」(新暦:1月20日〜2月3日ごろ)
「雑節」とは?
カレンダーには「二十四節気」以外にも、「節分」や「彼岸」といった言葉も書かれています。こうしたものは「雑節(ざっせつ)」と呼ばれますが、一体どういった意味があるのでしょうか?
「雑節」とは?
「雑節」とは「二十四節気以外に、季節の変化の目安とする特定の日の総称」という意味です。季節の移り変わりを示す、目印の役割を担っています。日本の季節に合わせて、日本で独自に作られました。農作業の目安とされ、現在でも風習や行事として各地に伝えられています。
主な「雑節」を紹介
東京天文台が発表している官報によると、現在は「節分」「彼岸」「八十八夜(はちじゅうはちや)」「入梅(にゅうばい)」「半夏生(はんげしょう)」「土用」「二百十日(にひゃくとおか)」の7つが「雑節」にあたります。初めは上記のほかに「社日(しゃにち)」と「二百二十日(にひゃくはつか)」も含まれていました。
「八十八夜」と「二百十日」は立春の日から数えてそれぞれ88日目、210日目にあたる日です。また、「入梅」は梅雨の入りを意味する雑節の一つ。現行暦の6月11日頃ですが、この日から梅雨が始まるわけではなく、およそこの頃から雨期に入ることを知らせています。「半夏生」は夏至から数えて11日目にあたり、現行暦の7月2日ごろです。この頃から梅雨が明け、田にカラスビシャク(半夏)が生えるのを目安に、田植えの終期とされてきました。
最後に
一年を季節ごとに24等分した「二十四節気」。これらは昔の人々がいかに季節の変化を意識しながら、その移ろいを日々の生活に取り入れていたかを示してくれています。生活が大きく変わった現代では、あまり二十四節気を意識することはないかもしれません。
「二十四節気」の言葉の意味を知ることで、小さな気温の変化や動物、植物に見られる兆しに目を向け、季節が移ろう喜びを感じてみてはいかがでしょうか。
監修/新木直安(下鴨神社京都学問所研究員) HP:https://www.shimogamo-jinja.or.jp
構成/トヨダリコ(京都メディアライン)HP:https://kyotomedialine.com Facebook