正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識“は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第95回は、「焼べる」をご紹介します。「焼き芋」「燃焼」などの言葉に使われる「焼」という漢字に、送り仮名「べる」がついた時、何と読むのでしょうか?
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「焼べる」はなんと読む?
「焼べる」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「やきべる」や「しょうべる」ではなく……
正解は……
「くべる」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「燃やすために火の中に入れる」と説明されています。火が小さくなってきたら、その火を絶やさないために、燃料となる薪や小枝、紙くずなどを追加しなくてはなりません。「焼べる」は、その様な状況で、火に薪や紙などを入れること・補充することを指しています。
昔は、料理や風呂のために、薪を燃やして火を起こしていました。そのため日常生活の中で薪を「焼べる」ことは珍しいことではありませんでした。しかし、現在は自動化が進み、わざわざ自分で火を起こす機会は少なくなっています。「焼べる」という作業が減り、言葉自体もあまり使われなくなってしまったのではないでしょうか。
「焼べる」の漢字の由来とは?
「焼べる」を構成する漢字を見ていきましょう。「焼」という字には、「火の中に入れる」という意味が込められています。
「焼べる」の語源は諸説ありますが、古語の「焼ぶ」に由来していると言われています。「焼(く)ぶ」とは「火の中に入れる」の意で、これが時代とともに変化して「焼べる」になったとされています。
他にも、火に物を入れるところから「加(くわ)える」の意味から、「くべる」となったとする考えもあります。
「焼べる」と「焚べる」の違いは?
「焼べる」の他にも「くべる」を「焚べる」と書く場合があります。ただ、「焚べる」という漢字表記は辞書には載っていないため、こちらは当て字だという考えが一般的です。「焚」という字には「(燃料を)燃やす、火にくべて燃やす」という意味があるため、火の中に薪などを入れることを指す「くべる」と結びつきやすいのでしょう。
「くべる」を用いる際には「焚べる」ではなく「焼べる」を使うようにしましょう。
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いかがでしたか? 今回の「焼べる」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 時代の移り変わりとともに、言葉との距離も変化していきます。漢字の学びを通して、馴染みの薄くなった言葉と昔の習慣に思いを馳せてみるのも良いかもしれません。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB