字画も少なく、しょっちゅう目にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか心配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか?
いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を見ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第87回は、「土筆」をご紹介します。春の到来を告げる代表的な植物の一つです。
また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「土筆」はなんと読む?
「土筆」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「つちふで」ではなく……
正解は……
「つくし」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「早春に出る、スギナの胞子茎」と説明されています。春になると地面から芽吹く、細筆を上に向けたような形状をした植物です。早春に田んぼや土手などに、土から筆のように顔を出し、すくすくと伸びる姿を誰もが一度は目にしたことがあるではないでしょうか。
スギナの胞子を飛ばすのが役割である「土筆」は、春に伸びてきて胞子を飛ばし終わったら枯れていきます。また、古くから食用にする地域もあり、味覚からも春を感じさせてくれる植物です。
「土筆」の漢字の由来とは?
ここからは「土筆」を構成する漢字を見ていきましょう。なぜ「土」と「筆」と書いて「つくし」と読むのでしょうか? これは野に生えているその姿が、“土”に刺さった“筆”のように見えることに由来するとされています。
ちなみに「土筆」は、別名「筆頭菜(ひっとうさい)」とも呼ばれます。これも「土筆」と同様に、“頭”が“筆”のように見えることからこの名がつけられたのでした。
「土筆」の語源とは?
そもそも「つくし」という名の語源はなんなのでしょうか? 諸説ありますが、これは「澪標(みおつくし)」(船が港へ入る通路を示した杭)の「つくし」だとされています。つくしの姿を突き立った杭に見立てているのですね。
また、古くは「突く突くし(つくづくし)」と呼ばれ、「つくし」はそれを略したものだとも考えられています。「突く」とは、地面から突き出ていることを意味します。
いずれにせよ、その特徴的な姿が名称や漢字表記の由来になっていると言えます。
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いかがでしたか? 今回の「土筆」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 気温も上がり、過ごしやすい穏やかな季節が訪れ始めました。お出かけの際には「土筆」をはじめとする小さな春を探してみるのはいかがでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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