だんだんと蒸し暑さを感じる日が多くなり、早春の頃の冷気が恋しくなる季節になってまいりました。注目の冷却グッズなども、そろそろ欲しくなり始めております。
日を追うごとに、日の出の時刻も早まり、一日が長〜くなったことを実感する今日この頃です。南北に長い日本列島、ところによって異なりますが、すでに4時30分頃には日の出を迎える地域もあります。暦では、日中が一番長い日を「夏至」(げし)と言います。
これほど朝が早い時期になりますと、以前から議論されているサマータイムを導入するのもいいかも? と思ったりもします。調べてみますと、過去、日本においては、昭和23年(1948)から26年(1951)までの4年間実施されたことがありました。その時には、慣習の変更を好まないなどの理由により廃止となっております。
しかし、近年の「猛暑の夏」のことや「働き方改革」が叫ばれていることを考えますと、改めてサマータイム導入を検討すべきなのではないかと思ったりしております。
今回は、旧暦の第10番目の節気「夏至」について、下鴨神社京都学問所研究員である 新木直安氏に紐解いていただきました。
目次
夏至とは?
夏至の日照時間は?
夏至に行われる行事とは?
夏至と冬至の違いとは?
夏至の時期ならではの食べ物
夏至に見頃を迎える花
まとめ
夏至とは?
「夏至」とは、二十四節気の1つで、一年で最も昼の時間が長くなる日です。太陽が最も北に来るため、北半球では昼が最も長く、夜が最も短くなります。太陽が真南にきて最も高くあがったときの地平線との間の角度を「南中高度」といいますが、夏至は南中高度が最も高いため、太陽が出ている時間が長くなるのです。
夏至は毎年6月21日か22日にあたり、2022年は6月21日が該当します。また、夏至から次の二十四節気である「小暑」になる7月7日頃までの期間を指して、夏至と呼ぶ場合もあります。
「夏に至る」という言葉の通り、夏至の日は本格的な夏の始まりを意味します。気温も上がり、日照時間がピークを迎えますが、日本の6月後半は梅雨真っ只中。どんよりと曇っていることが多いので、昼の長さはあまり感じられません。夏の始まりはあくまで暦上、と言えます。ただ、夏至の期間を過ぎたら、梅雨明けも間近です。季節は一気に本格的な夏へと向かっていきます。
夏至の日照時間は?
夏至は、日照時間が一年で最も長くなります。国立天文台が想定する2022年の日の出入りを基に解説していきますしょう。2022年の夏至に当たる6月21日、東京の日の出の時間は4:25、日の入りの時間は19:00です。つまり、東京の日照時間は約14時間35分になります。
反対に最も夜が長く、日照時間が短くなる冬至の日と比較してみましょう。2022年の冬至に当たる12月22日、東京の日の出の時間は6:47、日の入りの時間は16:32です。つまり、その日の東京の日照時間は約9時間45分。夏至と冬至を比べると、東京では約5時間も日照時間の差があるといえます。
夏至に行われる行事とは?
夏至には、「夏越しの祓(なごしのはらえ)」(水無月祓、もしくは大祓)が行われます。古代律令制下では旧暦6月と12月の晦日に執り行われた国家の祭祀でしたが、応仁・文明の乱以降衰退しました。しかし、大祓が伝わった各神社で今もなお継承されています。また、民間にも伝播し、6月の祓を重要視した信仰が加わった「夏越しの祓」は日本各地で盛んに行われるようになりました。茅の輪くぐりがその一つの祭儀となります。各地方の風土や文化、悪疫退散の願いなどの捉え方により、独特な祭礼に変化をしたところもあります。
下鴨神社では、夏至の時期から離れますが、7月土用の丑の日の「御手洗神事(足つけ神事)」や8月の立秋前夜の「矢取りの神事」が夏越しの祓に当たります。
夏至の日に行われるお祭りとして有名なものは、お伊勢参りで身を清める場所として知られる、二見興玉神社の「夏至祭」が挙げられます。伊勢神宮には太陽を神格化した天照大御神(あまてらすおおみかみ)が祀られており、太陽の力が最大になると考えられている夏至の日に、昇る朝日を浴びながら禊(みそぎ)を行います。
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