夏至と冬至の違いとは?

「一年で最も昼が長い日」である夏至と対になるのが、「一年で最も昼が短い日」である冬至です。冬至は毎年12月21日または22日で、2022年は12月22日が該当します。

「夏至」の太陽は、最も北寄りの東から昇り、南中高度が最も高い場所を通って、最も北寄りの西に沈んでいきます。一方で「冬至」の太陽は、一年で最も南寄りの東から昇り、南中高度が最も低い場所を通って、最も南寄りの西に沈んでいきます。そのため、両者の太陽の通り道には差が生まれ、それが昼間の長さに反映されるのです。

二十四節気のうち、夏至と冬至は「二至」と呼ばれ、どちらも季節を分ける大切な時期とされています。違いは、太陽の動きの変化によって、昼間と夜の長さが逆転する点だと言えます。

夏至の時期ならではの食べ物

夏至の時期に旬を迎える京菓子、野菜、魚をご紹介します。

京菓子

水無月(みなづき)

京都では、古来より謂れのある神事や儀式が受け継がれております。それら一つひとつの神事や儀式は、長きにわたり継承されて来たしきたりや作法に則って執り行われ、神聖な神事における一連の儀式おいて、京菓子は神への献上品や捧げ物として重要な役割を担ってまいりました。

下鴨神社に神饌などを納める「宝泉堂」の社長・古田泰久氏に、神事や儀式と京菓子との深い結びつきについて語っていただきました。

「夏至の時期には、『水無月』という生菓子を提供します。平安時代、宮中では、旧暦の6月1日に北山の氷室(ひむろ)に蓄えていた氷を口にして暑気払いをする風習がありました。その時に食べる氷の形を模して作られたのが『水無月』だと伝わっています。

令和4年(2022)78年ぶりに再興した下鴨神社の氷室。
氷室の本来の目的は、神饌御料の保存。

京都では6月30日になると半年間の罪や穢れを祓い清める神事『夏越しの祓』が、市内各地の神社で催されます。この神事の際に災厄を祓い無病息災を願って食べられるのが『水無月』です。三角の形は暑気を払う氷、そして小豆の赤色は邪気払いの意味が込められています。

『茶寮宝泉』では2022年は6月3日から30日まで、『水無月』を店頭に並べています。残り半年を無事に過ごせるよう願いながら、食してみてはいかがでしょうか」と古田氏。

社長の古田泰久氏。「茶寮宝泉」の庭を背景に。

「茶寮宝泉」の『水無月』は、弾力のある白のういろう生地の上に丹波大納言小豆をふんだんに並べて蒸しあげ、三角形に切り分けた生菓子です。いにしえ人に倣い、夏本番を前に暑気払いをしてみてはいかがでしょうか。

野菜

旬の野菜は、オクラです。刻むと独特の粘り気が出る、緑黄色野菜のオクラ。同じくネバネバ食材の納豆や山芋の粘り気が、加熱すると弱まってしまうのに対して、オクラのネバネバは多少の加熱では失われません。そのため、煮物や揚げ物、炒め物でも楽しめます。

旬を迎える魚は、アユです。資源保護のため、11月~5月は禁漁となっているところが多くなっており、禁猟明けの6月~8月頃が旬となっています。特に7月の若鮎は骨も柔らかく、美味しいとされています。万葉集でもアユを題材にした歌が詠まれており、その上品な香りと繊細な味わいや内蔵のほろ苦さが日本人に好まれ、愛され続けている魚です。

夏至に見頃を迎える花

夏至、つまり6月21日頃~7月7日頃は、気温が上がり始め、日本が「夏に至る」時期です。ここからは、そんな夏至の訪れを感じさせてくれる花をいくつかご紹介しましょう。

ハナショウブ

ハナショウブは夏至の時期に花を咲かせます。水辺を好み、梅雨空のもと穏やかに咲く花です。どんよりとした灰色の空に、しっとり落ち着いた雅な色合いがよく映えます。ちなみに、端午の節句のショウブ湯に利用されるのは、サトイモ科で、ハナショウブとは別の植物です。

また、「半夏」という別名を持つ、カラスビシャクという薬草が生える時期でもあります。葉の半分が白、半分が緑という印象的な姿をしています。この草の葉が白く染まる頃が、農事の節目ともされており、田植えを終わらせる頃を知らせてくれるのです。ちなみに名前は「夏の半ば」に花が咲き、その頃採取することに由来します。

まとめ

「夏至」の時期、京都では京菓子「水無月」をいただきますが、関東と奈良県近辺では麦ともち米を合わせた「半夏生餅」を食す風習があるようです。これは、田植えが終わり、田の神様に感謝を表すこととされています。

また、『日本民俗辞典 植物編』(鈴木棠三・著)によりますと、愛媛県の俗信として「半夏生の頃に新麦を炒り、粉末にしてその粉を家の周囲にまくと、ヘビが入り込まない」という言い伝えがあるとか。何故、このような俗信(民間信仰)が成立したのかは不詳ですが、面白いものですね。

本格的な夏の始まりを告げる「夏至」。実際の天候とのズレから、意識されることが少ない季節といえるかもしれません。しかしながら、太陽とともに農業を営んできた昔の人々にとっては忘れてはならない時期です。梅雨時、晴れ間に見られる太陽に夏を感じてみてはいかがでしょうか。

監修/新木直安(下鴨神社京都学問所研究員) HP:https://www.shimogamo-jinja.or.jp
協力/宝泉堂 古田三哉子 HP:https://housendo.com 
インスタグラム:https://instagram.com/housendo.kyoto
構成/トヨダリコ(京都メディアライン)HP:https://kyotomedialine.com Facebook

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