ニューノーマルの時代の今、「自分はこのままでいいのだろうか?」「新しいことを学びたい」と考えている大人たちは多いのではないでしょうか? しかし、仕事に家庭にと、日々やることが多く、なかなか学ぶ時間がとれない。

そんな悩める大人のみなさんに、英検1級をはじめ、130超の資格取得を果たした翻訳家・宮崎伸治さんの著書『自分を変える! 大人の学び方大全』から、語学学習のコツをご紹介します。

文/宮崎伸治

日常英会話の学習が続かない理由

英語の技能はリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つに大別できる。中でも英語がペラペラになりたいと願う人は多く、ある調査によれば、身につけたい英語力のダントツの1位が「日常英会話」だという。ただ、英語が流暢に話せるようになったとして、それでいったいだれと何を話したいのかが明確でなければ、モチベーションを維持するのは困難だろう。

たとえば、通訳になりたい、留学したい、外資系企業に転職したいなど具体的に英語が話せるようになりたい理由が明確な場合はモチベーションを維持しやすいだろう(それとて簡単なことではないが)。

しかし漠然と「海外旅行したときに流暢にしゃべりたい」とか「英語が話せるとかっこいい」と思って英会話の練習をはじめても、モチベーションが維持できなければ長続きしないだろう。実際、私はこれまでひじょうに多くの英語学習者を観察してきたが、英語がぺラペラになることを目標として掲げていた人はほぼ全員が途中で投げ出している。

それもそのはずで、そもそも外国人と話す機会も海外旅行に行く機会も滅多にないのだから、いずれモチベーションが下がるのは自然なのだ。私は都心に住んでいるが、それでも日常生活で英語を話す機会など年に1度もないくらいである。しかもそれは道を尋ねられる程度のことで、時間にして1分程度の簡単な会話である。都心でさえこんな状態なのだから、外国人の少ない地域では英語を話す機会はさらに少ないだろう。

ペラペラに話せるようになるためのモチベーションを維持する方法がないわけではない。英会話サークルに入る、英会話学校に通う、スピーチコンテストに参加する、ボランティア通訳をする、外国人の友人や恋人を作るなどだ。しかも英会話力を身につけることは愉しいことでもある。だからモチベーションが続くのであればどんどん英会話力を磨くといい。

楽しみながらモチベーションが続く「受信能力強化論」

だが、ペラペラに話せるようになること以上にモチベーション維持がしやすく、愉しめ、しかも自分自身の成長にもつながる方法論がある。それを私は「受信能力強化論」と名付け、提唱したい。これはつまり、「受信能力」(リーディングとリスニング)を強化することを主眼とする。私がこれを提唱する理由は、リーディングとリスニングの能力は独学で磨くことが可能なこと、そして磨けば磨くほど愉しめる機会がふえることである。

考えてみると現在ほどその恩恵にあずかれる時代はない。実際、インターネットを利用すれば、海外から原書を簡単に取り寄せることもできるし、海外の映画や動画も見放題である。しかも教養を磨けるような質の高いものも視聴できる。愉しみが無限に広がるのだ。

では、なぜ「受信能力強化論」ではモチベーションが続くのか。それはリーディングやリスニングの愉しみを知れば知るほど受けられる恩恵も大きくなり、他人に依存しないで一人で愉しむことができるからである。

リーディングに関していえば、英語で書かれた書籍は日本語で書かれた書籍の何十倍もある。インターネット上の情報もその大半は英語で書かれたものである。したがって英語が読めるようになれば読める文章の量が爆発的にふえる。日本人が日本語で書いたものしか読めなかった人も、英語が読めるようになれば、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどなど、英語圈の作者が書いたものが読める。

リスニングに関していえば、リーディングより大きな恩恵にあずかれる。私はNetflixを利用しているが、インターネットを活用すれば海外の映画・動画は月990円で見放題である(2021年冬現在)。

* * *

英会話を学びたいと思っても、英語を話す機会や目的がないのでは、学習の継続は難しいことでしょう。まずは、独学で学習できる「リーディング」と「リスニング」を強化することで、より多くの英語情報に触れることができ、知識の幅が広げられる。その結果、英語学習が楽しくなり、続けられる。何事も継続するには、目的設定が大切なのですね。

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宮崎伸治(みやざき・しんじ)
青山学院大学国際政治経済学部卒業。英シェルフィールド大学大学院言語学研究科修了。大学職員、英会話講師などを経て出版翻訳家となり、著訳書は60冊以上。金沢工業大学大学院工学研究科修了、慶応義塾大学文学部卒業、英ロンドン大学哲学科卒業、および神学部サーティフィケート課程修了、日本大学法学部、および商学部卒業。英語・翻訳関係の資格をはじめとする133種の資格を取得。英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、中国語の原書を読むことが趣味でありライフワーク。日々ボキャブラリー力アップに心血を注ぐ。主な訳書に『7つの習慣 最優先事項』(キングベアー出版)、近著に『出版翻訳家になんてなるんじゃなかった日記』(三五館シンシャ)などがある。

 

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