歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして…。うっかり漢字の読み方なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の方は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳とってきちゃって、なかなか思い出せなくて….」なんて言い訳するようでは、サライ世代の沽券に関わる?
そんなことにならないように、動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。
「脳トレ漢字」第38回目は、「産土」をご紹介します。ある土地を指す言葉です。
この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
■「産土」はなんと読む?
「産土」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「土」の読み方がポイントです……
正解は……
「うぶすな」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「その人の生まれた土地」または「産土神の略」と説明されています。「先祖伝来もしくは自分の出生地」を表現する言葉が「産土」です。そして、その土地の鎮守社またはその祭神を守護神と信じて「産土神」と呼びます。
■「産土」の漢字の由来とは?
「産土」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「産」は「うまれること」を、「土」は「土地」を意味しています。「“産”まれた“土”地」で、「産土」(うぶすな)です。
文献にみられる「うぶすな」の表記は、「産砂」「生土」「産須那」など様々な種類があります。「うぶ」の語義は「産」(「生」)でいずれも解釈が一致していますが、「すな」については諸説あり、と言われています。
■「産土神」と「氏神」の違い
「産土神」と「氏神」、この二つの神は一般的には同じ意味で使われていますが、本来は異なる神でした。古代においては、氏(うじ)を名乗る氏族がまつった神を「氏神」と呼んでいました。しかし中世に武士の力が強まると、氏族という血縁社会から地縁社会へと変化する中で、その土地の神である「産土神」を「氏神」としてまつるようになりました。
つまり、「氏神」は「一族の祖先神あるいは守護神」であるのに対して、「産土神」は「生まれた土地を守護してくれる神様」であると言えます。しかし今では、「産土神」は「氏神」とも言われるようになり、双方の判別はつきにくくなってしまいました。
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いかがでしたか? 今回の「産土」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? ご自身の「氏神」は知っていても「産土神」を知らないという方は、調べてみるのも面白いかもしれません。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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