ここで王維の「送別」が登場する意味とは?

I:そうした中、光秀は問題になっている「平蜘蛛の茶釜」を信長の前に披露します。

A:なんだか、前週に伊呂波太夫(演・尾野真千子)から聞いたことをそのまま信長に訳知り顔で話してましたね。

I:名物を持つ人間には覚悟がいるって話ですよね。〈いかなる折も 誇りを失わぬ者、志高き者、心美しき者〉ですね。まるで自分の言葉のように……。

A:ますます火に油を注いでいる感がしたのですが。信長をわざと怒らせているのではないかと……。

I:何か焦っている印象を受けます。妻煕子(演・木村文乃)の死、丹波攻略の苦労などストレス過多なのかもしれません。そういう状況を三条西実澄(演・石橋蓮司)の館で、見透かされました。

A:王維の〈送別〉ですね。〈君に問う 何れの所にか 之くと 君は言う 意を得ず 南山の陲に帰臥せんと〉=「これからどこに行くのかと尋ねたら、何もかも思い通りにならないので南山あたりに引きこもるつもりだ」と。

I:実澄が〈今の明智殿の気持ちじゃ〉と言いましたね。見透かされていたというよりも、もしかしたら朝廷にそうなるように誘導されていたともとれませんか?

A:光秀が朝廷に洗脳されていたっていうことですか? それは斬新だ!

王維の「送別」が代弁する光秀の思いとは。

●ライターI 月刊『サライ』ライター。2020年2月号の明智光秀特集の取材を担当。猫が好き。
●編集者A 月刊『サライ』編集者。歴史作家・安部龍太郎氏の「半島をゆく」を担当。初めて通しで視聴した大河ドラマは『草燃える』(79年)。NHKオンデマンドで過去の大河ドラマを夜中に視聴するのが楽しみ。 編集を担当した『明智光秀伝 本能寺の変に至る派閥力学』(藤田達生著)も好評発売中。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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