平吉少年の死で考えたこと

戦国の転売ヤーとして一躍話題となった平吉少年(演・込江大牙)は叡山攻めに巻き込まれて亡くなってしまう。

I:その架空キャラのひとりである菊丸が久しぶりに登場しました。台詞はなかったですが、摂津晴門が叡山に行ったことを注進する役割を担っていたようです。そして、いよいよ叡山焼き討ちの場面となりましたが、なんと第25話で駒が手がける丸薬を転売していた少年の平吉(演・込江大牙)が叡山攻撃に巻き込まれて命を落としてしまいます。

A:私はこのシーンを見て、はたと気づいたことがあります。今年の大河を〈戦国の王道大河〉だと勝手に思い込んでいたのではないかと。もしかしたら制作陣は最初から庶民目線のドラマを主軸に考えていたのではないかと。光秀の物語と、駒が代弁する庶民の物語の両方があったんだと。

I:それは考えすぎだと思いますよ。それこそ、最終回を見届けてから総括してください。

A:はいはい。ところで、今週は、正親町天皇が弟覚恕に対する思いを語る場面や武士の棟梁たる将軍の力で平らかな世を目指す光秀に対して、帝に和睦の仲介を頼もうとする信長の間に微妙な不協和音が流れる場面が印象に残りました。いずれも演技で魅せられました。

I:私は、松永久秀(演・吉田鋼太郎)が怒る場面が衝撃でした。将軍との宴席に久秀と対立する筒井順慶(演・駿河太郎)も出席している。それを知らずにやってきた久秀が激怒するのは当然です。ところが松永の怒りを目の当たりにした光秀はなぜか狼狽します。筒井をこちら側に引き寄せたのは前週の自分のくせに、光秀は何をしらばっくれているのかと思いました。

A:(笑)。なんだか摂津晴門のせいにしていましたよね。摂津が招かずともいずれバレるんですけどね。光秀甘いぞ!と思いました。

I:なにはともあれ、武田信玄の登場も近いですし、私たちは最終回まで視聴率100%で突っ走りたいと思います(笑)。

敵対する筒井順慶(演・駿河太郎)と同席させられて憤慨する松永久秀(演・吉田鋼太郎)

●ライターI 月刊『サライ』ライター。2020年2月号の明智光秀特集の取材を担当。猫が好き。
●編集者A 月刊『サライ』編集者。歴史作家・安部龍太郎氏の「半島をゆく」を担当。初めて通しで視聴した大河ドラマは『草燃える』(79年)。NHKオンデマンドで過去の大河ドラマを夜中に視聴するのが楽しみ。 編集を担当した『明智光秀伝 本能寺の変に至る派閥力学』(藤田達生著)も好評発売中。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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