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取材・文/出井邦子 撮影/馬場隆

後半生の目標は、カラー魚拓で日本の魚食文化を世界に広めること。そんな魚拓作家の健康は、彩りのいい野菜が支える。

【山本龍香さんの定番・朝めし自慢】

前列左から時計回りに、ご飯、キンカンの甘煮、梅干し、スクランブルエッグ、ウィンナーソーセージ、野菜サラダ(トマト・パセリ・サラダ菜・胡瓜・セロリ)、塩、フレンチドレッシング、煎茶・味噌汁(豆腐・油揚げ・長葱)。キンカンの甘煮は姉の手作りで、箸休めにつまむ。梅干しは塩分3%と低塩。野菜サラダには塩とフレンチドレッシングをかける。

前列左から時計回りに、ご飯、キンカンの甘煮、梅干し、スクランブルエッグ、ウィンナーソーセージ、野菜サラダ(トマト・パセリ・サラダ菜・胡瓜・セロリ)、塩、フレンチドレッシング、煎茶・味噌汁(豆腐・油揚げ・長葱)。キンカンの甘煮は姉の手作りで、箸休めにつまむ。梅干しは塩分3%と低塩。野菜サラダには塩とフレンチドレッシングをかける。

朝食は8時半~9時頃。昼は麺類が多く、週2~3回は気分転換のために外食。「70歳を機に私も家内も運転免許証を返納したので、今は買い物や外食で歩くようにしています」と山本龍香さん・尉恵香さん夫妻。

朝食は8時半~9時頃。昼は麺類が多く、週2~3回は気分転換のために外食。「70歳を機に私も家内も運転免許証を返納したので、今は買い物や外食で歩くようにしています」と山本龍香さん・尉恵香さん夫妻。

朝の味噌汁の出汁は鰹節と昆布で取る。鰹節を削るのは龍香さんの仕事だ。「上手に削るには、鰹節を湯気で温めてしっとりさせるといい。それと刃の出具合がカギです」

朝の味噌汁の出汁は鰹節と昆布で取る。鰹節を削るのは龍香さんの仕事だ。「上手に削るには、鰹節を湯気で温めてしっとりさせるといい。それと刃の出具合がカギです」

もともと魚が好きだった。30歳を過ぎた頃、生活に余裕ができて、釣りを始めた。最初は釣果の記録として、墨で刷り上げる魚拓を楽しんだ。これが山本さんの魚拓の原点である。ところが、ある日、東京・晴海でカラー魚拓と出会う。

「衝撃的でした。忘れもしない赤くて美しいマダイのカラー魚拓でした。誰でもできるよ、という会員の言葉に勇気づけられて、同好会“美術魚拓竜の子会”に入れてもらったのです」

初めてカラー魚拓を見たのが、マダイのそれだった。上は龍香さんの手になるマダイのカラー魚拓で、薄い色から13回もインクを塗り重ねて、奥行きのある美しい赤い色を出す。

初めてカラー魚拓を見たのが、マダイのそれだった。上は龍香さんの手になるマダイのカラー魚拓で、薄い色から13回もインクを塗り重ねて、奥行きのある美しい赤い色を出す。

そこで修業すること8年。“龍香”の雅号をもらい、指導者の道が開ける。これが後半生を決めた。50歳で『インターナショナル魚拓香房』を設立し、日本人また外国人に魚拓指導を始める。今まで15か国100都市以上で約2000人に教えてきたが、生徒は外国人のほうが多い。

というのも、工学院大学電子工学部を卒業し、輸入電子計測機器を扱う商社に就職。頻繁に海外出張があり、彼の地の人たちとの接点が多かったからだ。

「香房では魚拓作りを楽しんでもらうと同時に、終えた後には魚を捌いて、ありがたくいただく。そこまでを講習としています。カラー魚拓を通して日本の魚食文化や伝統文化、日本の心も伝えたいと思っておりますので……」

国内外に生徒がいるが、左はアメリカ・ノースカロライナでの魚拓教室で。満足そうに笑顔で仕上がった作品を手にする生徒らと一緒に。手前が山本龍香さん。この後、魚を調理して美味しく食したのはいうまでもない。

国内外に生徒がいるが、左はアメリカ・ノースカロライナでの魚拓教室で。満足そうに笑顔で仕上がった作品を手にする生徒らと一緒に。手前が山本龍香さん。この後、魚を調理して美味しく食したのはいうまでもない。

1日300gの野菜+青汁

60歳で商社を定年退職し、今はカラー魚拓を国内外に広める活動に専念。身長173cm、体重70kg。健康を保つ秘訣は何か。

「20年前に初期の糖尿病と診断され、以来、1日の摂取カロリーを1300キロカロリーと決めています。その結果、体重は90kgから70kgに減量。今ではこの食事に充分満足で、体重も維持しています」

後を引き受けて、尉恵香夫人が続ける。

「1日のご飯は330g、1食110gです(普通のご飯茶碗1杯で約150g)。野菜は緑黄色と淡色を合わせて1日150g)。野菜は緑黄色と淡色を合わせて1日300g。理想をいえば350gは摂りたいので、その不足分を補うために青汁も飲んでいます。夜も和・洋・中を問わず、野菜たっぷりの献立を心がけています」

20年前までは豚カツなどの油っぽいものや塩辛いものが大好物だったが、栄養学を独学で勉強した夫人の内助の功で、今はバランスのいい食生活だ。龍香さんの健康は、賢夫人のお陰である。

コーヒーには一家言ある。器具はサイフォン、コーヒーメーカー、ドリッパー、圧縮式、エスプレッソ用と揃い、豆の種類やその日の気分によって使い分ける。豆も世界各国から取り寄せているが、今のお気に入りはハワイの豆。

コーヒーには一家言ある。器具はサイフォン、コーヒーメーカー、ドリッパー、圧縮式、エスプレッソ用と揃い、豆の種類やその日の気分によって使い分ける。豆も世界各国から取り寄せているが、今のお気に入りはハワイの豆。

山本夫妻の元気の秘訣は、楽器演奏での共演。龍香さんは60歳で二胡を、尉恵香さんは70歳でバイオリンを習い始め、ふたりの得意曲は『川の流れのように』だという。

山本夫妻の元気の秘訣は、楽器演奏での共演。龍香さんは60歳で二胡を、尉恵香さんは70歳でバイオリンを習い始め、ふたりの得意曲は『川の流れのように』だという。

その魚の姿、形、色を表現し、生きた証を後世まで残したい

左からアジ、サバ、イワシの青魚3種。目に力があり、実際に魚が泳いでいるかのような臨場感がある。複数の魚のカラー魚拓を集めると、まるで水族館の中にいるような趣だ。

左からアジ、サバ、イワシの青魚3種。目に力があり、実際に魚が泳いでいるかのような臨場感がある。複数の魚のカラー魚拓を集めると、まるで水族館の中にいるような趣だ。

魚拓には直接法と間接法がある。龍香さんのカラー魚拓は魚の上に魚拓紙をかぶせて、色を重ねていく間接法だ。腕しだいで芸術の域にまで達することができる。しかも、その魚がどこに棲息し、何を食べていたかを調べ、生きた証を残すことを心がけるという。

「カラー魚拓は絵でもなければ、写真でもない。実寸大です。生きている時の姿、形、色を表現できるのが魅力なんです」

それを後世に残したいと独自にカラーインク“ドラゴンインク”を開発。色がにじまない、年月経過しても色あせない、和紙・絹・ポリエステル・木綿などの魚拓紙に対応できる、などの特徴がある。

自ら開発した“ドラゴンインク”10色と、大小さまざまな“たんぽ”。たんぽとは、綿を絹布でくるんだ道具で手作り。これでポンポンと、薄い色から何層にも重ねていく。

自ら開発した“ドラゴンインク”10色と、大小さまざまな“たんぽ”。たんぽとは、綿を絹布でくるんだ道具で手作り。これでポンポンと、薄い色から何層にも重ねていく。

最後に、目だけは細筆を使って描き入れるのが山本龍香流。その魚がどんな生き方をし、どんな景色を見てきたのか、魚と対話しながら“命”を吹き込むのだという。魚はマアジ。

最後に、目だけは細筆を使って描き入れるのが山本龍香流。その魚がどんな生き方をし、どんな景色を見てきたのか、魚と対話しながら“命”を吹き込むのだという。魚はマアジ。

ダイオウイカ研究の第一人者、窪寺恒己さんの協力を得て、ダイオウイカのカラー魚拓もとった。全長6.7mで、学術的見地からも貴重だ。次はクジラに挑戦したい──。さらなる夢が広がる。

今夏(7月4日~9月22日)、茨城県自然博物館(電話:0297・38・2000)で開催される企画展『深海ミステリー2020』で、龍香さんの深海生物のカラー魚拓が展示される予定だ。

取材・文/出井邦子 撮影/馬場隆

※この記事は『サライ』本誌2020年6月号より転載しました。年齢・肩書き等は掲載当時のものです。

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