文/中村康宏

医師が教えるパンデミックからの護身術! 今できる新型コロナウイルス対策

新型コロナウイルスの蔓延により、健康だけでなく実生活に影響を及ぼしています。全世界的に死者数は増え続け、オリンピックも延期になってしまい、不安・心配・ストレスの中で生活を強いられています。今回は、今できる「暮らしの中での感染予防」を5つのポイントにまとめてご紹介します。

(1)自宅待機中に最も注意しておくべきこと

新型コロナが蔓延し外出規制が要請されたり、リモートワークが推進されており、自宅にて収束を待つ形となっています。自宅は安全な場所と考えられる一方で、「閉鎖空間」であるという認識を忘れないでください。同居人は濃厚接触者となるので、家に自分自身が籠っているから安心というわけではありません。家族も保菌者かもしれないということを念頭に置き、外出していなくても手洗いうがいは必要です。1時間に1回は、3分程度、換気するようにしましょう。

(2)不要不急の外出を控えることによる、運動不足やストレス対策は「環境を整えること」と「NEAT」

通勤の回数が減ったり、買い物やジム、習い事に行くことが制限されており、運動不足やストレスが心配されています。「家にずっといると、オフィスがいかに集中でき、整った環境であるか、理解できる」という人も多いでしょう。
そこで、まずは自宅環境の見直しを行いましょう。座りやすい椅子、高さの調整できる机を導入してストレスなく仕事ができる環境を整えましょう。また、自宅ならでは、の自由度の高い環境構築も可能です。カウンターキッチンで立ちながら仕事をしてみる、バランスボールに乗りながら仕事をするなど、「運動×仕事」を意識してみてください。
自宅でできるこのような「ながら」運動による消費カロリーを軽視してはいけません。非運動性消費カロリー(NEAT)は、ヒトのエネルギー消費の約30%を占めます。基礎代謝の半分程度ですが、1時間の運動によるエネルギー消費の約3倍に値し、NEATは健康的な生活において無視できないエネルギー消費量になります。座位でも寝ているときに比べてエネルギー消費は約4%増加し、立位では約13%増加します。

(3)万が一、マスクやアルコール消毒が難しくなった場合に、「感染予防のために気を付けておくとよいこと」

●咳エチケット・手指衛生:咳やくしゃみをする時にはティッシュで口と鼻を覆い、使用したティッシュを廃棄した後、直ちに手指衛生を行いましょう。ティッシュが使用できない場合にはシャツの袖を使用する。微生物の拡散を防止するために目、鼻、口に触れることは避けましょう。

●手指衛生: 60%以上のエタノールまたはイソプロパノールを含有する速乾性手指消毒薬を使用することが望ましいですが、石けんと流水を使用して定期的かつ徹底的に行うことも大切です。

●手作りマスク:マスクで空気感染を防ぐことは理論上不可能ではありますが、口周りを手作りマスクで覆うことで、汚染された環境表面に触れた後に手が鼻に触れてしまうことなどの自己接種(感染)の機会を減少させる可能性があります。また、人の集まるところでは、エチケットとしてマスクをすることは重要ですので、既製品のマスクがなくても手作りマスクで口元を覆うことには複数のメリットがあります。

免疫力と基礎体力を最大化するために

この先を長い目で見たとき、武器となるのは、免疫力と基礎体力です。その大前提として、間違った情報に左右されないよう情報を取捨選択する能力「ヘルスリテラシー」を高めましょう。例えば、「〇〇を摂れば免疫力アップする!」という広告を見てその商品に飛びつくのではなく、「単一の栄養素が免疫力を規定することはない」という事実を頭に入れて、健康食品を吟味しなければなりません。

「免疫力と基礎体力を下げない」ためには、生活習慣、ホルモン分泌、自律神経、の三つを押さえましょう。

生活習慣は病気だけでなく、免疫力を維持する基礎となります。生活習慣は人体のホルモン分泌と自律神経を介して免疫力を調整しています。ほとんどのストレス刺激は免疫を抑制させることがわかっています。例えば、免疫系に属するリンパ系の最大の臓器である「脾臓」を支配する交感神経が興奮すると、ガン細胞やウイルスに感染した細胞を殺傷する能力をもつナチュラルキラー細胞の働きが低下するのです。疲れた時に口唇ヘルペスができるのは、この自律神経を介した免疫力低下が原因と考えられます。

このように、自律神経はカラダに様々な変化をもたらすので「自律神経のバランスを乱さない生活習慣」が免疫力を最大限発揮するためのキモとなるでしょう。特に今すぐ改善すべきは以下の2点です。

(4)しっかり寝る!ストレスをためない! 意識してリラックスする!

ストレスは人生のスパイスと言われるほど、適度なストレスが必要ですが、ストレスのためすぎは免疫力を弱める原因となります。体と精神を休めるためには睡眠が一番重要です。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、傷んだ細胞を修復したり、免疫力を高めます。免疫力を高めるためにも1日7~8時間は眠ることが重要です。そして、良い睡眠をとるためにはリラックスはかかせません。1日の疲れをリセットするために、瞑想、ストレッチ 、趣味の時間を作る、入浴は湯舟につかる、など、努めてリラックスする時間を取り入れましょう。

(5)間違ったダイエットはしない

間違ったダイエットは免疫力を低下させます。特に注意したいのが、単一食品だけを取り入れるようなダイエット。例えば、りんごダイエットや朝バナナダイエットなど。必要な栄養がとれず、免疫機能の材料となるミネラルやタンパクが不足して免疫力が低下し、病気になりやすく、回復にも時間がかかってしまいます。

以上、5つのポイントから、今できる「暮らしの中での感染予防」を解説しました。不安・心配・ストレスの中で生活を強いられている状況をすぐに変えることは難しくても、その環境に適応することはできます。コロナウイルス・パンデミックによる様々な困難に負けず、心身ともに健康でいられる取り組みを、今から始めましょう。

文/中村康宏
医師。虎の門中村康宏クリニック院長。アメリカ公衆衛生学修士。関西医科大学卒業後、虎の門病院で勤務。予防の必要性を痛感し、アメリカ・ニューヨークへ留学。予防サービスが充実したクリニック等での研修を通して予防医療の最前線を学ぶ。また、米大学院で予防医療の研究に従事。同公衆衛生修士課程修了。帰国後、日本初のアメリカ抗加齢学会施設認定を受けた「虎の門中村康宏クリニック」にて院長。一般内科診療から健康増進・アンチエイジング医療までの幅広い医療を、予防的観点から提供している。近著に「HEALTH LITERACY NYセレブたちがパフォーマンスを最大に上げるためにやっていること」(主婦の友社刊)がある。

HEALTH LITERACY NYセレブたちがパフォーマンスを最大に上げるためにやっていること

http://shufunotomo.hondana.jp/book/b454468.html

【クリニック情報】
虎の門中村康宏クリニック
ホームページ:http://tnyc.tokyo
住所:東京都港区虎ノ門3-22-14日本FLP虎ノ門ビル12階
Twitterで有益な最新健康情報をお届け:@ToranomonNYC

【お問い合わせ・ご予約】
電話:03-6823-1409
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