文/藤原邦康
左右シンメトリーが整った笑顔を保つにはどうしたら良いか?
おたふく顔・うりざね顔・塩顔・ソース顔・しょう油顔など「美人顔」のトレンドは時代によって様変わりしますね。その中においても、古今東西にかかわらず普遍的な基準の一つは、まっすぐな鼻スジや釣り合った両目、高さが揃った口角などの左右対称性。そして、もう一つは肌つやの良い健康的な笑顔です。では、左右シンメトリーが整った笑顔を保つにはどうしたら良いでしょうか? もちろん立体メイクや美顔術、表情筋トレーニングなども素晴らしいですが、根本から考えるのであれば顔の土台を支える頭蓋骨から見直す必要があります。
頭蓋骨が重要な理由は主に二つ。一つは、外見をよくするためには内面を整える必要があるということです。これは、建物の壁面をいくら修繕したり装飾したりしても、柱や骨組みが歪んでいれば根本解決にならないことと同様です。二つ目の理由は、頭蓋骨のバランスを改善することが「健康」美人をつくることにつながるからです。
前回、左右どちらか眼が小さく見える側に蝶形骨という頭蓋骨のピースに傾きやゆがみを生じている可能性があることについて説明しました。この傾きやゆがみの主な原因は、ストレス時に起きる無意識の食いしばり癖や食事の際の片噛みなど、悪習慣の蓄積です。
特に注目すべきは蝶形骨につながる「翼突筋(よくとつきん)」という咀嚼筋のグループです。食いしばりが強い側の翼突筋が過緊張を起こし短縮していくと、付着点である蝶形骨が徐々に傾いてきます。この傾きは短期間にすぐに生じるわけではなく、まるで大陸移動のように毎日の積み重ねで少しずつ経年的に進んでいきます。
蝶形骨は眼球が収まる眼窩(がんか)の一部です。その対称性が崩れれば眼の大きさにバラつきが生じるだけでなく、眼の奥に違和感や痛みを発症することもあります。おのずと、眉間に力が入りしかめっ面になりやすくなりますし、目元がピクピク痙攣を起こしたりする場合もあります。蝶形骨は頭蓋骨の中央に位置するため、蝶形骨が変位すれば顔全体にゆがみが生じてシンメトリーも崩れてきてしまいます。
蝶形骨バランスがわかる簡単なセルフチェックの方法
蝶形骨バランスが整っているかどうか、簡単なセルフチェックの方法をお教えしましょう。
まずは、鏡やスマホ自撮りで眼の小さい側を確認します。特にサイズ計測する必要はなく、直感的な判断で結構です。小さい側が判ったらそちらの上下の歯に隙間を作ってかみ合わせの左右補正をします。もし、右眼が小さく見えるなら、右の奥歯に割り箸をはさんで軽く噛んでみてください。翼突筋の緊張が緩み、蝶形骨の傾きが補正されます。注意点ですが、翼突筋以外の咀嚼筋を緊張させないため、あまり力を入れて噛まないようにしてください。落ちない程度に軽く噛むことにより、翼突筋から蝶形骨のバランスが一時的に正しくなります。
ではこの状態で、眼のシンメトリーが改善しているか確認してみましょう。
割り箸を挟んだまま、眼を閉じたり開けたりしてください。目元がすっきりしている感じがするか、自然に大きく見開けるようになっているかチェックしてください。合わせて、鼻呼吸がしやすくなっているかも確認してみましょう。いつも片方に鼻づまりがある人は、そちら側で息を吸いやすくなっているか、反対側の小鼻を指で抑えて確かめてみてください。これは、蝶形骨のバランスは鼻腔の広さにも影響を与えるからです。さらに、スマイルして口角が自然に上がりやすくなっているか、そして、鏡をみて柔和な穏やかな微笑みになっているかの印象も参考にしましょう。口元の印象は顎関節のバランスでずいぶん変わるからです。
もし、顔のシンメトリーが悪化したり、
文/藤原邦康
1970年静岡県浜松市生まれ。カリフォルニア州立大学卒業。米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック。一般社団法人日本整顎協会 理事。カイロプラクティック・オフィス オレア成城 院長。顎関節症に苦しむアゴ難民の救済活動に尽力。噛み合わせと瞬発力の観点からJリーガーや五輪選手などプロアスリートのコンディショニングを行なっている。格闘家や芸能人のクライアントも多数。著書に『自分で治す!顎関節症』(洋泉社)がある。