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銭湯研究家・町田忍さん渾身の「銭湯ジオラマ」の圧倒的リアリティに脱帽!

江戸時代、すでに町内に一軒はあったという銭湯は、老若男女問わず庶民の憩いの場だった。浮世風呂という言葉が象徴するように、体の汚れだけでなく浮世の垢をも落とす役割を果たしていた。

以後、明治、大正、昭和、そして令和の現代に至るまで、銭湯は日本人の生活文化に寄り添いつつ、独特な進化を遂げてきた。そんな日本独自の銭湯文化を追い続けてきたのが、庶民文化研究家の町田忍さん(69歳)だ。

若い頃より銭湯に魅せられ、35年の歳月をかけて日本全国の銭湯という銭湯を訪ね歩くとともに、銭湯をめぐる歴史文化について独自の研究を重ねてきた。

庶民文化研究家の町田忍さん。昭和25年、東京生まれ。日本銭湯文化協会理事の肩書きも持つ銭湯研究の第一人者。

その町田さんの銭湯探究の集大成たるものが、各時代の銭湯を忠実に再現した「銭湯ジオラマ」の数々だ。江戸時代から現代にいたる各時代の特徴的な銭湯の模型を、ジオラマ作家・山本高樹氏とともに作り上げてきた。

「私が書いた図面をもとに山本さんに模型を組んでもらい、最後に私が着色して仕上げました。現存している銭湯は残された図面や写真資料をもとに、江戸期の銭湯は浮世絵などを参考にして、とにかく徹底的に忠実に再現しました」と語る町田さん。さっそく拝見していこう。

江戸時代の典型的な入り込み湯(混浴銭湯)の模型。2階建てで、1階が浴室、2階がサロンになっている。

各ジオラマの建物は、内部まで細かく作り込まれ、屋根を外して中を俯瞰できる。内外に人物フィギュアも多数配置され、見ているだけでさまざまな物語を想像できる。照明も凝っていて、周囲を暗くして照明を灯せばムード満点だ。

屋根も2階もパカッと取り外せる。

2階のサロンは男性専用。奥の小部屋では湯女が客を取っている。当時の銭湯には庶民にとっての性風俗店としての側面もあり、吉原からもライバル視されていたという。

2階を別角度から。手前の伏せている男は、のぞき穴から下の浴室の様子を見ている。

1階浴室への入り口。当時のおおらかさがよくわかる情景だ。浴室へはここから潜り戸を抜けて入る(左下の尻を見せている人がそれ)。実際には薄暗く、近くの人もよく見えなかったという。右手入り口には番台があり女将さんが座っている。

店の奥には釜場がある。細部にいたるまでリアルに再現している。

部屋の中に貼ってある紙類も、当時の浮世絵等にもとづいて再現した。すべて町田さんの手描きだ!

細部のひとつひとつを解説する町田さん。この模型ひとつに、驚くほど多くの情報がつまっている。

「ジオラマをじーっと眺めていると、本当に時間を忘れてしまうほどです」と目を細める町田さん。たしかに、目線を低くして眺めると、まるでタイムスリップしたような感覚に襲われる。

東京に特徴的な宮造り銭湯は、関東大震災の復興期に登場し、昭和40年代まで数多く建てられた。この模型は昭和33年に大田区に建てられた「明神湯」がモデル。驚くべきことに、いまだ現役で営業中である。

側面から眺めると、特徴的な瓦屋根は前半分だけということがよくわかる。浴室の上は軽いトタン屋根葺きになっている。「女湯を堂々と覗けるのも模型ならではの体験です」と町田さんは笑う。

昭和12年築の大阪・生野の「源ヶ橋温泉」は、銭湯として初の有形登録文化財である(現在は休業中)。「地方の銭湯には珍しく石灯籠つきの庭園があります。入り口上の自由の女神像は“入浴=ニューヨーク”の洒落です」と町田さん。

江戸時代にあった屋形船の移動銭湯。海辺や川近くの住民に入浴サービスを提供していた。「数少ない文献を元に再現しました。じつはこれ、今やったら受けると思うんですよ」と町田さん。たしかに、川面にたゆたいながらの入浴はさぞかし気持ちよかろう。

極めつけはこれ。「私の生まれ育った実家です。庭で行水しているのが私です。昔の写真をもとに作りました。私の風呂体験の原点です」。内部は記憶をもとに再現。屋根を外せば、台所から押し入れまでリアルに再現されているのが見て取れる。

以上、ご紹介した町田忍さんの銭湯ジオラマ。いつもは町田さんの自宅内にあり非公開となっているこの驚異の模型群が、このたび期間限定で東京・自由が丘のギャラリーにて一般公開される。

「ご覧いただければ、生活感漂う各時代の銭湯を、まさに手に取るようにリアルに感じていただけると思います」と語る町田さんだが、たしかにこのスゴさは実物を見ないとわからないだろう。銭湯はもちろん日本の建築や世相文化全般に興味のある方、模型に興味のある方、そして古き良き時代のノスタルジーに浸りたい方、この機会にぜひ実物をご覧いただきたい。

【イベント情報】
『町田忍のジオラマで見る、昭和・江戸銭湯展』
~令和に引き継ぐ銭湯文化

期間:2019726日(金)~731日(水)
場所:東京・自由が丘gallery yururi
住所:東京都目黒区緑が丘2-7-13
開場時間:13時~19
随時、町田氏による解説あり
入場料:無料
お問い合わせ:090-4415-3988

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