写真・文/矢崎海里
梅雨も明け、いよいよ夏本番。
普段管理栄養士として働いていると、「生活習慣病予防で減塩って言われているけど、一方で夏は熱中症予防で塩分を摂りましょうって言われていますよね」という質問を頂きます。
この時期、「熱中症対策コーナー」を設置するスーパーやコンビニも少なくなく、塩分が含まれている飲料水や、塩飴がアピールされています。
そこで今回は、上手に塩分補給をすることを目的に、家庭で簡単にできる漬け物レシピをご紹介致します。
なぜ熱中症予防に塩分補給が必要?
汗には、舐めると塩辛いよう、塩分が含まれています。
そのため、たくさん汗をかいているということは、水分と同時に体内の塩分も失われています。
その状態で水分だけを補給してしまうと、体内のナトリウム濃度が薄まりバランスが崩れてしまうため、塩分補給も重要とされているのです。
特に運動や炎天下での作業には注意が必要です。
運動・作業の前後で体重減少が大幅にあった場合は、水分の喪失が原因であり、その0.1~0.2%程度の塩分補給が適当だとされています。
例として、運動後0.7kgの体重減少があり、汗を700mlかいたと仮定した場合、
700×0.1/100=0.7g
0.7gの塩分補給が適切です。
塩分補給には+カリウムが有効
一方で、夏期の塩分補給を推奨する流れから、スポーツドリンクの飲み過ぎや塩飴・塩タブレットの食べ過ぎによる過剰摂取も問題となっております。
そこでご紹介するのが、塩分補給の際、カリウムの多い食品を一緒に摂る、という方法です。
野菜や果物に多く含まれているカリウムは、余分な塩分を排出する働きがあります。
今回は、特にカリウムの多い食品を使って簡単に作れる漬け物レシピを3つご紹介します。
食欲のない夏でも手軽につまむことができるので、スポーツや炎天下での作業の合間、普段の食事に少しずつ取り入れてみて下さい。
小松菜の昆布漬け
【材料】(作りやすい分量)
小松菜 2株(100g)
白だし 大さじ1
昆布 5cm角2枚
みりん 大さじ1
【作り方】
1.小松菜はお湯をかけしんなりさせ、3cm程度の食べやすい大きさに切り、よく水気を絞る。
2.表面を拭いた昆布、白だし、みりんを加え揉み込み、冷蔵庫で3時間以上漬ける。
定番青菜の浅漬けは、小松菜で。
あくが少なく、生でも食べられる小松菜は栄養を逃すことなく摂取できます。
根元の部分に汚れが溜まりやすいので、よく洗いましょう。
食塩相当量:0.6g(写真50gを1食分とした場合)
カリウム:250mg(写真50gを1食分とした場合)
ズッキーニのごま醤油漬け
【材料】(作りやすい分量)
ズッキーニ 100g
醤油 大さじ1/2
ごま油 小さじ1
いりごま 少々
【作り方】
1.ズッキーニは5mm程度の半月切りにする。
2.醤油・ごま油・いりごまを加え軽く揉み込み、冷蔵庫で3時間以上漬ける。
夏野菜のズッキーニ、実は生でも食べられます。
ごま油のコクといりごまがポイントです。
食塩相当量:0.7g(写真50gを1食分とした場合)
カリウム:160mg(写真50gを1食分とした場合)
アボカドのさっぱりレモン漬け
【材料】(作りやすい分量)
アボカド 1個
めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ1/2
レモン汁 小さじ2
【作り方】
1.アボカドは種を取り、皮をむき、角切りにする。
2.めんつゆ、レモン汁を加え、冷蔵庫で1時間以上漬ける。
アボカドは特にカリウムを豊富に含む食材です。
わさび醤油につけたり、まぐろと和えたりと生で手軽に食事に取り入れられます。
レモンがさっぱり感と、変色防止の役割を果たしています。
食塩相当量:0.7g(写真50gを1食分とした場合)
カリウム:360mg(写真50gを1食分とした場合)
食材を漬ける場合、ビニール袋やチャック付き袋を活用するのがおすすめです。
しっかり空気を抜き漬けることで、少ない調味料でも味がしみこみやすく、洗い物の手間もありません。
* * *
そのほか、カリウムは納豆や里芋、じゃがいもなどにも多く含まれています。
カリウムはゆで汁に流れ出て失われてしまうため、生で食べる野菜・果物で効率よく摂取しましょう。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。