現在日本には高血圧対象者が約4,300万人(※1)いるとされている。2019年4月25日に発表された「高血圧治療ガイドライン2019(日本高血圧学会)」では、従来、正常高値血圧(130~139/85~89mmHg)とされていた分類が、「高値血圧」に再定義されることになった。これにより、新たに約2,200万人(※2)の方が高血圧予備軍となり、今までその対象ではなかった人も、今後は気を付ける必要がある。
株式会社ファンケルは血圧値における問題意識と日常の食事に対する実態を明らかにするために、全国の男女600名を対象に「普段の生活に関するアンケート」を実施。その結果、高血圧予備軍とされる「高値血圧」対象者の40代男女において、高血圧に対する問題意識と、健康的な食事に対する意識が低いことがわかった。
※1:高血圧治療ガイドライン2019より引用
※2:平成29年 厚生労働省 国民健康・栄養調査より算出
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【高血圧治療ガイドライン2019の変更点】
2019年4月25日に新たに発表されたガイドラインで、「高値血圧」(130~139/80~89mmHg)が定義されました。
■加齢と共に上昇する高血圧。40代からは注意が必要!
日本における高血圧患者の人口分布図を示す“年代別高血圧有病者数”(※3)を見ると、60代が一番多く、日本の60代の1.5人(※4)に1人は高血圧対象者です。高血圧にならないためには、40代からの生活習慣の見直しが必要です。
※3:高血圧治療ガイドライン2019
※4:高血圧治療ガイドライン2019、総務省統計局人口推計(平成29年10月1日現在)より算出
■高血圧に対する意識の差が約1.6倍
<高血圧に対する問題意識について>
新たに高血圧予備軍に分類される、「高値血圧」対象者の60代男女の5割以上が「高血圧」が体調面で最も大きな問題意識を持っているのに対して、40代男女では、3割しか「高血圧」を最も大きな問題意識として捉えていませんでした。
健康に対する意識を高め、高血圧への関心や知識を深めることが大切です。
<健康的な食事に対する意識について>
高血圧予備軍に分類される、「高値血圧」対象者の60代男女の6割以上が健康的な食事を心掛けているのに対して、40代男女では、健康的な食事を心掛けている割合が4割にとどまることが分かりました。
血圧が高くなってから対処するのではなく、早めの健康的な食生活を始めましょう。
■間違っていた!?高血圧対策に有効な食べ物
高血圧への対策の一つである“減塩”に関して、20~60代男女600名に調査を行った結果、食材がもつ塩分量について認知度が低いことがわかりました。
●鯖の塩分量は鮭の3倍 / 鮭(サケ)よりも鯖(サバ)の方が塩分量が高い:正解率19.5%
※100gあたりの塩分量は、鮭は45.6mgに対して鯖は134.4mgと、約3倍になります。
●鶏肉よりも牛肉の方が塩分量が高い:正解率22.5%
※部位によっても異なりますが、一般的には鶏肉より牛肉の方が塩分量が高くなります。なお、鶏肉のささみともも肉では、もも肉の方が約1.5倍の塩分量があるので、ささみを上手に活用しましょう。
●醤油とポン酢の塩分量は、ポン酢の方が約半分:正解率41.8%
※醤油小さじ1で塩分量0.9mg、ポン酢小さじ1で0.5mgであり、約半分になります。
年代や血圧値に関係なく、日々の食事の塩分量に目を向け、正しい食生活を心がけましょう。
【管理栄養士 小山浩子さんがすすめる高血圧対策メニュー~高血圧の対策は“主食”を変える時代が到来 毎日の食事に発芽玄米を~】
生活習慣病の原因の一つとして、高血圧が考えられます。
高血圧はサイレントキラー/静かなる暗殺者とも呼ばれ、自覚症状が極めて少ないのが特徴です。血圧は140mmHgを超えてから下げることは非常に困難で、130mmHgの時から早めに対策をとることが重要です。
管理栄養士の小山浩子先生は、高血圧対策の主食として、降圧作用がある3大ミネラル【カリウム・カルシウム・マグネシウム】だけでなく、注目の成分GABA(ギャバ)が多く含まれている、発芽玄米を推奨しています。
白米と同じ調理方法が可能な発芽玄米は、玄米よりもおいしく調理することができ、毎日の食事で簡単に取り入れ、継続しやすいことも大切な要素です。
さらに、毎日の食事の中でしっかり咀嚼して栄養素を取り入れることも効果的です。
●主食にはGABA(ギャバ)を多く含む発芽玄米を~高血圧対策食材として万能なお米~
GABA(ギャバ)は、自律神経の中枢に働きかけ、血圧を上げる酵素に作用することで、血圧を下げる効果があると言われています。さらに、利尿作用を促して塩分の排泄を促進し、腎機能を高める作用があり、高くなった血圧を下げる効果があります。
減塩と同時に主食を見直してGABA(ギャバ)を多く含む発芽玄米を毎食摂ることで、血圧に対して良い効果が期待できます。
■管理栄養士の小山浩子先生が提案!塩分半分の高血圧対策にオススメの健康簡単レシピ
●鮭の塩麹焼き 【レシピ塩分量:0.7g/通常塩分量:1.8g 】
材料(1人分)
・生鮭:1切れ
・牛乳又は豆乳:小さじ1
・塩麹:小さじ1
作り方
(1)鮭の表面の水分をふきとる。
(2)チャック付きの袋に左記材料をすべて合わせて半日以上漬け込む。
(3)魚焼きグリルで表面に焦げ目がつくまで焼く。
~生鮭は家庭での漬け込みで減塩対策~
青魚より白身魚(鮭も白身魚の一種)の方が身に含まれる塩分量は低く、生鮭を使用して家庭で漬け込みをすることで簡単に減塩でおいしい焼き魚を楽しめます。塩麹を味噌に代えてもおいしく健康的にいただけます。
※お肉を召し上がりたい方は、塩分量が肉類の中でも低い鶏のささみがオススメです。
●じゃが芋のポン酢炒め(きんぴら風) 【レシピ塩分量:0.3g/通常塩分量:0.5g】
材料(2人分)
・じゃが芋(小):1個(100g)
・こま油:小さじ1/2
・ポン酢:小さじ1
・七味唐辛子:適量
作り方
(1)じゃが芋を千切りにして水にさらす。
(2)フライパンにごま油を熱し水分をきったじゃが芋を加えて、表面にうっすら焦げ目がつくまで中火で炒める。
(3)弱火にしてポン酢を加えて水分がほとんどなくなるまで炒め、器に盛り、七味唐辛子をかける。
~調味料はポン酢を活用~
じゃがいもに多く含まれるカリウムには、ナトリウムによる血圧上昇を抑制するなどの働きがあります。同時に、ナトリウムの排泄を促して血圧を下げる作用があるので積極的に摂る事が大切です。じゃがいもは少ない調味料でもおいしく食べられる素材でもあり、七味唐辛子が味のアクセントにもなります。普段の食事づくりに使う素材や調味料を見直すことも減塩への大きな一歩となります。
●ほうれん草のポン酢おひたし 【レシピ塩分量:0.3g/通常塩分量:0.5g】
材料(2人分)
・ほうれん草:50g
・ポン酢:小さじ1
・砂糖:小さじ1/4
作り方
(1)ごま油小さじ1(分量外)を加えた熱湯でほうれん草を茹でて水にとり、3cmの長さに切る。
(2)しっかり水分を絞りポン酢・砂糖を和える。
~減塩の物足りなさをほんの少しの砂糖でカバー~
青菜を茹でる際のひと工夫として、塩ではなくごま油を少量加えた熱湯で茹でることをおすすします。素材が水っぽくならず、少量の調味料で美味しくいただけます。また、ポン酢に加えたほんの少しの砂糖が、減塩の物足りなさをコクでカバーしてくれます。
ひとつの調味料だけに頼らず、味を重ねることも減塩の秘策です。
●塩分1.3gの減塩味噌汁 【レシピ塩分量:1.3g/通常塩分量:2.4g 】
材料(1人分)
・だし汁:150ml
・木綿豆腐:50g
・なめこ、ねぎ:各25g
・味噌:大さじ1/2
・牛乳:大さじ1/2
作り方
(1)味噌と牛乳を合わせておく。だしで具材を煮てやわらかくなったら、火を止めて合わせた味噌と牛乳を溶く。
(2)仕上げのもうひと味に七味唐辛子やごま油を一滴たらすともの足りなさが解消されます。
牛乳の代わりにヨーグルトを使用することもおすすめ。
季節の野菜など、お好みで具材をいれていただいてください。
~牛乳を組み合わせることで更なる減塩を~
味噌汁は、和食の中ではかなり塩分量が多く、なかなか減塩することが難しい料理です。ここで紹介するレシピは、牛乳のコクを利用した毎日続けられる味噌汁の減塩法です。味噌だけを減らすのではなく、牛乳と具材に含まれるコクやうまみの味の相乗効果で、最大限のおいしさを引き出すことができます。
小山 浩子 (こやま ひろこ)
日本高血圧協会理事・料理家・管理栄養士・フードビジネスコーディネーター
2015年1月、日本高血圧協会理事に就任。メディアで話題の乳和食*の開発者。著作も多数あり、「目からウロコのおいしい減塩 乳和食」(主婦の友社)で2014年グルマン世界料理本大賞イノベイティブ部門世界第2位を受賞。料理教室の講師やコーディネート、メニュー開発、栄養コラム執筆、NHKをはじめ健康番組出演等幅広く活動。料理家としてのキャリアは25年以上。これまで指導した生徒は5万人以上に及ぶ。
※乳和食とは味噌などの伝統的調味料に牛乳(成分無調整牛乳)を組み合わせることで食材本来の風味や特徴を損なわずに減塩やだしを減らし、おいしく和食を食べてもらう調理法です。
<本調査概要>
調査名:「普段の生活に関するアンケート」
調査期間:2019年4月12日(金)~ 4月15日(日)
調査対象:20代-60代の男女各300名(計600名)
※内訳:血圧が140/90mmHg以上、130~139/80~89mmHg、130/80mmHg未満それぞれ200名
調査方法:インターネット
エリア:全国
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高血圧予備軍に分類される「高値血圧」対象者のうち、60代男女の5割以上が、「高血圧」が体調面で最も大きな問題であると意識している一方で、40代男女では、「高血圧」が体調面における問題として意識する人が3割程度に留まっている。
また、高血圧予備軍に分類される「高値血圧」対象者の60代男女では、6割以上が健康的な食事を心掛けていることが分かった。だが、40代男女では、4割しかいなかった。
このことから、60代の人は自分の健康状態を意識しているのに対し、40代は自分の健康状態への意識が低いことがわかる。働き盛りといえる40代の人こそ、健康意識を高めて生活することが、老後の健康維持にもつながるといえるだろう。
「普段の生活に関するアンケート/ファンケル」より