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漢方の基礎知識をわかりやすく解説するシリーズ連載「そも漢方とは何か?」。前回は、具体的に漢方薬とは何かを紹介しました(https://serai.jp/health-2/kanpo/33079)。今回は、漢方独自の診断方法「四診」(ししん)と、漢方が得意とする具体的な治療法について、慶應義塾大学の渡辺賢治先生に具体例を挙げていただきながら紹介しましょう。

漢方の診断法「四診」とは?

漢方の診察法は、四診(ししん)という四つの診断方法があり、望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、問診(もんしん)、切診(せっしん)から成ります。聞き慣れない言葉も多いと思いますが、これら4つの漢方独自の診断方法で、個人個人に合った漢方薬を選んでいきます。渡辺教授に具体的にお話を伺いましょう。

「まず、望診というのは、単に患者さんの顔色・体格などを観察するのみならず、そのしぐさひとつひとつまで丹念に観察することです。じつは患者さんが診察室に入るところから望診は始まっているのです。望診の中でも漢方に特徴的なのは舌診(ぜっしん)です。舌の色はどうか、舌に苔がついていないか、歯形がついていないか、舌を裏返したら、静脈が腫れていないかなどをチェックするのです」

具体的にどのような舌だと問題なのでしょうか?

「例えば、自分で見てわかる印として『歯痕』があります。舌の縁に歯型がついているものです。これは「水毒」という状態を意味します。水毒とは、体の中にある水のバランスが崩れている状態を表し、むくみ、頭痛、嘔気、下痢などが起こります」

漢方では特別な問診をするのでしょうか?

「基本的には西洋医学的な問診項目と大差はないですが、漢方では『車酔いはしますか?』などの一風変わった質問をされることもあります。また、漢方の場合は主観を重視する医学であるため、問診は特に重要になってきます。例えば、頭痛で来院した場合、西洋医学では脳腫瘍がないかと、CTまたはMRIで脳内を調べます。
一方、漢方では、水毒という漢方のタイプによる頭痛なのか、それとも加齢による頭痛なのかを鑑別するために問診を重視します。また、治療効果も検査値などではなく、本人の自覚症状の変化を重視します。その意味でも、漢方の問診には丁寧に答えて欲しいですね。
その他、聞診(ぶんしん)、切診(せっしん)がありますが、聞診は字からすると“聞く”ことですが、声のトーンや声色を聞くだけでなく、においをかぐことも含まれます。例えば、胃酸のにおいが強いと胃炎を疑ったり、呼気のにおいから肺の感染症を疑ったりします。
切診は患者さんの体に触れる診断方法で、腹診とも言います。腹診は、日本独自に発展したものです」

具体的には、お腹を触って何がわかるのでしょうか?

「お腹の張りの程度を触って確かめるのですが、例えば肋骨の下が張っているとストレスを感じているとわかります。自覚症状はなくても、診察すると張りの程度はすぐにわかります。その程度によって選ぶ漢方薬も異なってきます。その他にも、お腹の動脈の様子や押さえた時の痛みなどを確かめます」

これらの四診によって、体全体を総合的に診断するのが漢方の特徴です。四診によって、病気を持つ人間の状態(もともとの体質および病気に対する体の反応)を分類する漢方独特の診断の物差し「証」(しょう)が決定され、その人に合った漢方薬が処方されます。

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