文/川口陽海
椎間板ヘルニアや変形性腰椎症、脊柱管狭窄症などによる腰痛や坐骨神経痛は、なかなか治らず長引いて慢性化してしまうことも少なくありません。
私の 腰痛トレーニング研究所 には、慢性の腰痛や坐骨神経痛の患者さんがたくさん治療に来られますが、順調に良くなる方と、すこし時間がかかってしまう方がいらっしゃいます。
早く治る方とそうでない方の違い、傾向がわかってきました。
早く治りやすい方は、次のような傾向があります。
●痛みを気にしすぎない
●楽観的に考える
●積極的に身体を動かす
痛みを気にしすぎない
こんなことはありませんか?
『いつもは痛いのに、趣味を楽しんでいる時は痛くない』
『仕事中は痛くないのに、仕事が終わると痛くなる』
『お友達と夢中でお話ししている時は痛くない』
このように、いつもは痛いのに、楽しいことをしたり、何か他のことに集中していたりすると、痛みを感じないことがあります。
逆に痛みを気にすれば気にするほど痛くなります。
また、今は痛くないのに、『痛くなりそうだな』とか、『痛くなったらやだな』とか考えることも良くありません。
これは『痛み予期』といって、痛みを想像するだけで脳の中では痛みを感じたのと同じ反応が起こってしまい、想像した通り、またはそれ以上に痛みがおこります。
これが慢性痛の特徴です。
痛みにばかり気が向いてしまうと、脳が痛みに反応しやすくなって、より痛みが強くなったり治りにくくなったりするのです。
なるべく楽しいことや集中できることをおこなって、痛みから気を反らすように心がけましょう。
楽観的に考える
患者さんの中には非常に楽観的な方がいらっしゃいます。
『先生、笑っちゃうほど痛いんですよ~』というような方が典型的なタイプで、実際本当に笑っています。
こういう方は早く治る場合が多いです。
そうは言っても痛みが全然治らず、薬も効かず、症状が続くようなら手術と言われたりしたら、どうしても悲観的になってしまいますよね。
普通は笑顔なんてとても作れないと思います。
その気持ちは良くわかります。
それでもなるべく楽観的に、ポジティブに、自分の痛みは必ず良くなる、と考えるようにしてください。
ひとつ安心していただきたいのは、ほとんどの腰痛や坐骨神経痛は手術などしなくても良くなるし、改善する方法はたくさんあるということです。
具体的な方法は、この【川口陽海の腰痛改善教室】でも毎回お伝えしていきますので、以下の過去記事や、今回ご紹介する体幹インナーマッスルトレーニングなどもご参考になさってください。
腰痛改善は「お尻」の筋肉から!簡単ストレッチを紹介【川口陽海の腰痛改善教室 第1回】
その足のしびれ、坐骨神経痛かも?タオルを使ったストレッチで簡単改善!【川口陽海の腰痛改善教室 第2回】
積極的に身体を動かす
慢性の腰痛や坐骨神経痛を治すのに最も良くないのは、痛みのために身体を動かさないこと、安静にし過ぎることです。
安静にすることで筋力や体力は低下し、血行は悪くなり、気分は落ち込み、するとますます痛みが悪化し、治りにくくなり……、と、どんどんどんどん悪循環に陥ってしまいます。
慢性の腰痛や坐骨神経痛を治すためには、痛みを気にせず、楽観的に考えるとともに、『自分で治すぞ!』と積極的に身体を動かすことが一番の特効薬となります。
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動からはじめて、段階的に運動量を増やしていくことで、少しずつ痛みから回復していきます。
しかし、どんな運動をどのくらいしたら良いかわからなかったり、身体を動かすことに怖さがあったり、歩くだけでも痛みがあったり、という方も少なくないと思います。
そこで今回は、腰痛トレーニング研究所 の 腰痛・坐骨神経痛トレーニングプログラム で一番初めに指導する、体幹インナーマッスルトレーニングをご紹介します。
このエクササイズは、腰痛や坐骨神経痛のある方でも、あまり痛みをおこさず、安全におこなうことができます。
慢性腰痛・坐骨神経痛を改善する体幹インナーマッスルトレーニング
このトレーニングをおこなうことで、腹横筋、骨盤底筋、多裂筋など体幹インナーマッスルを回復することができます。
これらの体幹インナーマッスルは、腹圧を高め、背骨や骨盤を身体の内側から支える働きがあります。
体幹インナーマッスルの働きについては、次の動画がわかりやすいのでご覧ください。※動画は英語ですが、イメージがつかみやすいと思います。
慢性の腰痛や坐骨神経痛の方は、ほとんどの場合この体幹インナーマッスルが弱くなり、力が入りずらくなっています。
そこで、腹式呼吸を使いながらインナーマッスルに力を入れる練習をし、同時に痛みの出ない姿勢を身につけていきます。
それでは、動画や画像を参考にやってみましょう。
【次ページに続きます】