医師も薦める「地中海式食事法」で健康な体を手に入れる

地中海料理は新鮮な野菜や魚介類がふんだんに使われている。そしてどんな料理にも大量のオリーブオイルが使われる

文/中村康宏

一般的に食事のバランスは、炭水化物4/たんぱく質3/脂肪3の割合が理想と言われています。しかし、どれくらいの人が日常生活で、この割合を計算し実践されているでしょうか?

頭の中で理解できても、それを実践するのは難しいと感じる方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、視覚的にわかりやすく、医学的にも根拠のある「地中海式食事法」について、最新知見を交え紹介しましょう。

■地中海式食事法とは?

健康的な減量方法として医学会で近年注目を集めているのが「地中海式食事法」です。地中海沿岸地域の食生活のことで、その食べ物や食べ方に特徴があります。

下図は「ギリシャの食品ピラミッド(Greek food pyramid)」と呼ばれるもので、ギリシャの食事ガイドラインの根幹となっています。「地中海式食事法」では、このピラミッドの下から上に上がるにつれて、摂る頻度を減らしていくのです。

地中海式食事法フードピラミッド:上に行くほど量を減らしていく。下から毎日食べるべきもの(全粒穀物・野菜・果物・オリーブオイル・乳製品)、週単位で食べるべきもの(魚、鶏肉、オリーブ・ナッツ・豆類、じゃがいも、卵、お菓子)、月単位で食べるべきもの(豚肉や牛肉)。

■たくさん食べるべきもの

「地中海式食事法」で毎日たくさん摂るべきものは、フードピラミッドの下部に示されている、全粒穀物・野菜・果物・オリーブオイル・乳製品です。

全粒穀物は、精白などの処理を行わず、糠となる種皮や胚といった部位を除去していない穀物であり、その製品としては、具体的には玄米、全麦パン、オートミールなどが挙げられます。次に多く摂取するべきものは野菜と果物です。

そして何より特徴的なのは、オリーブオイルをたくさん摂取することです。オイルと聞くと脂肪が多いと思いがちですが、オリーブオイルは不飽和脂肪酸をたくさん含み、血中の中性脂肪やコレステロール値を下げる役割を果たしています。オリーブオイルは、地中海式食事法の効果を実現する中心的な働きをしていると考えられていて、これにより動脈硬化の進展予防や高血圧、心疾患、脳梗塞のリスクを減らすことができるとされているのです。

ギリシャでは1人当たり1年間にオリーブオイルを17.9kg消費します。これは毎食大さじ1杯分(15ml)消費している計算になります。地中海沿岸の国に行くと、必ずオリーブオイルが机に置いてあり、カルパッチョやアヒージョなどオリーブオイルをふんだんに使った地中海料理があることを考えると、この量を消費していても不思議ではありません。日本人の1人当たりの年間消費量は0.53kgと食習慣の違いが鮮明です。

また、 地中海式食事法では、適度なワインの摂取が推奨されている点も特徴的です。適正量は男性300ml、女性150mlとされていますが、もちろんこれは体型や常用薬の有無、アルコール分解体質の違いなどにより異なります。飲酒される場合は、定期的な血液検査を推奨します。

■食べる量の調整が必要なもの

逆に、食べる量の調整が必要なものはタンパク質です。タンパク質として一番摂取が推奨されているものはチーズやヨーグルトといった乳製品であり、これから順に魚→鳥→オリーブやナッツ類→卵→赤肉の順に推奨摂取量が少なくなります。

注意するべき点は、ジャガイモはこの図では野菜に分類されず、たくさん摂ることは推奨されていないこと。また、塩分は極力控え、ハーブなどで代替するように心がけましょう。

■「地中海式食事法」の健康効果についての研究

さて、この「地中海式食事法」が最初に注目を集めるようになったのは、1958年に米ミネソタ大学のアンセル・キース(Ancel Keys)氏により行われた7カ国試験によります。この食事法を実践している 地中海地域のコレステロール値が、他の地域と比べて顕著に低く、心血管病(動脈硬化による狭心症や心筋梗塞、脳血管障害など)による死亡率が、世界で最も低いということが判明したのです。

近年の研究では、コレステロールを下げる効果が立証されており、さらに体重減少、高血圧や糖尿病の進展予防、心血管疾患や脳梗塞の予防、うつ病予防や気分変調に効果的など様々な数多くの有益な報告がされています。さらに、統計学的にも、この食事法を長年実践する地中海沿岸諸国には長寿国が多いことが示されています。

WHOの健康度調整平均寿命報告(健康度調整平均寿命:一般的に健康寿命とも言われる。病気や怪我により日常生活に支障を来す期間を平均寿命から除き、健康的な生活をどれくらい出来るかということの推計値)を見てみると、上位10カ国の内4か国(イタリア、スペイン、フランス、イスラエル)の地中海沿岸国が上位にランクインしています。

この食事法の優位性に、地中海沿岸地域に住む人たちの人種による個体差が影響しているのではないかと考えた研究者たちは、非ヨーロッパに住む人たちを「地中海式食事法を実践するグループ」と「いつもの食事を行うグループ」に分けて比較しました。米国で行われた研究結果によると、地中海式食事法をしたグループでは2年間安定して収縮期血圧が平均6.4mmHg下がり、体重が1年間で平均3.1kg減少したという結果が報告されています。これらの研究から現在のところ、地中海式食事は個体差による効果の違いはないと考えられているのです。

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以上、今回は「地中海式食事法」を紹介しました。地中海料理は伝統的にも科学的にも立証されている体にいい食事法ということができます。

上記のフードピラミッドを参照しつつ、定期的にご自身の食事内容を振り返ってみてはいかがでしょうか。ローマは一日にして成らず、何より継続することが効果を得るには肝要です。

【参考文献】
・WHO. Statistical Information System (WHOSIS), 2002.
・Keys A et al. Harvard University Press (1980)
・Market report to April 30, 2013, from Spanish Olive Oil Agency
・Keyserling et al. BMC Public Health (2016)
・Djuric Z et al. Nutr Rev. (2011)
・Jacka et al. BMC Medicine (2017)
・Food and Agriculture Organization of the United States

文/中村康宏(医師)
関西医科大学卒業。虎の門病院で勤務後New York University、St. John’s Universityへ留学。同公衆衛生修士課程(MPH:予防医学専攻)にて修学。同時にNORC New Yorkにて家庭医療、St. John’s Universityにて予防医学研究に従事。

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