次に漢方薬を処方してくれる場所として、大きく分けて、漢方医と漢方薬局がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
「漢方医がいる医療機関では、健康保険が使える場合と使えない場合があります。健康保険が使えるのは、保険適用である医療用漢方製剤もしくは生薬を処方できる場合です。ですが、 漢方医学を十分修得した医師の数はまだ少なく、地域の医療機関で漢方薬を処方してもらう場合、漢方に詳しい医師ばかりではないのが現状です」
それでは、健康保険が使えないのはどういった場合なのでしょうか?
「健康保険が使えない診療としては、自由診療(自費診療)というものがあります。これは、保険適用ではない生薬や漢方薬を扱う医療機関で行われる診療方法です。
証にしたがった治療を基本とする漢方診療では西洋医学的な病名が求められる保険診療が馴染まないため、専門的な漢方治療を行なっている所は自由診療で行なっていることが多いのです」
漢方薬局とはどのような薬局なのでしょうか?
「漢方薬局では、漢方や中医学を専門に勉強した薬剤師が相談に乗ってくれて漢方的に判断された証にしたがってオーダーメイドの漢方薬を作ってくれます。この場合にも保険は使えません。ほかには、街の薬局でも売られていて、医師の処方箋がなくても気軽に買える一般用漢方製剤があります。一般用漢方製剤は保険が使えないので、医療用漢方製剤と比較すると成分量が1/2から1/3になっており、やや効き目が弱く作られています」
最後に、現在の漢方医はどのような強みをもっているのでしょうか?
「現在の漢方医は、西洋医学の知識を持った上で漢方の勉強をしているので様々な視点から患者さんを理解することができるという強みがあります。
そして日本特有の、伝統医療と西洋医学を融合した新しい医療は、世界からも注目されています」
日本の漢方医が世界的にみて特徴的だとはあまり知られていないのではないでしょうか。
もし気になる症状がありましたら、お近くの漢方クリニックを受診してみてくださいね。
文/葉山茂一(はやま・しげかず)
漢方デスク株式会社代表取締役。漢方・薬膳の総合ポータルサイト「漢方デスク(http://www.kampodesk.com)」を企画・運営。
取材協力/渡辺賢治(わたなべ・けんじ)
慶應義塾大学環境情報学部教授医学部兼担教授。漢方デスクの漢方医学監修を務める。
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