皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけれど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの? 」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。
第55回のテーマは、「指の不調に効く漢方」です。
あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。
こんな指の不調には漢方薬がおすすめ
加齢とともに目立ってくる手指の不調。
65歳以上だと実に9割以上に何らかの変形が見られるというデータもあり、とくに更年期の女性にとっては無視できない悩みとなっています。
今回は、指の不調をとり上げ、それぞれの症状の特徴や原因、そしてそれに対し有効な漢方薬も併せて紹介します。
まずは代表的な3つの症状について見ていきましょう。
1.指が曲げ伸ばしにくくなるばね指
ばね指は、指の腱と、腱の通り道である腱鞘の間に炎症が生じた状態です。
指を動かすと引っかかりのような違和感が生じ、伸ばそうとするだけでまるでばねのようにビンと跳ね上がります。
指がこわばって動かしにくく、曲がったまま戻らないといった症状が出ることもあります。
ばね指は女性の更年期でよく見られる症状です。
更年期を迎えると女性ホルモンの分泌が低下し、腱や腱鞘がもろく痛みやすくなります。また、関節リウマチや糖尿病の患者、指を酷使する職業の人にも多い病気です。
2.指にコブができるへバーデン結節
へバーデン結節は、指の第一関節が変形してしまう病気で、40代以上の女性に多く見られます。
詳しい発症原因のメカニズムはわかっていませんが、手の酷使や更年期によるホルモンバランスの乱調、遺伝などとの関わりが指摘されています。
2つのコブ(結節)ができるのが特徴で、指が赤く腫れたり曲がったりするほか、痛みを伴う場合もあります。物をつかみにくくなるので日常生活にも影響を及ぼします。
さらに、ミューカスシストと呼ばれる水ぶくれのような出っ張りができることもあります。
3.手の一部にしびれや痛みを感じる手根管症候群
手のひらの感覚を司る正中神経が圧迫される病気を手根管症候群といいます。
正中神経は、親指から薬指の1/2の部分までの手のひらの感覚を支配しますが、手根管症候群を発症すると、この部分にしびれや痛みを感じます。
原因は、腱鞘炎のほか、関節リウマチや手首の骨折、腫瘍や腫瘤、妊娠が影響している場合もあります。
箸を使う、服のボタンをとめるなどの細かな作業が行いにくくなり、夜間や早朝にしびれや痛みが強くなります。
手指の痛み、こわばりを和らげる漢方
手指の不調には、漢方薬もおすすめです。
手指のトラブルは、関節や筋肉、神経の障害が、冷えやホルモンバランスの乱れ、血行不良、水分代謝の低下などによっておこると考えられます。
手指の不調の改善には、「鎮痛や抗炎症作用で関節、筋肉、神経の痛みをとる」ことで症状を緩和し、根本からの改善のために「血流をよくして関節や神経の機能を回復する」「体を温めて筋肉をゆるめる」「ホルモンバランスの乱れを整える」「水分の循環をよくして老廃物や疲労物質を排出する」などの働きのある漢方薬を選びます。
漢方薬は手指トラブルの根本改善を目的としているので、繰り返す痛みでお悩みの人にもおすすめです。
それでは、それぞれの症状に適切な漢方薬と、なぜこの症状にこの漢方が効くのか、効能も併せて解説します。
1.ばね指には温経湯(うんけいとう)
手の血流が悪くなると腱鞘が狭まり、ばね指がおこりやすくなります。
更年期の女性にばね指が多いのは、ホルモンバランスの変化などから血流が悪い状態になっているのも一因です。
このような血が滞っている状態を、漢方では「瘀血(おけつ)」といいます。
瘀血に有効な処方としては、温経湯などが知られています。
婦人薬としても有名な漢方薬で、ばね指の症状が出ていて手に熱感がある場合に用いられます。
2.ヘバーデン結節には疎経活血湯(そけいかっけつとう)
ヘバーデン結節の原因は現在の医学では特定されておらず、西洋医学では対処療法が主になります。
場合によっては手術を行うこともありますが、基本的には安静を保ちつつケアしていきます。
一方、東洋医学の漢方の分野では、「瘀血」や「血虚(けっきょ)」を改善する疎経活血湯が用いられることがあります。
軽症から中等度のヘバーデン結節の疼痛に対して一定の改善が見られた症例が複数あり、有用な可能性が示唆されています。
3.手根管症候群には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
桂枝茯苓丸は生理不順や女性の更年期症状に処方される代表的な漢方薬で、血行を改善する効果があります。
また、「瘀血」をとり除くことで手根管症候群にも用いられます。五苓散(ごれいさん)とともに用いられたり、桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)と五苓散との併用で用いられることもあります。
比較的体力がある人に向いた漢方薬であるため、体力が虚弱な人には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が用いられる場合もあります。
漢方は体質との相性で正しく選ぼう
漢方では、その人の体質や病状のあらわれかたを示す「証」をもとに、漢方薬を処方します。漢方薬本来の効き目を活かすには、その証の診断が適切でなくてはいけません。
同じ症状でも、証が異なれば当然処方の仕方も違います。
医師や薬剤師など、漢方薬を基礎からしっかり学んだプロであれば、正しい証の判断と漢方薬の処方ができます。
そして、「もっと気軽に漢方薬を利用したい」という人におすすめなのが、あんしん漢方です。
診断・処方・購入すべてがスマホひとつで完結するため、忙しい日常の合間に利用できる画期的なサービスです。
ただ気軽に利用できるだけでなく、漢方の専門家が必要に応じて体質の診断や相談を行ってくれるので、人それぞれの体質に応じたオーダーメイド的な漢方サービスを実現しています。
初回はお得に利用できるコースもあるので、まずはお試し感覚で利用してみるのも手です。生活に漢方をとり入れたいと考えている人にはぜひおすすめです。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0130
指の不調は規則正しい生活から改善
指の不調は日常生活に大きな影響を及ぼします。
代表的な症状としてばね指やヘバーデン結節、手根管症候群があり、西洋医学的な治療以外にも漢方という選択肢があります。
日々の習慣も見直しながら、規則正しい健康的な生活を心がけましょう。
さて、次回は「咳に効く漢方薬」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0130