文/鈴木拓也

いつも疲れている……
手足が冷えている……
ぐっすり眠れない……
といった、加齢に伴い増えてくる不調。病院に行くほどではなさそうだが、そのままだとちょっと辛い。
こうした不調を漢方では未病と呼び、放っておくと本当の病気になる恐れがある。
未病対策として世の中には様々な方法があるが、「養生酒」をすすめるのは福光佳奈子さん。養生酒とは、薬膳の食材を漬け込んだ酒のこと。「漬け込み酒マイスター」の肩書を持つ福光さんは、これまで1000種以上もの養生酒を開発してきた。種類にもよるが、疲労、免疫力低下、冷え、不眠、アンチエイジングなど、効用は多岐にわたる。
福光さん自身も養生酒を飲むようになって体調が改善し、「10年前、20年前の私より、今の私の方が心身共にずっと元気です」と語る。
その福光さんがこのたび上梓したのが、書籍『心も体もよろこぶ 養生酒大全100』(自由国民社 https://www.jiyu.co.jp/shumiseikatsu/detail.php?eid=04347&series_id=s12)だ。
本書は、100種類の養生酒を厳選したレシピ集。身近な素材で手軽に作れるので、最近ちょっと不調気味の方は、ぜひ作って賞味してほしい。参考までに、3つのレシピを以下紹介する。
「レモンの皮酒」
文字どおりレモンの皮を使った養生酒。福光さんによれば、皮には栄養素が多く含まれているとし、次のように説明する。
レモンの皮には、腸内環境を改善する「食物繊維」や、中性脂肪の吸収を抑える「ファイトケミカル」も豊富に含まれています。
「ルチン」というポリフェノールも含まれています。ルチンには強い抗酸化作用があり、疲労回復やアンチエイジング、生活習慣病の予防に役立つといわれています。
(本書56pより)

【材料(作りやすい分量)】
・レモンの皮……黄色い部分だけで100g(6個位)
・グラニュー糖……100g
・ウォッカ……700ml
【作り方】
1. ぬるま湯を張ったボウルにレモンを入れて、洗う。
農薬などが気になる場合は、塩を適量手に取り、レモン全体をやさしくもむようにこすり、流水で洗い流す。
2. レモンの皮をむき、白いわたをできるだけそぎ落とす。
3. 2、グラニュー糖、ウォッカを容器へ投入する。
4. 1週間後、レモンの皮を引き上げて濾し、そのまま飲みごろ(2週間後)まで熟成させる。
使用する容器は問わないが、手で洗って自然乾燥させた(布拭きだと繊維が付着する可能性がありNG)清潔なものを用意する。使用直前にはアルコール消毒をする。
ちなみに、レモンの実の部分は「レモン酒」の材料となり、そのレシピも掲載されている。
「アーモンド酒」
健康・美容に良いと注目のナッツの代表格も養生酒の素材になる。これについて、福光さんは次のように記している。
「ビタミンE」が豊富に含まれています。抗酸化作用により細胞の健康維持を助け、シミやしわなど老化予防に効果が期待できます。
また、血行促進作用が働き新陳代謝を活発にするので、疲れ目やドライアイの予防にも役立ちます。
さらに「カリウム」「マグネシウム」「カルシウム」などのミネラル類も豊富に含まれています。これらは体を構成する成分そのものであり、体の機能調整に欠かせない大切な栄養素です。(本書140pより)

【材料(作りやすい分量)】
・アーモンド(無塩・素焼きタイプ)……300g
・ダークラム酒……700ml
【作り方】
1. アーモンドをフライパンに入れ、中火で乾煎りする。フライパンを軽く揺すりながら軽く焼き目をつける。
2. 香りが立ったら火を止め、バットなどに移して熱を冷ます。
3. アーモンドの粗熱がとれたら、容器に2、ダークラム酒を投入する。飲みごろの目安は3か月後。
「セロリ酒」
薬膳の視点では、おなじみの野菜も健康改善に役立つものが多い。その1つがセロリ。効能については、こう書かれている。
薬膳としての効能は、気の巡りを改善し、体の熱をとってのぼせを抑えます。これにより、ストレスによるめまいや頭痛の緩和、高血圧の改善、むくみや便秘の解消などにも役立つとされています。
セロリの独特の香り主成分「アピイン」は、精神を安定させ、不眠やイライラ、食欲増進を助けます。心が落ち着かないときなどに食べるとよいでしょう。(本書174pより)

【材料(作りやすい分量)】
・セロリの葉……60g
・セロリの茎……300g
・レモン……1個
・氷砂糖……40g
・ウイスキー……700ml
【作り方】
1. セロリを洗い、水気をふき取る。
2. セロリは葉・茎ともに、5cmの長さに切る。
3. レモンは皮をむき、白いわたをできるだけそぎ落として1cm幅の輪切りにする。
4. 2、3、氷砂糖、ウイスキーを容器へ投入する。
5. 2週間後にレモンを引き上げ、さらに1か月半後、セロリを引き上げて、濾す。飲みごろの目安は2か月後。
【今日の健康に良い1冊】
『心も体もよろこぶ 養生酒大全100』

定価1980円
自由国民社
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagram(https://www.instagram.com/happysuzuki/)に掲載している。
