日本人の約8割が「疲れている」と回答するなど、疲労は現代的な“国民病”と言われます。仕事や人間関係のストレス、運動や睡眠の不足、スマートフォンへの依存など、様々な原因が指摘されますが、医学的に間違った「食事のあり方」を問題視するのが牧田善二医師です。新著『疲れない体をつくるための最高の食事術』が話題の牧田医師が解説します。

解説 牧田善二(まきたぜんじ)さん(糖尿病・アンチエイジング専門医)

昭和26年、北海道生まれ。北海道大学医学部卒業。久留米大学医学部教授などを経て、平成15年、糖尿病などの生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を開業。

晩酌のすすめ。夜はゆっくり食べる

私にとって、夕食になるべく炭水化物を摂らないというのは難しいことではありません。それはたぶん、お酒を飲むからです。

肉、魚、大豆食品、野菜など糖質含有量の少ない素材でつくられた料理を食べながら、ワインを飲むのが私の夕食。米飯やパン、麺類などなくても充分にお腹がいっぱいになります。そして、疲れ知らずで翌日もばりばり働けます。

私はヨーロッパの国が好きでよく旅しますが、フランス人もイタリア人もスペイン人もワインをたくさん飲み、会話を楽しみながら食事に時間をかけます。食べている総量は多くても、ゆっくり食べるから血糖値が上がりにくいのです。

血糖値を大きく上げない方法として、早食いせず、とくに夕食で炭水化物を減らしたいなら、お酒は非常にいいアイテムです。お酒の効果については、『The American Journal of Clinical Nutrition』という医学誌に、興味深い研究論文が掲載されました。

その研究では、「白い(精製)パン」を食べた場合と、いくつかのアルコール(ビール、ワイン、ジン)を摂取したときの、血糖値とインスリン量の変化が調べられました。

すると、結果は下のグラフを見ての通り、パンを食べたときの血糖値が最も上がり、インスリンもたくさん分泌されているのです(図11参照)

アルコール類を比較してみると、ビールがそれなりに上がっています。なぜなら、ビールは、ほかのアルコールと比べて糖質が多いからです。とはいえ、パンよりは低いのです。

注目すべきは、ワインとジンの数値です。食後血糖値もインスリン分泌量も、ほとんど上がりません。ウイスキーや焼酎などの蒸留酒も、ジンと同様と考えていいでしょう。

血糖値の乱高下が慢性疲労の原因です。

仕事や家事を終えた夕刻には、お酒を楽しみながらゆっくりと美味しいものを食べてください。

最近は食事に合うノンアルコール飲料もたくさん登場しています。アルコールが苦手な人は、糖質量に配慮したノンアルコール飲料を試してみるのもいいでしょう。

***

世界最新の医学的データと20年の臨床経験から考案『疲れない体をつくる最高の食事術』

現代人の疲れは過労やストレスではなく、「食」にこそ大きな原因がある。誤った知識に基づく食事は慢性疲労ばかりか、肥満や老化、病気をも呼び込む。健康長寿にも繋がる「ミラクルフード」の数々を、最新医学データや臨床経験を交えながら、具体的かつ平易に解説している。

『疲れない体をつくる最高の食事術』
牧田善二/著 四六判208ページ 小学館刊 1650円(税込)

 

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