誰にでも訪れる“老い”。人はいつまでも永遠に生きることはできません。限りある命とどのように向き合うのかは、“老い”を感じ始めると誰もが直面する問題です。

累計12万部を突破した『50過ぎたら、ものは引き算、心は足し算』シリーズの著者、沖幸子さんはちょっとした工夫や、考え方を変えることで、老化現象と仲良く付き合いながらも、心は青春時代を取り戻すことはできると語っています。最新作『初めての“老い”を上手に生きる』では、自らの体験に基づいた「若返り」術を公開。いたずらに“老い”に怯えるのではなく、制約や義務がなくなるシニアライフを豊かに楽しむ生活を提案しています。

今回は『初めての“老い”を上手に生きる』から、部屋をきれいに保つ方法をご紹介。汚れを溜めないように、ささっと済ませることができれば、体力や気力が減ってきても美しい部屋を保つことができます。

文/沖幸子

美しい部屋の基本

年齢に関係なく、たいていの人は、狭くても広くても、いつもきれいな部屋に住みたいと願う。
老いて体力や気力がなくなっても、きれいな部屋を保つために、できること、気を付けることはあります。
豪華でなくてもいい、シンプルで、整理整頓が行き届き、いつでも簡単な掃除がしやすい部屋は、誰がいつみても美しい。

高齢者でもできる美しい部屋を保つためのラク家事の基本は

窓はこまめに開ける。
床にものを置かない。
汚れたらすぐ拭いてきれいにする。
洗濯はこまめに、いつも清潔感を心がける。
水回りはいつも使ったら拭いておく。
タオルなどの生活備品は、定期的に取り換え清潔に。
トイレなど、余分なカバーや飾り物はほこりの温床になるのでおかない。
掃除道具は、タオルが基本、複雑で重いものは使わない。
部屋中が美しく見える工夫をする。例えば、ついた水滴や水回りの蛇口はいつも使ったら拭く。
玄関の靴はそろえる。
香りのする生花を飾る。生きた植物は、最高の自然フレグランス、部屋中をリフレッシュする芳香剤。

水回りはいつもきれいに

健康に暮らすために、トイレやバスルーム、洗面所、キッチンなどの水回りはいつも清潔に心がけることです。
とくに高齢者や幼児のいる家庭はなおさら。
水回りは、やることが多い部屋とは違い、限られた空間。
きちんとやることを決めておけば、体力もかからず、いつも清潔でピカピカを保てます。

水回りをいつも清潔できれいに保つためには、汚れたらすぐ拭き、掃除が複雑にならないこと。
時間も体力も使わずにすむように、余分なものを飾ったり置いたりしない。
トイレなど、カバーや置物は、あると掃除の手間もかかり、目に見えないほこりや汚れ、ニオイの温床になるので、不衛生にもなりがち。
わが家のトイレや洗面台には、トイレマットや便器カバーなど余分なものを置いていない。
清潔を心がけたいトイレや浴室、洗面台は、病院のように余分なものはおかず、必要最小限のもので済ますように心がけることも大切です。

手拭き用のタオルも頻繁に取り換え、床も拭き、いつも清潔感あふれるすっきりとした空間を保つこと。
窓を開けたり、換気扇を回したり、換気にも気を配ります。

便器の中は、使ったら柄付きタワシでゴシゴシ磨き水を流すだけ。
換気を十分にし、壁、床や便器の外側は、お湯で拭き、時々は天井のほこり払いも。
余分な飾りのない空間は、余分な汚れもたまらず、時間も体力もかからず、心も軽やかに手入れが行き届きます。

疲れを癒す大切なバスルーム。
お湯を落とした後、バスタブの内外をタオルで磨くように拭く。
水回りの汚れの原因のほとんどは、残った水滴や水あか、湯あか、石鹸カス。

カビ防止に、壁などにも熱いシャワーをかけておく。
お湯を使うバスルームの換気は、湿気対策が特に大切なので、窓を開け、換気扇を回します。

シャンプーなどの小物類は、小さなかごにまとめて入れておけば、移動が簡単で、隅々まで熱いシャワーをかけられます。
汚れたシミ、水あかや湯あかを見つけたら、そこだけを集中して磨いておく。
こうすれば、汚れが染み付いたり重なり頑固になって取れにくくなることがありません。

洗面所は、顔を洗ったり、歯を磨いたりしながら、汚れをチェックし、まわりに飛び散った水滴も乾いたタオルで拭き、ついでに鏡も一緒に拭いておきます。

水回りの手入れを簡単にするためには、“頑固な汚れ”をつくらないこと。
汚れは汚れを呼ぶので、使ったらすぐ、また、汚れを見つけたら、そのまま放置しないで、すぐ。
できたばかりの汚れは、“目に見えない”新しいうちに退治すること。

“鉄は熱いうちに打て”
掃除、特に水回りやキッチンなどの“ラクラク手入れ”の鉄則です。

初めての“老い”を上手に生きる
著/沖幸子
笠間書院 1,760円(税込)

沖 幸子(おき・さちこ)
兵庫県生まれ。生活経済評論家。家事サポートサービス「フラオ グルッペ」代表。大学客員教授(起業論)や経済産業省、厚生労働省などの政府審議会委員も務める。
神戸大学卒業後、ANA、洗剤メーカーを経て、ドイツ、イギリス、オランダで生活マーケティングを学び、グローバルな視点を持つ暮らしのデザイナー・女性起業家として、メディアで活躍。「掃除界のカリスマ」として知られ、家
事や暮らしが楽しくなる数々のエッセイや評論を執筆している。
著書は、『ドイツ流 掃除の賢人』(光文社)、『50 過ぎたら、ものは引き算、心は足し算』(祥伝社)、『60 からは 喜びはかけ算 悲しみは割り算』(世界文化社)、『70 過ぎたら あるがまま、上手に暮らす』(祥伝社)など多数。

 

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