30~40代のプレ更年期や、40~50代の更年期の女性は「なんとなくの不調」「ちょっとした違和感」を抱くことが多くなります。なかでも多くの方が困っている悩みは、眠りが浅い症状です。
実は、その不調には漢方薬が役立つことをご存知でしたか?
私の悩みにも漢方薬が役立つのか知りたい! 根本解消する方法が知りたい!
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
今回は「眠りが浅い」原因や対処法について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の開発研究に携わる碇純子さんに教えてもらいました。
眠りが浅くて仕事にも支障が出て困っています
ひろ子さん 47歳からご質問をいただきました。
「最近、眠りが浅くて困っています。夜中に何回も起きてしまい、睡眠の質が下がって疲れもぜんぜんとれません。毎日ずっとだるい状態です。
夜眠れないので日中に眠くなってしまって、仕事にも支障が……。この間も、業務中にあくびをしてしまい、『ひろ子さん、ちゃんとして!』と上司に注意されました。
なぜ眠りが浅くなるのでしょうか? できれば睡眠薬には頼りたくなくて……。対策があれば教えていただきたいです」
ご質問ありがとうございます。眠りが浅いと、疲れもとれずつらいですよね。
しかし、きちんと適切な治療やセルフケアを行えば、不眠症状の緩和を目指せます。まずは、眠りが浅い原因をしっかり把握して対処しましょう。
眠りが浅くなる原因は?
まずは眠りが浅くなる原因について見ていきましょう。
1.更年期の症状
人は加齢とともに深い眠りであるノンレム睡眠の時間が減ります。しかし、それ以外にも理由があります。更年期はそのひとつです。
閉経を挟む前後約5年間の更年期には、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急減し、体に様々な不調が起こります。
エストロゲンが減少すると自律神経が不安定になり、眠りが浅い、睡眠の途中に目覚めてしまう、なかなか寝つけないなど、睡眠に関する不調があらわれることも。
また、のぼせや発汗、動悸など、ほかの更年期症状も眠りが浅くなる原因になります(※1)。
2.社会的なストレス
更年期世代の女性は、子どもの自立、夫の定年退職、親の介護など、ライフステージに変化が起こる時期です。また、経済問題や将来への不安など、すぐに解決できない問題が重なることも。
そういった数々の問題がストレスとしてのしかかり、睡眠の質を下げている可能性があります。
3.不適切な睡眠習慣
生活習慣が不規則だと、不眠が悪化する場合があります。たとえば、日中の活動量の減少は、寝つきの悪さや睡眠の質の低下につながります。
また、うまく寝られないこと自体がストレスになる場合も。眠ろうとすればするほどかえって目が冴えてしまい、寝つきが悪くなることもあるでしょう。
また、「睡眠状態誤認」といって、客観的な睡眠時間と自覚的な睡眠時間が一致しない場合もあります(※2)。睡眠状態誤認の原因は完全に解明されてはいないものの、脳の時間認知機能の障害と考えられています(※3)。
睡眠の質を改善する対処法
ここからは、睡眠の質を改善する対処法を3つご紹介します。
1.病院を受診する
不眠症状の原因はひとつではなく、様々な体の病気が関係している場合もあります。たとえば、うつ病による不眠や、睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害による不眠など、ひと言で不眠症状といっても、病気によってまったく原因と治療方法が異なるのです。
まずは内科や精神科、心療内科などを受診し、鑑別診断をしてもらいましょう。
2.睡眠習慣を見直す
睡眠習慣を正しくするには、生活習慣全体を見直しましょう。早寝早起きは、朝に太陽の光を浴びることで体内時計をリセットし、睡眠リズムをとり戻すことから始まります。毎朝太陽光を浴び、睡眠ホルモンのメラトニンの原料であるセロトニンを活性化させましょう。
また、適度な運動も大事です。ウォーキングやジョギングなどをできる範囲で行い、日中に体を疲れさせて、スムーズに入眠できるようにしましょう。
3.漢方薬を試す
漢方薬は、西洋薬における対症療法と異なり、根本からの体質改善を目的としていて、根本から不眠の改善が目指せます。また、「睡眠薬を飲むのは抵抗がある」という方にもおすすめです。
「バランスのとれた食事や運動などを毎日続けるのは苦手」という方も、漢方薬なら症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
不眠の症状を緩和するには「自律神経の乱れを整え、ストレスを解消する」「いらだちや興奮を鎮める」「消化・吸収機能を改善し、体に栄養を届けて心を元気にする」「血流をよくして中枢神経の機能を回復する」などの作用を持った漢方薬を選びましょう。
不眠の症状におすすめの漢方薬
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):血液循環やエネルギーの流れを整え、自律神経を安定させ、ストレスから来る不眠、精神不安に働きかけます。
・酸棗仁湯(さんそうにんとう):栄養の「血(けつ)」を補い、心身の疲れを和らげ、疲れているのに眠れないといった不眠状態を改善します。
ただし、漢方薬はご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることもあります。
購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師等にご相談ください。
「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0217
まずは内科などを受診してから、生活習慣を見直そう
不眠症状は、更年期、ストレス、不規則な生活習慣のほか、病気が原因のものなど、様々な理由によって起こります。「眠りが浅い」という悩みを抱えている場合は、まずは内科や精神科、心療内科などを受診し、原因を特定したうえで対処していきましょう。
さて、次回は「更年期ダイエット『何やっても痩せない』あきらめる前に試してほしい解決策」です。ぜひご覧ください!
【参考】
(※1)e-ヘルスネット(厚生労働省)「女性の睡眠障害」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-005.html
(※2)田辺三菱製薬 不眠・眠りの情報サイト スイミンネット「睡眠状態誤認|睡眠用語辞典」https://www.suimin.net/words/sa/suiminjyoutaigonin.html
(※3)読売新聞 ヨミドクター「『何時間も寝つけない』『夜中に目覚めてから一睡も』、でも実際は…不眠患者に多い「睡眠状態誤認」 睡眠薬は逆効果も」https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20191216-OYTET50034/2/
<この記事を書いた人>
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0217
イラスト:lely