インバウンド効果で、あらゆる場所で外国人と遭遇するようになった昨今。英語でのコミュニケーションに苦手意識を持つ日本人は、簡単な英語の質問でもパニックになりがちです。でも、ほとんどは中学で学んだ英語で対応可能であると知れば、気も楽になりませんか。
在日35年余で英会話学校を営むデイビッド・セインさん、英語教育関連の著作に携わってきた廣岡アテナさんによる最新の共著『外国人によくたずねられることはぜんぶ中学英語で答えられる!』(主婦の友社)では、外国人観光客からよく聞かれる質問とそれに対する回答例が、中学英語レベルのフレーズでまとめられています。久しぶりに英語に触れるという人も、「こういう言い方あったな」と思い出すことができ、大人のやり直し英語にも最適な一冊です。
今回は、「伝わりやすい道・交通案内」についてご紹介します。地図アプリが普及しても、観光客に聞かれやすい質問のトップは道や交通のこと。難しく考えず、シンプルに答えるだけで感謝されることでしょう。
文/デイビッド・セイン、廣岡アテナ
ポイントを押さえて、シンプルに伝えよう
そんなにまわりくどく言わないで!
シンプルな短文が伝わりやすい
親切に正確に教えてあげようとするあまり、英語が複雑になって頭の中でぐるぐるしてしまう……「日本人英会話あるある」ですね。ゆっくり・短く・はっきりと、なるべくシンプルな言い方を心がけましょう。英語は間違っていないのに、早口でぼそぼそ言うと伝わらないことがあります。1フレーズずつに分けて、いくつかを並べて伝えるかたちでもぜんぜん問題ナシ! ここでも中学英語が活躍しますね。
道案内は命令形でOK
Go straight. だと、「まっすぐ行け」という命令形でえらそうかな? と思うかもしれませんが、道案内では「~してください」というニュアンスになるので心配いりません。Turn right.(右へ曲がってください)、 Cross the street.(その道を渡ってください)などは道案内の定番表現です。また最近ではスマホアプリで場所を尋ねてくる人も多いので、Can I see that?(見てもいいですか?)と断って画面を見せてもらい、相手の目的地を確認するとラクですね。
「道案内」で役立つフレーズ
この電車は代官山駅に停まりますか?
Does this train stop at Daikanyama Station?
stop at ~で「~に停まる」です。会話中に地名や駅名が出てくる場合、どこで(場所)+何を(動作)さえ聞きとれれば、だいたい答えられます。
・ええ、停まります。/いいえ、停まりません。
Yes, it does. /No, it doesn’t.
・代官山には各駅停車しか停まりません。
Only local trains stop at Daikanyama.
*local train = 各駅停車(の電車)
・自由が丘で各駅停車に乗り換えてください。
Please transfer to the local train at Jiyugaoka.
道案内での命令形は失礼なニュアンスはありませんが、動詞の前にPleaseを添えることでより丁寧な印象になります。
新宿駅まで行きたいのですが。
I’d like to go to Shinjuku Station.
I’d(I would)like to+動詞の原形は「~したい」というときの丁寧な言い方です。質問形ではなく、こういった表現で聞かれる場合も。どこ行きの何線に乗ったらいいかなど、最低限のことだけでも伝えたいときは下記のように言ってみてください。
・山手線に乗ってください。
You need to get on the Yamanote Line.
・渋谷行きの山手線は14番線から発車します。
The Yamanote Line for Shibuya is on Platform 14.
・まず、あの階段を上がってください。
First, you need to go up the stairs.
・先のほうに5番ホームがあるはずです。
You’ll see Platform 5 ahead of you.
・左折して、案内に従って進んでください。
Turn left and follow the signs.
切符はどこで買えますか?
Where can I buy a ticket?
ticketは「チケット」というカタカナ発音を想像していると、聞きとれないかもしれません。ティケッ(ト)と、tの音はほぼ聞こえません。
・あちらの券売機で買えます。 ※指さしながら
You can get it at that ticket machine.
・どちらへ行くのですか?
Where are you going?
・改札口の隣に券売機があります。
The ticket machine is next to the ticket gate.
・英語の案内もあるはずです。
There should be an English guide.
*should be 〜 = 〜 のはずだ
・新幹線の切符も券売機で買えますよ。
You can also buy bullet train tickets from the ticket machine.
ここはどこですか?
Where am I on this map? ※地図を指さしながら
直訳では「この地図上で私はどこにいますか?」。旅行には紙の地図やガイドブックが必需品でしたが、最近ではマップアプリが主流です。スマホの画面を見せながら道を尋ねる旅行者も。
・このあたりです。※指さしながら
You’re around here.
・この地図には載っていません。
It’s not on this map.
・地図を見せてもらえますか?
Could you show me your map?
・あの案内板を見てみましょう。
Let’s take a look at the sign together.
*take a look = 見てみる
・よければそこまで案内しますよ。
I’ll take you there if you’d like.
* * *
外国人によくたずねられることはぜんぶ中学英語で答えられる!
共著/デイビッド・セイン、廣岡アテナ
主婦の友社 1,540円
(株)エートゥーゼットイングリッシュ、AtoZ英語学校代表。
アメリカ出身。約35年前に来日し、翻訳、通訳、英会話学校経営など、多岐にわたって活躍。英語関連の出版物の企画・編集・制作を手がける豊富な英語教育経験を生かし、数多くの英語関係書籍を執筆。ベストセラーも多数。近著に『58パターンで1200フレーズペラペラ英会話』(主婦の友社)、『10年ぶりの英語なのに話せた! あてはめて使うだけ 英語の超万能フレーズ78』(アスコム)など。
廣岡アテナ(ひろおか・アテナ)
高校卒業後渡米し、オハイオ州ライオグランデ大学英文学部を卒業。帰国後は英語教育関連の著作に携わる。エートゥーゼットイングリッシュ所属。共著に『英語でブログを書いてみよう』(技術評論社)、『心に響く英語名言集 世界の女性編』(Jリサーチ出版)などがある。