便が固くて困ってしまったら「麻子仁丸」【漢方薬剤師が教える漢方のキホン】

ドラッグストアで陳列されていて、よく目にする漢方薬。「便秘に効果のある漢方薬がたくさんあるけど、なにを基準に選べばいいのかわからない」「そもそも漢方薬ってどんなもの？」と悩んでいませんか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。今回のテーマは、「麻子仁丸（ましにんがん）」です。あんしん漢方（オンラインAI漢方）の薬剤師、碇 純子さんに教えてもらいました。

麻子仁丸はどんな方におすすめ？

麻子仁丸が合う方や効果のある具体的な悩み・症状を解説します。

1．高齢者・病後の便秘症状

麻子仁丸は高齢者や病後の方の水分が少なくコロコロとして硬い便、それに伴う便秘症状に効果がある漢方薬です。

高齢者や病後の方は腸の水分が少ない傾向にあり、便の水分量が減って硬くなり排出しにくくなるケースがあります。
便秘になると、腸が便に含まれる水分をどんどん吸収し、便の硬さが増してさらに排出が困難になるという悪循環に陥りやすくなるため、早めに対応することが大切です。

麻子仁丸は、潤いを保持する「麻子仁（ましにん）」と「杏仁（きょうにん）」という生薬が入っているため、水分の減少で起きる便秘に効果があります。

2．便秘に伴う湿疹・皮膚炎・吹き出物（にきび）の症状

便秘になると便中の毒素が体内に留まり、腸が毒素を吸収してしまうことがあります。
腸から吸収された毒素は、血液を通じて全身を巡り、湿疹や皮膚炎、吹き出物といった症状を引き起こす原因です。

便秘が原因により皮膚症状が起きている場合、麻子仁丸を服用することで、便秘だけでなく肌の状態も改善されることが期待できます。

3．便秘に伴う食欲不振・腹部膨満・腸内異常醗酵の症状

便秘による食欲不振や腹部膨満は、便秘が続き腸内にたまる便量が増加して胃が上に押し上げられたり、「腸内異常醗酵」といって腸内にガスが発生したりすることが原因です。

麻子仁丸は便秘を改善できる漢方薬であるため、服用することで、便秘による食欲不振などの症状も一緒に改善できる可能性があります。
加えて、配合されている「枳実（きじつ）」と「厚朴（こうぼく）」には腹部膨満を取り去る働きがあることも、効果が期待できる理由のひとつです。 もし、便秘が改善されたにもかかわらず、食欲不振や腹部膨満が改善されない場合は、便秘ではなく胃腸機能の低下など別の原因が考えられるでしょう。

もし、便秘が改善されたにもかかわらず、食欲不振や腹部膨満が改善されない場合は、便秘ではなく胃腸機能の低下など別の原因が考えられるでしょう。

4．便秘に伴う痔の症状

便秘や硬い便によってお尻に負担がかかるといぼ痔や切れ痔を起こしてしまいます。

麻子仁丸によって便秘や硬い便が改善されスムーズな排便になると、お尻への負担が減るため、痔の改善が期待できます。

5．便秘に伴う、頭重・のぼせの症状

便秘になると頭重やのぼせの症状がみられることがあります。

のぼせの場合、漢方の考えとして多い原因は「気逆（きぎゃく）」です。
気逆とは、エネルギーが下から上に巡ってしまっている（本来エネルギーは上から下に巡る）状態をいいます。

頭重の場合は、漢方の考えとして瘀血（おけつ）や血虚（けっきょ）、気逆といった原因が考えられます。

麻子仁丸には気血を整える生薬や便秘改善に効果が期待できる生薬がたくさん入っているため、便秘に伴う頭重やのぼせも一緒に改善されることが期待できます。

麻子仁丸とは？

麻子仁丸とはどのような漢方薬なのか、効能や効果、基本的な飲み方を通して解説します。

1．効能・効果

乾燥して便の排出がスムーズでない便秘の症状に対し、便に水分を与えて軟らかくし、排出をスムーズにさせる効果があります。
また、大腸の運動を整えることで、自然に近いお通じを目指せます。

【効能・効果】
体力中等度以下で、ときに便が硬く塊状なものの次の諸症：便秘、便秘に伴う頭重・のぼせ・湿疹・皮膚炎・吹き出物（にきび）・食欲不振（食欲減退）・腹部膨満・腸内異常醗酵・痔などの症状の緩和

2．基本の飲み方

麻子仁丸は、食前または食間（食事から２〜３時間後くらい）に水または白湯で飲むのが基本です。
効果を高められる飲み方として白湯がおすすめですが、水で飲んでもかまいません。

もし、５〜６日間服用しても症状の改善がみられない場合は、体質に合っていない可能性が高いため、一度服用を中止し、医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。

また、配合されている生薬の大黄（だいおう）には、子宮収縮作用や骨盤内臓器の充血作用が認められているため、妊娠中の服用には注意が必要です。服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。

麻子仁丸に副作用はある？　安心して服用するには

服用後、１週間前後で下記のような症状がみられた場合、副作用の可能性があります。

●消化器症状
●はげしい腹痛を伴う下痢・腹痛

副作用が疑われる場合は直ちに服用を中止し、医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。

体質に合わない漢方薬を使用することで副作用が起こりやすくなるため、漢方薬を選ぶ際はご自身の体質とそれに合ったものをプロに見極めてもらう方が安心です。

気軽にご自身に合った漢方薬を知りたい場合には、スマホひとつで相談できる「あんしん漢方」といったオンライン処方サービスもあります。漢方に詳しい薬剤師がAIを駆使して一人ひとりに合った漢方薬を提案し、自宅まで配送してくれるサービスです。興味がある方は、一度試してみてはいかがでしょうか。

●あんしん漢方：https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0189

麻子仁丸は水分が少なく硬い便や便秘に効果あり

麻子仁丸は、腸が乾燥し、便に含まれる水分量が減少することで生じるコロコロとした便や、便秘の症状の改善に効果があります。

ただし、体質に合わないと副作用を起こしたり、効果があらわれなかったりするため、まずは漢方のプロに相談してから使用することをおすすめします。

＜この記事を書いた人＞

●あんしん漢方（オンラインAI漢方）：https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0189