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そのイライラをおさえられるかも「抑肝散」【漢方薬剤師が教える漢方のキホン】100

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2023/12/6

ドラッグストアで、よく目にする漢方薬。「なんとなく体に優しそうなイメージ」「葛根湯（かっこんとう）なら知っているけれど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの？」と思っている人も多いのではないでしょうか。

そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。第100回のテーマは、「抑肝散（よくかんさん）」です。あんしん漢方（オンラインAI漢方）の薬剤師、碇純子さんに教えてもらいました。

抑肝散はどんな症状におすすめ？

抑肝散は、通常、体力中等度で神経がたかぶる人に用いられる漢方薬です。

抑肝散がどんな症状に向いているのか、具体的にご紹介します。

1．イライラ

抑肝散は、イライラや怒りの感情が抑えられない場合に有効です。

たとえば、「仕事や受験でストレスを感じ、常にイライラしている」「緊張状態が続いて、様々なことに過敏になる」「更年期や月経前症候群（PMS）で周りに攻撃的になる」などの症状を、落ち着かせる効果が期待できます。

2．不眠

抑肝散は、興奮して眠れない場合や神経質な人の不眠に適応しています。寝付きの悪さだけでなく、中途覚醒に用いられることも。

ただし、心身ともに疲れて眠れない場合の不眠には、「酸棗仁湯（さんそうにんとう）」が向いています。不眠でお悩みの際は、ご自身がどの不眠タイプに当てはまるのか、漢方の専門家に相談したほうがいいでしょう。

3．子どもの夜泣き

抑肝散は、もともとはひきつけ、夜泣き、神経過敏症などの小児の疳（かん）の虫に対する漢方薬です。けいれんがあったり物事に過敏に反応してしまったりする状態の子どもに用いられています。

また、抑肝散は、親と子どもがいっしょに服用すると症状の早期改善に役立つといわれており、「母子同服」を推奨することがあります。

抑肝散とは？

次に、抑肝散の効能・効果や基本的な飲み方をご紹介します。

1．効能・効果

抑肝散は、気持ちを調節する「肝」の疏泄（そせつ）作用を整えることで、神経症、不眠症、小児の夜泣きや疳の虫に働きかける漢方薬です。自律神経系の調節をしながら、栄養とエネルギーを巡らせる作用もあるため、精神疲労に対する効果も期待できます。

最近では、認知症患者の暴言や暴力、徘徊などの行動・心理症状（BPSD）の改善にも役立つといわれています。

2．基本の飲み方

抑肝散のような漢方薬は、基本的に食前（食事の30分前）や、食間（食事から２時間後）に水またはぬるま湯で飲みます。

飲み忘れた場合は、気がついた時点ですぐに１回分を服用しましょう。薬を飲んだら、次の服用まで１日２回の場合は６時間以上、１日３回の場合は４時間以上の間隔をあけます。副作用のリスクが高くなるため、一度に２回分をまとめて飲むのは避けてください。

抑肝散に副作用はある？　安心して服用するには

漢方薬は、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。しかし、必ずしも副作用が起こらないわけではありません。たとえば、抑肝散の副作用として、発疹やかゆみ、食欲不振、胃部不快感、下痢、眠気、倦怠感などが報告されています。

まれに、間質性肺炎や偽アルドステロン症、心不全、ミオパチー、肝機能障害などの重篤な副作用が起こることも。発熱や呼吸困難、めまい、顔や手足のむくみ、体や手足のだるさ、手のこわばり、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状があらわれた場合は、重篤な副作用の初期症状である可能性があります。なにか異変を感じたときは、すぐに医療機関を受診しましょう。

また、副作用のリスクを低くするには、漢方医学を学んだ医師や薬剤師などの専門家のアドバイスを聞き、症状や体質に合った漢方薬を選ぶことが大切です。

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