ドラッグストアで、よく目にする漢方薬。「味や匂いが独特……。でも体によさそうなイメージ」「葛根湯なら飲んだことがあるけれど、そもそも漢方ってどんなもの?」このように思っている人も多いのではないでしょうか。

そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。第98回のテーマは、「三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、碇 純子さんに教えてもらいました。

三黄瀉心湯はどんな人におすすめ?

はじめに、三黄瀉心湯がどんな人に向いているのか、具体例をあげてご紹介します。

1.高血圧の諸症状がある人

三黄瀉心湯は、心と体のバランスを調整して、高血圧にアプローチします。体質の根本改善に働きかけるため、血圧の安定化と同時に高血圧に伴う様々な症状の改善を目指せるのがメリットです。

また、三黄瀉心湯は、血圧を下げる西洋薬との併用で、早期改善や合併症の予防などの効果が期待できます。

2.更年期でのぼせる人

三黄瀉心湯は、のぼせやイライラ、ホットフラッシュなどの更年期症状に用いられることがあります。

更年期のイライラやのぼせに対する漢方薬は加味逍遙散(かみしょうようさん)が有名ですが、体質や症状によっては三黄瀉心湯のほうが向いている場合があります。

3.出血しやすい人

三黄瀉心湯は、止血作用をもつ漢方薬です。

漢方では、血が熱をもつと出血しやすくなると考えられています。三黄瀉心湯は、余分な熱を下げるため、鼻血や痔出血などに用いられます。

三黄瀉心湯とは?

次に、 三黄瀉心湯の効能・効果や基本的な飲み方をご紹介します。

1.効能・効果

三黄瀉心湯は、清熱(せいねつ)作用をもつ「黄芩(おうごん)」「大黄(だいおう)」「 黄連(おうれん)」の「黄」の字がつく3つの生薬で構成されている漢方薬です。漢方の古典といわれる中国の医書「金匱要略(きんきようりゃく)」に収載されています。

清熱とは、体の過剰な熱を体外に排出し、冷ます働きのことです。消炎・解熱などの体の熱だけでなく、イライラや興奮などの精神的な熱も冷まします。

三黄瀉心湯は、この清熱作用によって、高血圧に伴う症状(のぼせや肩こり、耳なり、不眠、不安)、鼻血、痔出血、便秘、更年期症状などの改善に働きかけます。比較的体力がありがっしりとした体格で、のぼせ気味、赤ら顔、精神不安、便秘などの傾向にある人におすすめの漢方薬です。

2.基本の飲み方

三黄瀉心湯のような漢方薬は、基本的に食前(食事の30分前)や、食間(食事から2時間後)に水またはぬるま湯で飲みます。

飲み忘れた場合は、1度に2回分をまとめて飲むことはせず、気がついた時点ですぐに1回分を服用しましょう。薬を飲んだら、次の服用まで1日2回の場合は6時間以上、1日3回の場合は4時間以上の間隔をあける必要があります。

また、出血には、三黄瀉心湯を熱湯に溶かしたあと氷などで冷やして飲む「冷服」が向いている場合があります。疑問や不安な点があれば、まずは専門家に相談しましょう。

三黄瀉心湯に副作用はある? 安心して服用するには

漢方薬は一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれていますが、必ずしも副作用が起こらないわけではありません。たとえば、三黄瀉心湯の副作用として、食欲不振、腹痛、下痢などの症状が報告されています。腸を刺激する「大黄」という成分が含まれており、常習的な便秘の治療に役立ちますが、体力の弱い人には推奨されません。

まれに、間質性肺炎や肝機能障害などの重篤な副作用が起こることもあります。発熱や息切れ、呼吸困難、体のだるさ、皮膚や白目が黄色くなるなどの異変を感じたときは、すぐに医療機関を受診しましょう。

副作用のリスクを低くするためには、漢方医学を学んだ医師や薬剤師などの専門家のアドバイスを聞き、ご自身の体質に合った漢方薬を選びましょう。

「漢方薬局が近くにないので、定期的に通うのが難しい」「気軽に専門家のアドバイスを聞きたい」という人には、自宅で診断から漢方薬の提案、購入までがすべて完結するあんしん漢方のようなオンライン漢方サービスがおすすめです。

AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」では、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれ、漢方薬がお手頃価格で自宅まで届きます。忙しい人も、手軽に利用しやすいサービスです。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0174

高血圧の諸症状には三黄瀉心湯がおすすめ

今回は、三黄瀉心湯をご紹介しました。三黄瀉心湯は、高血圧に伴う体と心の様々な症状の改善に働きかける漢方薬です。

三黄瀉心湯のように、漢方薬は身体・精神症状で区切らずに、効果・効能が幅広いのも魅力のひとつです。ただし、効果を実感するためには、漢方の専門家にご自身の体質や症状に合った漢方薬を選んでもらい、正しく服用しましょう。

さて、次回は「膀胱炎が気になったなら『猪苓湯(ちょれいとう)』」です。ぜひご覧ください!

<この記事を書いた人>

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師
/ 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0174
●Medical Health CH:https://www.youtube.com/channel/UC7XLi90xVGs_NnKhowC0G2w

 

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