65歳を機に、炭水化物を摂るのは昼食のみと決断。朝はヨーグルトとコーヒーに、胃腸を目覚めさせる果物の3点セットだ。

【山下幸雄さんの定番・朝めし自慢】

手前から時計回りに、ヨーグルト、季節のフルーツ(サクランボ)、カフェオレ(下画像参照)。ヨーグルトは「アロエの生乳仕立て」を愛食。アロエが花粉症対策になると聞いて、これに決めた。1年ほど前までは上の献立にさらにバナナが1本ついていたが、懸念される腎臓によくないとのことで、今はやめているという。
お値打ち価格で、毎日飲んでも飽きない味
「いつもの珈琲」200g×2袋922円。「楽園の休日」200g1166円。「楽園の休日 ザ・バレルエイジド」50g1280円。
21世紀コーヒー/埼玉県川口市東本郷1-8-1
電話:0120・2154・00
午前6時半~7時起床。「朝食は7時半~8時、昼は正午、夕食は7時頃と規則正しい食生活。夜10時には床に就くのが理想なのですが、仕事でつい遅くなることも」と山下幸雄さん。
昼食だけは、炭水化物を摂ることを許している。今日の昼は、昨夜の残りの八宝菜をのせたオープンホットサンドイッチにサラダを添えて。サラダは塩、胡椒のみで食す。昼食後にもコーヒーを楽しむが、夏は京都『小川珈琲」の「炭焼珈琲リキッド」にミルクを入れて、アイスカフェオレにするのが定番だ。

マンガを読む習慣のなかった小学生時代。そんな少年が中学生になって、突然マンガを描き始める。

「クラスメートが小説を書いたのを見て、マンガで対抗しようと思ったのが最初です。ちなみに、その頃から今に至るまで、新しい表現方法という意味で、カタカナ表記の“マンガ”を使っています」

本格的に描くようになったのは、手塚治虫の『マンガのかきかた』を読んでからだ。初めてマンガを投稿したのは、「鉄腕アトムクラブ」という虫プロのファンクラブ機関誌。それが選外佳作で掲載され、マンガ熱に拍車がかかる。マンガ好きな友達もでき、『つれづれ草』なる同人誌も発行する。

中学から高校にかけて、マンガ友達3人で作った肉筆マンガ同人誌『つれづれ草』。上は第10号の表紙で、昭和44年2月1日発行。現存する唯一の肉筆マンガ同人誌だ。B4判で、分厚く立派な同人誌の出来上がりだった。

初めて出版社にマンガを持ち込んだのは、高校2年の時。そのままプロになることを信じて疑わず、アシスタントを経て、イタイイタイ病を取り上げた『悪魔の水』でデビュー。20歳だった。以降もストーリーマンガ家として『いのちの契約書』などを発表。

デビュー作『悪魔の水』。当時からストーリーマンガ派で、新潟のイタイイタイ病がテーマの作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社刊)の昭和45年第38~40号に掲載された。“篠原幸雄”の名で、計90ページ3回の連載だった。

「その後、『負けずの大五』の連載が始まったのとほぼ同時に、手塚(治虫)さんの『ブラック・ジャック』も始まった。同じ雑誌に2本の医療マンガが載っている。しかも、相手はあの手塚さんです」

医者が主人公の『負けずの大五』。『少年チャンピオン』(秋田書店刊)の10回連載で、原作は杉山義法(すぎやまぎほう)。杉山はNHK大河ドラマ『天と地と』などを手掛けた当時売れっ子の脚本家。1巻から3巻まで電子書籍で発売中。

ブラック・ジャックに負け、自由なマンガ空間を求めて、自分で雑誌を作ることを思い立つ。それが『ふしぎな仲間たち』だ。だが、資金がもたず2年ほどで休刊。その後、デサイナーに転進。さらに編集プロダクションを設立し、もうマンガを描くことはなかった。

胃腸を目覚めさせる朝の果物

60歳目前で再びマンガを描き始め、65歳で食生活を見直した。

「人間ドックの数値が良くなかったから。もう少し頑張りたいと、3食とも自分で作るようになった。諸悪の根源は肥満だから、朝と夜は炭水化物をご法度。従って、朝はヨーグルトとコーヒー、それに季節の果物を欠かしません。コーヒーはミルクを半分入れたカフェオレで、400cc飲みます」

“朝の果物は金”といわれる。胃腸や体を目覚めさせ、脳のエネルギー源となるブドウ糖を始め、果糖も多く含まれているからだ。

夜は主菜にスープ、生野菜の献立。現在身長167cm、体重85kg。70kg台に落とすのが目標だ。

挽きたてのコーヒーは香りと味が違うと、毎朝、朝食の前にコーヒー豆を挽くのが山下さんの日課だ。夫婦ふたりでメジャースプーン3杯が目安で、やや細かめに挽くのが山下流である。
三角錐形のペーパーフィルターを使い、コーヒーを淹れる。「挽きたての豆は湯を注ぐと対流が起こり、泡立ちます。それとエグ味を残さないように、最後まで落とさないのが美味しさの秘訣です」と、コーヒーには一家言ある。

30年の空白を経て、再びマンガと向き合い始めた

若き日に発刊した『つれづれ草』から40年の時を経て、再出発したのがシニアのためのマンガ同人誌『新つれづれ草』である。

自宅の仕事場で、『新つれづれ草』20号の編集作業をする山下さん。30年ぐらいのブランクがあったが、『つれづれ草』時代の仲間との交流は続いており、『新つれづれ草』として復活できた。

「まさか再びマンガを描くとは思いませんでしたが、今はコミックスタジオというソフトを使えば、パソコンで描けることがわかった。人生の終わりが見えてきた時に、もう一度描いてもいいかなと」

それに賛同してくれた人が集まっているのが、『新つれづれ草』。発表する場があることが、上達にもつながる。シニア世代の会員10名ほどが鎬(しのぎ)を削っているという。

「“やましたゆきお”の名で、これが最後と思って描き、編集作業をしています。年齢や体力と折り合いをつけながら、続けられたらいいですね」

力尽きるまでマンガと向き合えれば、それで本望だという。

2017年、「新つれづれ草マンガ展 篠原幸雄からやましたゆきおへ マンガと生きた50年」を開催。マンガ家デビューから50年、再びマンガを描き始める“覚悟”の記念展だ。
『新つれづれ草』は年1回の発行。10人ほどの会員が寄稿した直筆原稿を、そのまま製本した同人誌だ。上は18号と19号の表紙。1号から10号まで電子書籍で発売中。

『新つれづれ草』既刊号は下記のメールアドレス(※)で購入できる。
※ sinturezure@gmail.com

※この記事は『サライ』本誌2023年9月号より転載しました。年齢・肩書き等は掲載当時のものです。 ( 取材・文/出井邦子 撮影/馬場 隆 )

 

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