文/印南敦史

食べ物は口で咀嚼し、飲み込み、体内へと入っていきます。
もし、咀嚼の力が弱かったら……。
もしくは、「噛む力」に自信がなく食べられないものが増えていったら……。
確実に栄養が摂れなくなり、気づけば体に大きな影響を与えていることもあります。
実際に多くの研究者が、「すべての老いは口からはじまる」と警鐘を鳴らしています。
(本書6ページより)

『食事でムセる かみ切れない 口臭が気になる人のための 口の強化書』(照山裕子 著、來村昌紀 監修)の著者は、このように述べている。つまり「口の老化」は、決して見逃せない問題だということだ。

にもかかわらず、筋肉の衰えを気にして運動をする人などにくらべ、口のトレーニングをする人は少ない。しかしそれでは、健康になれるはずもないだろう。しかも「噛む力」は急激に衰えるのではなく、加齢とともに徐々に衰えていくものでもある。

だからこそ、すでに食べにくさを感じている人や、歯や歯茎に不安がある人はもちろん、ひとりでも多くの人に口、そして「噛む力」を意識してもらいたい――。

本書の根底には、そんな思いがあるのだそうだ。

ところで、ものを食べるときは、「ひと口につき30回は噛みましょう」と推奨されることがある。もちろん、ゆっくりたくさん噛むに越したことはないのだが、ひと口で噛む回数ばかりにこだわりすぎなくてもいいと著者はいう。

回数を数えながら食べるというのは、大変です。
そこで、できるだけ多く噛むということを意識してもらいながらですが、もっと楽しみながら、噛む回数を少しでもプラスできる体操をしたほうが続けやすいのではないかと考えました。
本書で紹介する「かみかみリズム体操」を行うと、1日で100回程度、噛む回数が増えます。
(本書82〜83ページより)

「かみかみリズム体操」の特長はグミを使うこと。そのため、生活の合間で気楽に行えるわけだ。しかも、「ながら」で行えるからこそ毎日続けやすく、結果的に噛む回数を自然に増やしていくことができる。

グミを使うと聞いてもピンとこないかもしれないが、著者の専門である補綴学の分野では、グミは咀嚼能力検査で長く使われている、信頼度の高い材料なのだそうだ。

そして、そんなグミを使うことには4つのメリットがあるという。

1:噛みごたえを自由にコントロールできる
グミにはいろいろな硬さの商品があるため、自分で自由に噛みごたえを選ぶことが可能。そのため、セルフチェックに向いているようだ。たとえば「噛む力」が弱っていたり、歯に自信がなかったりする人は、柔らかいものを選べば気軽に始めることができるのだ。

2:舌を使った複雑な咀嚼運動が期待できる
グミはガムと違い、「複雑な噛みごたえ」に特徴がある。弾力があるので、歯でぐいぐいと押し込んだり、舌の上で転がして楽しんだり、ゆっくりなめて味わったり、しっかり噛み切ったりと、口のなかの機能をたくさん使うことになるのだ。

つまり、口のなかで次々と変わるかたちや大きさの変化に適応するために、食べるだけで、舌を使った複雑な咀嚼運動ができ、結果的に舌や口まわりの筋肉を、楽しみながら鍛えることができます。(本書91ページより)

3:唾液が増える
2と関連するが、グミを食べると口のなかの複雑な機能をたくさん使うことになるため、自然と唾液が出るようになる。

ただ噛むだけでなく、舌で動かして楽しんだり、ゆっくりなめたりしますから、唾液量がどんどん増えていくのです。(本書91ページより)

そんなところも、口のなかが乾きがちな人や高齢者にはメリットとして機能するということだ。

4:甘いからおいしく楽しく続けやすい
なお、糖質が気になってしまうという方もいらっしゃるかもしれないが、基本的にグミの糖質はさほど多くないという。

間食は大体、200キロカロリー程度が目安といわれています。
「かみかみリズム体操」は、グミを4粒。グミにもよりますが、おおよそ1粒が10〜20キロカロリーなので、40〜80キロカロリーです。
食パンだったら6枚切りで1/2枚、ごはんなら1/3杯くらいのカロリーです。(本書93ページより)

しかも時間や場所に関係なく、好きなときに好きな場所でできることもメリットであるといえるだろう。

ちょっとおなかがすいたり、口さびしくなったりしたとき、おやつとしてグミを食べるついでに、口も鍛えてしまうというイメージです。
おなかを満たして、気持ちがハッピーになり、ついでに口を鍛えられて、頬の張りもよくなるという、まるで一石四鳥とでもいうべき効果が得られるわけです。(本書94ページより)

なにより、気楽に続けられそうなところがいい。「噛む力」の衰えを感じているなら、試してみる価値はありそうだ。


『食事でムセる かみ切れない 口臭が気になる人のための 口の強化書』
照山裕子 著 來村昌紀 監修
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文/印南敦史 作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)などがある。新刊は『「書くのが苦手」な人のための文章術』( ‎PHP研究所)。2020年6月、「日本一ネット」から「書評執筆数日本一」と認定される。

 


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