腰から下が冷える「腎陽虚」の人におすすめの漢方【漢方薬剤師が教える漢方のキホン】75

皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか？ 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの？ 」と思っている方も多いのではないでしょうか。

そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第75回のテーマは、「『腎陽虚（じんようきょ）』におすすめの漢方」です。あんしん漢方（オンラインAI漢方）の薬剤師、碇 純子さんに教えてもらいました。

腎陽虚とは

「手足がいつも冷たく感じる」「下半身がだるい」「夜中に尿意で目を覚ます」

このどれかに心当たりがある方は、腎陽虚タイプかもしれません。

東洋医学における「腎（じん）」は、西洋医学の「腎臓」とは異なります。腎は、体の生命力のもととなるエネルギーや、成長や生殖などに関係するほか、体の骨、歯、髪にも深く関わっています。

この腎のエネルギーを「腎気（じんき）」といい、さらに腎気は「腎陽（じんよう）」と「腎陰（じんいん）」に分けられます。腎陽は体を温めるエネルギーの元、腎陰は体に潤いや栄養を与えるものです。

これらのバランスが崩れた状態を「腎陽虚」あるいは「腎陰虚（じんいんきょ）」と称します。「腎陽虚」は、「腎陰」とくらべて「腎陽」が不足している状態をいいます。

東洋医学や漢方の考え方全体にも通じることですが、どちらかに偏っていればいいというわけではなく、バランスがとれていることが重要です。

腎陽虚にあらわれやすい症状

ここからは、腎陽虚の特徴と、あらわれやすい症状について解説します。

1．下半身がだるい

腎陽虚はエネルギーが不足している状態なので、常に足腰がだるく、下半身に力があまり入らなくなります。脱力感だけでなく、腰や関節に痛みやしびれをともなう場合があります。

2．下半身が冷える

下半身の冷えも腎陽虚の特徴のひとつです。手も冷えますが、とくに足腰が冷えることがよくあり、もともと寒がりな方が多いのも特徴です。

3．顔がむくむ

腎陽虚の場合は顔が常に青白く、ややむくみが目立ちます。また、全身もむくみやすく、とくに腰から下や、足のくるぶしがむくむ傾向にあります。

4．尿の切れや出が悪い

腎は体内の水分を司っています。体液を体内にため、排出する役割を持ちますが、腎に問題があると排泄能力が落ち、尿の切れや出が悪くなるため、頻尿や排便障害の原因になります。

腎陽虚におすすめの漢方

ここからは、腎陽虚の方に適した「体を温めて腎機能を強める漢方薬」を２つご紹介します。それぞれの漢方の効能と、どんな傾向や症状におすすめかを解説します。

1．八味地黄丸（はちみじおうがん）

「血（けつ）」や「水（すい）」の巡りが悪くなっている方、泌尿器や生殖機能が低下した方に適した漢方薬です。体内の水の循環を整え、腎臓や膀胱の機能を高めて、頻尿や足の末端の冷え症を改善します。

2．牛車腎気丸（ごしゃじんきがん）

腎を補い、体を温めることで、四肢の冷えや冷えによる痛み、排尿トラブルを改善する漢方薬です。新陳代謝を改善し、むくみにも用いられます。

漢方は体質との相性で正しく選ぼう

漢方でもっとも重要なのは、体質との相性です。患者の体質によって最適な漢方薬が異なるので、「この病気にはこの薬」と簡単に答えを出せません。必ず、漢方医学を学んだ医師や薬剤師など、漢方の専門家のアドバイスを聞きましょう。

体質に合っていない漢方を飲み続けると、効果が感じられないどころか、思わぬ副作用が起きることもあります。医師や薬剤師なら、効き目を見ながら漢方薬の量や処方の変更が行えます。

「もっと気軽に漢方を使いたい」「ネットで専門家のアドバイスを聞けるサービスはないの？ 」という方におすすめなのは、オンラインで診断から漢方薬の処方、購入までのすべてが完結するあんしん漢方というサービスです。

定期的な体質や症状チェックはもちろん、漢方コンシェルジュ（薬剤師）や、漢方サポートドクター（医師）などへの相談も可能です。80％以上の方が１か月以内に効果を実感しており、病院や薬局に行かずとも本格的な漢方サービスを自宅で受けられます。

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腎陽虚は生活習慣を見直すことでも改善できる！

下半身の冷え、体のだるさ、むくみ、頻尿。これらは腎陽虚という体質の方にみられる特徴です。偏ったバランスを改善することで、腎陽虚の症状も緩和できます。

腎陽虚は、慢性的に体が冷えた状態なので、常におなかや腰回りを温かくする、冷たいものを摂りすぎないなど、生活習慣の見直しも重要です。

さて、次回は「散歩しているのに足がつる！ こむらがえりに効く『芍薬甘草湯（しゃくやくかんぞうとう）』」です。ぜひご覧ください！

＜この記事を書いた人＞

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