皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。

そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第74回のテーマは、「『脾虚(ひきょ)』におすすめの漢方」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、碇純子さんに教えてもらいました。

脾虚(ひきょ)とは

「最近疲れやすい」「食欲があまり出ない」という方は、脾虚タイプかもしれません。

東洋医学における「脾」は、西洋医学における脾臓とは異なります。東洋医学の脾は胃腸全体をあらわし、飲食物を消化吸収し、体全体に栄養を送る役割を持っていて、筋肉や皮膚、口にも影響しています。水分調節にも関係しているほか、出血しないように管理する統血作用もあります。

その脾が弱った状態が「脾虚」です。胃腸が弱くなっているので、疲れやすい、消化吸収がうまくできないなどの症状が出やすくなります。

さらに、体全体のエネルギー、「気」(エネルギー)が不足しているので、元気が出ず、少し動いただけでも息切れするなど、体力低下が目立ちます。

また、免疫力も低下するので、病気にかかりやすく、治りが遅くなることもあります。

脾虚の方にあらわれやすい症状

ここでは、脾虚の方にあらわれやすい症状をみていきましょう。

1.疲れやすい

脾虚に陥るとスタミナがなくなり、体が重だるく、疲れやすくなります。

立ちくらみが起き、手足にあまり力が入らなくなり、筋肉自体も弱く痩せてしまいます。また、少し体を動かしただけでも汗が出るようになります。

2.食欲低下・空腹を感じない

脾虚になると、飲食物の消化吸収能力が落ちるだけでなく、食べる意欲が失せ、空腹をあまり感じなくなります。

3.日中の眠気

日中にもかかわらず眠たくなってしまうのも脾虚の特徴のひとつです。

とくに、食後に眠たくなる症状があります。胃腸機能が低下しているのに加えて、消化活動に気を使ってしまうため、体全体に必要な気が不足し、きちんと巡らなくなってしまうのです。

4.おなかの張りや下痢

脾虚の方は、消化吸収の機能が低下しているため、食べ物が十分に消化されず、食後におなかが張る、下痢をよくするといった症状があらわれやすくなります。

また、本来排出されるはずの余分な水分がたまり、これはむくみの原因にもなります。

脾虚体質の方におすすめの漢方

ここからは、脾虚体質の方におすすめの漢方をご紹介します。どんな方や症状に向いているかも併せてご覧ください。

1.六君子湯(りっくんしとう)

胃腸のはたらきを高めて消化機能のトラブルを改善し、余計な水分をとり除く漢方薬です。胃腸虚弱で疲労感や食欲不振に悩んでいる方の、下痢や吐き気にも適しています。

2.人参湯(にんじんとう)

胃腸の機能を高め、冷えを改善する代表的な漢方薬です。疲れやすく、手足などが冷えやすい方の胃腸虚弱や腹痛に適しています。

3.補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

気を補って胃腸のはたらきを高め、元気を補う漢方薬です。胃腸のはたらきが低下しており、だるくて疲れやすく、食欲の低下や下痢がみられる方に適しています。

漢方は体質との相性で正しく選ぼう

漢方の処方は、体質を診るところから始まります。一般的に、西洋薬よりも副作用が少ないといわれている漢方薬ですが、いくらよい漢方薬でも、体質の診断が適切でないとうまく改善につながりません。

今回解説した脾虚のように、人はそれぞれ異なる体質の傾向を持っています。それらをきちんと見極められるのは、漢方医学を基礎から学んだ医師や薬剤師です。適切な診断と処方が合わさってこそ、漢方薬は本来の力を発揮します。

「でも、なかなか病院に行く時間がない」「もっと気軽に漢方薬を試してみたい」という方におすすめなのが、最近注目を集めているあんしん漢方というオンライン漢方薬サービスです。

漢方コンシェルジュ(薬剤師)や漢方サポートドクター(医師)による個別サポートも万全で、診察から漢方薬の注文までスマホで完結できる手軽さも評判を集めています。慢性的な症状や体質に悩んでいる方や、漢方薬に興味を持っている方に最適なサービスです。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0150

脾虚体質は体を温めて睡眠をきちんととろう

脾虚体質は、胃腸のはたらきが低下し、消化機能が落ちるだけでなく、疲労感や眠気、おなかの張りなど様々な症状を招きます。

なるべく胃腸に負担をかけず、食事内容に気を遣ったり、おなかが冷えないように温めたり、睡眠を十分にとったりするなど、日常生活から見直していきましょう。

さて、次回は「腰から下が冷える『腎陽虚』におすすめの漢方」です。ぜひご覧ください!

<この記事を書いた人>

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師
/修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0150

●Medical Health CH:https://www.youtube.com/channel/UC7XLi90xVGs_NnKhowC0G2w

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2024年
5月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店