文/印南敦史

糖尿病専門医である『血糖値を自力で下げるやり方大全』(市原由美江 著、フォレスト出版)の著者は、まだ11歳だった小学6年生のとき、1型糖尿病の診断を受けたのだという。

当然ながら健康面のみならず精神面においても多大な苦労をされてきたようだが、結果的にはそんな体験が「同じ糖尿病患者さんの助けになりたい」という思いにつながったようだ。医師となってから、すでに15年目になる。

いま、私の患者さんの9割は2型糖尿病を患っている方です。
1型でも2型でも、「血糖値を下げる」「合併症を起こさない」「健康寿命を延ばす」という目標は同じ。患者さんと医師という立場ではありますが、「仲間」「同士」でもあります。(本書「はじめに」より)

だからこそ大切にしているのは、彼らとの会話。世間話も含めて話をよく聞けば、仕事の内容や家族構成、趣味などの生活を知ることができる。その結果、血液検査などの数値だけではわからないことも明らかになるわけだ。当然ながらそこには、血糖値を下げるためのヒントや気づきも少なくないだろう。

そこで本書では、著者自身が糖尿病患者としての生活のなかで得た「ちょっとした工夫」でできる「血糖値を下げるヒント」、そして糖尿病専門医として患者さんたちを診るなかで気づいた「血糖値を下げるヒント」を紹介しているのである。

たとえば「食」の問題だ。糖尿病というと、まずは食べもののことで悩むことになる。1型でも2型でも、糖尿病になると食事制限がどうしてもついてまわることになるからだ。

しかも困ったことに、高カロリーのものや甘いものは「食べないようにしよう」と強く思えば思うほど、逆に食べたくなったりするものでもある。そこで著者は、自身が実践しているという“「食べたい」に打ち克つワザ”を明らかにしている。

血糖値を下げようと思うと、まずは甘味料を減らそうとしますよね? でも、煮物などには砂糖やみりんで甘味を加えないと、いまいちしまらない……。甘味も、とても大事な美味しさの要素であり、満足感のもとです。そんなときは、羅漢果やアスパルテームなど、血糖値に影響しない甘味料を使って甘味を楽しんでください。(本書64〜65ページより)

他にも最近は、糖質ゼロのみりんなども発売されている。「食べたい」気持ちがおさまらないのは、「おいしさ」をがまんするから。しかしこれらを活用すれば、おいしく、満足できる食事ができるわけである。

また、糖尿病があると、高血圧になりやすいですし、糖尿病の合併症予防のためにも減塩に気をつけましょう。減塩の醤油やソース、塩分自体が少ない塩も発売されていますよ。塩分を控えた炒め物にコショウを多めに振ったり、塩分控えめのおみそ汁に七味唐辛子、サラダにクミンを加えたりするのもおすすめですし、だしをしっかり効かせるのも効果的です。(本書65ページより)

ちょっとした工夫をすれば、おいしさを楽しめるということだ。ぜひとも前向きに考え、実践してみたいところである。

その一方、肥満・糖尿病の人を魅了してやまない、おいしすぎる「悪魔の料理」も存在するという。著者によれば、糖尿病を招く悪魔の料理の条件とは次の3つだそうだ。

(1)糖質やカロリーのかたまりで、食物繊維が少ない。
(2)早食いでも呑み込めるほど柔らかい。
(3)余計な副菜のない、単品料理。
(本書66ページより)

血糖値を上げるのはやはり糖質であり、早食いは食後血糖値をはね上げることになる。柔らかく、料理の数が少なければ、よく噛まず、なにも考えずにひたすら口に入れることができる。それが危険なのだ。

著者が「悪魔の料理」の食材になる「糖質三銃士」だと指摘しているのは、砂糖、白米、小麦粉の3つ。これにラードやバター、チーズなどが加われば、高糖質・高カロリーの料理が生み出されるわけだ。

なお糖質に関しては、食品についている「糖質ゼロ」「糖類ゼロ」「糖質オフ」などさまざまな表記の違いを知っておく必要がある。

「糖質ゼロ」は血糖値を上げる要素がないため、血糖値は上がらない。しかし「糖類ゼロ」の場合は、血糖値を上げる他の物質が入っていることがあるというのだ。そして「糖質オフ」の場合は、食品100gあたり5g以下を「オフ」と表記できるので、たとえば200gであれば糖質は最低でも10g含まれることになる。

そのため、どれを選んだらいいのか悩んでしまうことになるわけだ。あるいは、気づかないうちに糖質を摂取することにもなってしまう可能性も否定できない。では、食品を選ぶ際にはなにを参考にしたらいいのだろうか?

一番簡単でおすすめなのが、食品のパッケージに記載されている「栄養成分表示」の糖質を見ることです。糖質の表記がない時は、炭水化物を見る習慣をつけましょう。間食なら糖質または炭水化物10g程度にとどめる習慣を。(本書75ページより)

こうしたことを意識するだけでも、相応の効果が期待できるようだ。

『血糖値を自力で下げるやり方大全』
市原由美江 著
フォレスト出版

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文/印南敦史 作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)などがある。新刊は『「書くのが苦手」な人のための文章術』( ‎PHP研究所)。2020年6月、「日本一ネット」から「書評執筆数日本一」と認定される。

 

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