シスターフッド(女性同士の連帯)を描いた映画やマンガがヒットし、女性同士の友情が注目されている。しかし、現実は、うまくは行かない。これは女性の友情の詳細をライター・沢木文が取材し、紹介する連載だ。
***
高齢者を狙った特殊詐欺のニュースが連日報道されているが、被害額が大きいのは投資詐欺だという。2023年4月、滋賀県警大津署は大津市の女性(66)が通信アプリLINE(ライン)を介して知り合った人物から、投資名目で現金2450万円をだまし取られたと発表。詐欺事件として捜査している。
この女性は今年1月、LINE上の投資グループを通じ、複数の男から「FX投資をするいい時期」「取引計画を立てて収益を確保する」などと言われ、取引アプリ内に口座を開設。17回にわたり、指定口座に入金したが、連絡は途絶えた。
このように投資家から資金を集め、関係者が私的横領する投資詐欺は多い。多くの投資詐欺は、1910~20年代に米国で大規模な投資詐欺を実行したチャールズ・ポンジにちなみ「ポンジ・スキーム」と呼ばれている。
秀子さん(60歳)は「親友・由加里(61歳)が詐欺のような投資グループの手先になって、困っている」と語る。その経緯について伺った。
離婚させてくれた恩人であり親友
秀子さんは、埼玉県に住む会社員。50歳のときに離婚し、現在は実家の近くのアパートで暮らしている。
「結婚20年で離婚しました。この10年前、私は主人と娘の奴隷みたいな状態で……当時の私は“専業主婦なんだから家のことは完璧にしなくては”と言いなりになっていたのです。しかし、親友の由加里が“このままじゃ、あなたの人生がダメになる”と半ば強引に私を離婚へと導いてくれたんです」
当時の秀子さんの生活を聞くと、ちりひとつない家を理想とする夫のために4時起きで掃除。料理、洗濯のほか、引きこもり状態になった娘の言いなりに動いていたという。
「大学受験に失敗してから、家から出なくなって。私はそんな娘がかわいそうで、娘が“納豆巻が食べたい”と言えば、夜中にコンビニへ。テーマパークに行きたいと言えば、一緒に行ってあれこれ世話を焼いていたのです」
秀子さんは、家族のために「先回り」して、全てをこなそうとするタイプだったという。夫や娘が「本当はどうしてほしいのか」を聞かずに、自分ですべてを抱え込む。そして「こんなに頑張っているのに報われない」と、さらに家族に献身をするようになる。
「離婚したときは、自分から離婚を切り出したくせに、さみしくて仕方がなかった。離婚直後に、娘がバイトに出て、やがて彼氏と同棲したときも、掃除ができない娘のために飛んで行ってやりたかった。加えて、主人が別の女を家に入れたのもショックでした。そういう私を支えてくれたのが由加里だったのです」
由加里さんと秀子さんは、40年前に国民的アイドルの追っかけをしていた時代に知り合った。
「たまたま家が近かったのと、由加里の華やかな雰囲気と、独身ならではの自由さに心惹かれたというか。政治家、タレントなど、いろんな人とのツーショット写真を持っていて、すごい人脈があるんだと思いました」
【有名な政治家や開運メイクの先生が自宅に……次のページに続きます】