ヨガは、ストレス緩和や身体の柔軟性向上など、多くの健康上のメリットがあるとされています。
しかし、中にはヨガをすることで腰痛を引き起こしてしまう人もいます。
今回は、ヨガで腰痛になってしまう原因と、腰痛を予防、改善する方法について解説します。

ヨガで腰痛になってしまう原因

■健康のためにヨガをはじめたら腰を痛めてしまった
■腰痛を改善しようとヨガをはじめたら、かえって悪化してしまった。
■日常生活にはあまり支障はないが、ヨガの特定のポーズが痛くてできない。
■ヨガのインストラクターをしているが、腰痛が治らない

このようなご相談を受けることがあります。

ヨガで腰痛になってしまう原因は様々なのですが、次のようなものが多く見受けられます。

姿勢の悪さ

ヨガをする際、正しい姿勢を保つことが非常に重要です。
しかし、姿勢が悪いままヨガを行うと、腰への負荷が増えてしまいます。
特に、背中が丸まったり、骨盤が前傾したりすると、腰に余分な負担がかかるため、腰痛の原因になります。

過剰なストレッチ

ヨガでのストレッチは、柔軟性を高めるために重要な要素の一つですが、過剰にストレッチをすると、腰に負荷がかかってしまいます。
ストレッチが強すぎたり、無理なポーズに挑戦したりすると、筋肉や靭帯にダメージが生じることがあります。

強い力でポーズをとる

ヨガのポーズを無理な力でとることは禁物です。
しかし、中にはポーズを完璧にとろうとして、強い力で無理なストレッチをしてしまう人もいます。
これも、腰に余分な負荷がかかる原因になります。

ヨガで腰痛を予防する方法

このような原因に対しては、次のようなことを心掛けることで予防、改善することができます。

正しい姿勢を保つ

ヨガをする際、正しい姿勢を保つことが非常に重要です。
背筋を伸ばし、骨盤を立てることで、腰に余分な負荷がかからないようにしましょう。
また、自分に合ったポーズを選ぶことも大切です。

ストレッチは適度に

ストレッチは柔軟性を高めるために重要ですが、過剰にストレッチをすると腰に負荷がかかることがあります。
自分の体に合わせて適度なストレッチを心がけましょう。

無理なポーズは避ける

無理なポーズに挑戦することは避け、自分に合ったポーズを選ぶことが大切です。
ポーズをとる際には、自分の身体に合わせた深さでとるように心がけましょう。

ヨガのインストラクターに相談する

ヨガをする際には、ヨガのインストラクターに相談することが大切です。
インストラクターは、正しい姿勢やポーズのとり方を教えてくれるだけでなく、個人的なアドバイスもしてくれます。

痛みを感じたら中断する

ヨガをする際に、腰痛を感じた場合は、即座に中断しましょう。
無理なポーズをとったり、過剰なストレッチをした場合には、すぐに痛みを感じることがあります。
痛みを感じた場合は、そのポーズをやめて、身体を休めるようにしてください。

インナーマッスルをうまく使う

もう一つ腰痛の予防改善に重要なことは、体幹インナーマッスルをうまく使うことです。
ヨガでは呼吸法も重要になりますので、腹式呼吸などの指導もおこなわれていると思いますが、腹式呼吸をしっかりとおこなうと、自然に体幹のインナーマッスルが強化され、腰痛の予防改善につながります。

しかしこのインナーマッスルが弱いままヨガをおこなったりすると、かえって腰をいためてしまう場合があるのです。

筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/)では、ヨガで腰痛になってしまった方に対しては、体幹インナーマッスルが機能しているかを確認し、そのトレーニング法やヨガでの使い方などを指導しています。

体幹インナーマッスルがちゃんと機能しているかどうかは、次のような方法で簡単にチェックができます。

腹式呼吸でしっかり息を吐き切ったときに、おへその3~5cmほど下(下の画像の赤丸の部分)あたりを指で押してみて、固くしっかりと力がはいっていればOKです。

または、1サイズ細いズボンやスカートを履くときのように下腹を強くひっこめると、同じく赤丸の部分に固く力が入ります。

立ったままでしっかり力を入れることができれば全く問題ありません。

立っておこなうとうまくできず、あお向けに寝た状態ではできるなら、少し弱っています。

あお向けになっても力がうまく入らず、指で押してもフニャフニャならば、残念ながらかなり弱くなっています。

力がしっかり入る方は、ヨガや運動をおこなうときに、この部分に軽く力を入れるようにしながらおこなうようにすると、姿勢も良くなり腰痛も予防できます。

うまく力が入らない方は、次のようなエクササイズでインナーマッスルを強くしましょう。

腹式呼吸でインナーマッスルを回復するトレーニング

自宅で出来る!腰痛トレーニングより (https://www.re-studio.jp/dvd.html

※画像では専用のポールに乗っておこなっていますが、床に寝たままおこなっても同じような効果があります。

1.床にあおむけになり両膝を立てた姿勢をとります。

そこから腹式呼吸の要領で、鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、口をすぼめて天井に息を吹きかけるようにしっかりと吐き切っていきます。

このときに、おへその下あたり(下腹部)をへこますようにしながら息を吐いていきます。

下腹部をへこますようにしっかりと息を吐ききることで、腹横筋に力が入るようになります。

息を吸うのは軽く、吐くときはお腹の底からしっかりと吐き切るようにしましょう。

3.息を吐きながら下腹部と肛門(骨盤底筋)を締める

2ができたら、今度は下腹部(腹横筋)と肛門(骨盤底筋)を同時に締める練習をします。

腹式呼吸で息を吐き切りながら、下腹と肛門を同時に締めるように力を入れてみましょう。

うまくしっかり吐き切りながら肛門を締められると、下腹部に強く力が入り、固くなるのがわかります。

またこのときに背中や腰や脚は力を抜いてください。

背中や腰や脚に力が入ってしまうと、かえって痛みを起こしやすくなりますので注意してください。

4.息を吐きながら下腹部と肛門(骨盤底筋)を締め、恥骨を引き上げて腰を丸め、腰を床に押し付ける。

恥骨を引き上げるとは、みぞおちの方に向けて腹筋で引き上げるようにすること(下画像オレンジ矢印)です。

すると骨盤は後傾方向に回転します(黄色矢印)。

こうすることでさらに腹圧が高まりやすくなり、腰をしっかり支える姿勢をとりやすくなります。

これらのトレーニングを1日30回を目標におこなってみましょう。

いっぺんに30回でも構いませんし、10回ずつ朝昼晩のように分けても構いません。トータルで30回が目安です。

30回以上できるようなら、やればやるほど効果は出ます。

しかし、腰や背中、脚などに余計な力みがあると、かえって痛みを起こすことがありますので、その点はご注意ください。

また効果が出てくるまでには少し時間がかかります。2週間から1か月程度は根気よくトレーニングを続けてください。

このトレーニングをおこなうことで痛みが出る、または痛みのためにこのトレーニング自体ができないようでしたらやめてください。

まとめ

ヨガは、健康上のメリットが多い反面、腰痛を引き起こすこともあります。
腰痛を予防するためには、正しい姿勢を保つ、また、ヨガのインストラクターに相談することもおすすめします。
腰痛を感じた場合は、すぐに中断し、身体を休めるようにしましょう。
そして体幹インナーマッスルをうまく使えるよう練習しましょう。

この記事があなたの腰や脚の痛みを改善する一助になりましたら幸いです。

また以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。

ぜひお読みください。

朝起きる時の腰の痛みの原因と改善方法【川口陽海の腰痛改善教室 第107回】https://serai.jp/health/1113964

正しい座り方とストレッチで腰痛予防! イスに座ったままできるストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第90回】https://serai.jp/health/1075855

腰・お尻・太ももの裏|痛む部位別におこなう腰痛・坐骨神経痛改善ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第100回】https://serai.jp/health/1096269

これだけでOK! 背骨矯正<大の字ストレッチ>で慢性腰痛を改善【川口陽海の腰痛改善教室 第97回】https://serai.jp/health/1089887

3分で腰の疲れをとって腰痛を予防! 誰でも毎日できる簡単ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第88回】https://serai.jp/health/1070834

拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。

お読みいただけると幸いです。

文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html

腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(健康プレミアムシリーズ)川口陽海(著/文) 永澤守(監修) 発行:アスコム
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